●ある日の俊恵(「人工美女の館」ファンフィクション) いちファン  日が大分高くなったころ、ようやく俊恵の目が覚めた。夫、隆造はゴルフに出かけていていなかった。  左胸の乳首に鈍い痛みが少し残っていて、激しく隆造に愛された昨晩が思い出される。 「あなた、乳首をつねって!ああぁぁ!もっと強く!あああぁぁぁー!」  隆造が俊恵の乳首を責めるのは行為の際のお約束である。最初はもちろん隆造が俊恵がためらう行為を強制する際の武器であったのだが、だんだんその責めが快感になってきて、いまの俊恵は乳首責めを自ら隆造に要求するようになってしまっていた。  シャワーを浴び、丹念に腋毛をカミソリで剃り、下着を着替え、俊恵は化粧台に座った。  女体化を安直に受け入れさせないでいたぶる隆造の趣味の一環で、腋毛の永久脱毛は行われなかったので、腋毛だけはまめに剃らなければならない。  鏡に向かい俊恵は自分の下着姿を見る。ふっくらした胸、豊かな臀部、永久脱毛され髭は二度と生えない口周り、股間には女性器、主な特徴は大柄ではあるが間違いなく女体である。しかし、いっさいメスを入れられていない首から上は「元男性」であるのが隠せない。喉仏は言うに及ばず、額の毛の生え際やら薄い唇やら。むろん声も男声のままである。  しかし、もう男には戻ることが出来ないし、衰えた筋力では隆造と争うことすら出来ない。俊恵は今の自分の境遇を受け入れ抵抗を諦めた。ならばより女らしくなり、夫隆造に可愛がってもらえる方が良いに決まっている。いまの俊恵は必死に女らしく装い、隆造にはやく手術をしてもらおうと、せがみ続ける毎日であった。隆造が戻れば愛想良く出迎え、自らキスをしてみたりする。隆造の夜の求めにも積極的に応じるようになっていた。  とは言え、そこは鬼畜の隆造である。期待させるようなことを言っては「忘れる」のは毎度のことだし、すぐにでも手術出来るのに、「無手術での努力」を要求して俊恵をいたぶり楽しんでいる。例えば... 「俊恵、昨日のセックスは良かったが、アクメは最近ではやけに男っぽい声だったな、ふふふ」 「それを言わないで、あなた。手術して下さればもっと女らしい声を出してあなたを満足させますわ」 「そうかそうか。だがな、手術で安直に得るのでは、巷のニューハーフと変わらん。わしは、お前に妻として誠心誠意尽くして欲しいのだ。今夜はいつもよりたっぷり愛してあげるから、その前にこれを見て『練習』しなさい」 「え?」 隆造は俊恵に性転換者用のボイストレーニングビデオを手渡す。 「練習の効果がないと、手加減なく『あそこ』を責めるぞ」 「わ、わかりましたわ、あなた」 ●ある日の俊恵2  鏡に向かい念入りにメークをする俊恵。ミスがあると隆造にいたぶられるので嫌でも上達してしまった。 安直な部屋着姿やノーメイクは許されておらずメイドの厳しいチェックが入るので、フルメイクをして 相応のドレスアップをしていなくてはならない。髭が生え無いとは言えホルモン投与が無いので俊恵の 肌のきめはめぐみのように細かくはない。基礎化粧品を多く使いスキンケアを心がけ、ファンデーションを それなりに厚く塗ってカバーしている。オカマ顔に仕上がらないように、薄い唇をカバーするようなルージュの 塗り方、鼻を小さく見せるシャドーの使い方等、工夫を凝らして1時間ほど、オカマっぽいテーストは隠せないが、 それでもまずまず有閑マダムっぽい風貌のメークが完成した。今日の服はグリーンのスリップドレス。 洋装なのでまだ楽である。隆造は時には着物姿を要求する時がありそうなると和装用に髪の毛をセットしなくては ならないので手間が半端ではないのだ。 「今日は奇麗に出来たわ、私も結構美人よね、うふ」いち人妻・俊恵としての自然な感情が湧いてくる。 その一方で、こころの奥底では「杉浦俊夫」が叫ぶ。 「僕は男だ...なぜ隆造のような奴に対し妻を演じて媚びへつらい、夜伽の相手をさせられなくては いけないんだ、ううぅ」 しかし、ここでは俊恵の気持ちが俊夫を黙らせた。 「今夜はもっともっと積極的に求めてあの人を満足させて手術をせがもう。ああ、早く女らしい容貌になりたいわ。 もっとぷっくりした唇が欲しいし、鼻も縮めてもらおう。喉仏も削り、声帯をいじればソプラノは無理でもアルトの 声にはなるはずだわ。そうすればあの人は私をもっと大事にしてくれるはず」 「俊恵、戻ったぞ」 「あなた、お帰りなさい・・・寂しかったわぁ」 *************************************************************************** 2005/02/06投稿分まで