ジェード・コネクション  作:摩火 1.プロローグ 浅茅がその話を聞いたのは松下という顔見知りのヤクザの若頭からだった。 「ひでぇ話でよぉ」 松下は喫茶店でコーヒーを一口飲みながら小声で切り出した。 「信じられんかもしれねぇが、オレ達のシマに戦争しかけてきたヤツ等はよぉ、組の若手 5人くらいかっさらって手術して女にしまいやがった。」 浅茅は思わずむせこみ、飲んで いたコーヒーを吹きだしてしまうところだつた。 「なんですかそれ、マジですか?」 「ああ、本当も本当、こないだ事務所にDVDが送られてきてよぉ、捕まったケンジや良太 がタマ抜かれてチンポ切り落とされるところや、マンコ作られるところまでバッチリ撮ら れてやがる。」 ケンジや良太なら知っている。ケンジは組に入ったばかりの20歳にもな っていないチンピラの三下、そして良太はいかつい顔つきの元相撲取りのチンピラだった。 その良太が女に性転換かい。こいつはバケ物のような大女にしかならないだろう。 浅茅は良太の顔を思い浮かべながら女になった様を想像してみようとした。 「駄目ですね、女になった良太なんか想像もできない。」 浅茅はコーヒーを一口すすりながら良太の顔を頭から振り払った。 「ビデオにはメッセージがつけられていてよぉ、最後に女の服着せられ化粧させられたケ ンジ達が言うことにゃあ、組を解散してシマを明渡さなければ組の連中全員女にされちま うんだとよ。」 松下は深刻そうな顔で俺に言った。 「で、相手は、相手は誰なんですか。」 浅茅の質問に松下は頭を横に振った。 「それが皆目わからねぇ、今までだと相手の目星がついていたんだが、今回は西野組も山 下一家も絡んでいないみていだしな。シマに新たに入り込んだりトラブル起こした連中も 今のところいないようなんだ。」 相手が皆目検討がつかないというのはこの世界では珍 しいことだった。 「あんた、本当にこの手の話聞いてねえか。」 松下は浅茅の顔を舐めまわすようにして覗き込んだ。 ジェード・コネクション 2 「ええ、聞いたこともないですね。もし聞いていたらトウの昔に取材始めていますよ。」 浅茅の商売はフリージャーナリストだった。半年前は一流の新聞社勤務、今は主に三流 のエロ雑誌中心に記事を書き日々の糊口をしのいでいる。 「・・・そうか、若いくせに 情報通のあんたなら何か情報掴んでいるかもしれんと思ったんだがな」 松下は少し気落 ちしたような声をだした。 その様子に浅茅のジャーナリスト魂は刺激される。 「何なら、ちょっと調べてみましょうか。もしかしたら何か掴めるかも」 勿論、松下のためにという訳ではない、この話が本当ならば三流の雑誌社どころか一流の 雑誌社までもが高い金でこの記事を買ってくれるだろう。そういう目算があってのことだ った。 松下はジロリとこっちを見た。 「ああ、申し出はありがたいが記事にしてもらっちゃ困るな。オレ達の組がいい笑いもの になっちまう。」 松下は若頭になるだけのことはあって、からっきし馬鹿じゃあない。 「しかし、この半年の間何も情報が掴めねえまま若い連中が次々とヤツ等のために攫われ たのも早急になんとかしなくちゃあなんねぇ。そこでだ、ジャーナリストとして警察やあ っちこっちに情報源持っているあんたに、記事にはしないことを条件に調べてもらいてぇ んだがな。」 松下は胸ポケットから分厚い封筒を取り出して浅茅にほおってよこした。 「何ですかこれ。」 封筒を手にした浅茅は中身を見てみた。 ぎっしりと札束が詰まっている。およそ100万はあるだろう。 「とりあえずの手付金だ。相手を突き止めたらあと200払う。」 今の浅茅にとって、この100万は大金だった。そして思わず顔がほころびそうになるのを ぐっと堪える。 「解りました。じゃあ調べられるところまでやってみましょう。でも危 険な状況になれば身を引きますけどいいですか。」 事実だとすれば大スクープものだが、 記事にならないんだったら、危険な目にあってまで調査を続行するつもりはなかった。 ジェード・コネクション3 2.ケンジ? アパート兼事務所に戻った浅茅は早速松下から預かってきたCD-ROMをパソコンにセットし た。 何の変哲もないCD-ROMで、タイトルすら書いていない。 CD-ROMには幾つかの映像ファイルが入っていた。 浅茅は構わず先頭のファイルをクリックしてみた。 ムービープレイヤーが起動され、いきなり四肢をベッドに縛り付けられた人間の映像が現 れた。 その画面にスーパーインポーズのような白い文字が出てくる。 『警告、今すぐ組を解散し足を洗うこと。指示に従わない場合は、この録画に出てくるこ とと同じ目にあいます。警告、今すぐ組を解散し足を洗うこと。指示に従わない場合は、 この録画に出てくることと同じ目にあいます。警告、今すぐ組を解散し足を洗うこと。 指示に従わない場合は、この録画に出てくることと同じ目にあいます。』 「なんじゃこ りゃ」 画面の警告と言う文字が消え、部屋の様子がはっきりしてくるとその異様な様子に浅茅は 思わず息を飲み込んだ。 ベッドは5台あり、そのそれぞれに5人の下着姿の女が大の字に なって拘束されている。 いや、多分女ではないだろう、これが松下の言っていたケンジ 達に違いなかった。 カメラがそのうちの一人にゆっくり近づく。 それは案の定茶髪のカツラを被せられ、女の化粧を顔に施されたケンジだった。 眉毛も 細く削られ、濃いアイライナーを引かれ、顔全体を派手な化粧が覆って印象として はずいぶん女っぽい感じになっているが、それでもそれは紛れもないケンジだった。 ケンジの口にはSMなどで使う大きなギャグボールが噛ませられベルトで頭の後ろに固定さ れていた。 ケンジは近づくカメラに気がつき、イヤイヤをするように大きく首を左右に 振り、逃れるように顔をそむけた。 カメラを操作している人物が喋っているのだろうか 映像の外から40-50歳位の男性の声が聞こえてくる。 ジェード・コネクション4 「それではこれからケンジ君の性転換手術を開始します・・・そうだな、あと3時間後に はケンジ君はお姉さんになった先輩達と同じく女の子になります。その時の名前も美保と 決めています。」 その言葉が聞こえたのか、ケンジの目は恐怖で一瞬大きく見開かれる。 そして逃れようとするかのように後ろに下がろうとした。しかし手足を縛っているベルト のために僅かに体が後ろに動いただけだった。 「性転換手術のおおまかな手順としては、 まず睾丸の除去、そしてペニスの中の海綿体を取り除きペニスを反転します。次に鼠頚部 に膣となる穴を開け、反転し皮だけになったペニスを押し入れます。陰嚢の皮は大陰唇を 形作るのに使用します。それから豊胸手術も同時に執り行います。脇の下に穴を開け、塩 水の入ったパットを挿入します。普通この手術はおっぱいがある程度膨らんでいないと難 しいのですが、ケンジ君にはこちらに来てから5ヶ月間女性ホルモンを大量に注射してい たために中学生の女の子程度にはおっぱいができていますから、豊胸手術でけっこうきれ いなおっぱいが形作られるでしょう。そうなったらケンジ君はこの後一生ブラジャーが手 放せなくなりますし、どんな服を着ても他の人の目には女のおっぱいがあることがはつき りと判るようになるでしょう。」 男の話はめちゃくちゃひどいものだった。 ノーマルな 男性にとって体に女性ホルモンを注入されるだけでもけっこうな恐怖なのに、 去勢され手術により生まれもつかぬ女の身体に性転換されてしまうのは身の毛もよだつほ ど残酷で非道なことだった。 「な、なんなんだ、この変態どもは・・・」 浅茅は口の中で思わず呟いた。しかし、画面は更に残酷な場面へと入ろうとしていた。 次の瞬間、画面は手術台のようなところに切り替わる。 白いシーツに覆われた手術台の上の人物は麻酔ガスを吸入させるマスクに覆われているが、 それは明らかにケンジだった。 両足を大きく開き、分娩台のようなアームにベルトで固 定されている。 ジェード・コネクション5 カメラは手術前の様子を写したものだった。 ケンジの胸の部分にかかっている白いシートのおっぱい部分が丸く切り取られ、身体にサ インペンのようなもので印がつけられていた。 その胸は、先ほど男が言ったように思春 期の少女のように明らかにツンと尖っているのが判った。特に乳輪と乳首は大きく丸くさ れてしまっていてもはや男性のものではなくなっている。 カメラはそれからケンジの大 きく広げられ、上方に固定された下半身へと移動する。 ケンジの剥き出しになった下半 身は女性ホルモンを打たれ続けていたという影響なのだろうか、ゴツゴツした男の下半身 ではなく、なんだか丸みを帯びた柔らかい女性的な曲線っぽくなっているようにも見えた。 ケンジの下半身はつるつるに剃毛されていた。なんとケツ毛すらなくなっている。 陰毛を失って萎びたようなちんちんが力なくうなだれ、やけに小さく見えた。 その鼠頚部や陰嚢にもサインペンでなにやら線だの丸だのが書き込まれていた。 「この印はこれからメスを入れる部位を表わしています。正確にメスを入れないと、 手術で新しく作る左右の陰唇の形が違ってしまうことにもなりかねないので、このように メスを入れる位置を最初に計って書き込んでいます。」 またさっきの男の声が聞こえて きた。どうやらカメラを回している人物自身が喋っているのだろう。 「ケンジ君のペニ スは5ヶ月間打ち続けた強力女性ホルモンの影響でずいぶん小さくなっています。 同時に注射していた抗男性ホルモン剤のおかげで、睾丸もすっかり縮退してその機能をず いぶん前から止めています。ですからケンジ君のペニスもキンタマもまったく無用のもの となってしまっています。今では勃起することも射精することも不可能になっています。 もう二度と女性とはセックスできない身体になっているのです。このままではいくらなん でも可愛そうなので、女性器をケンジ君の股に作ります。二度と女性とはセックスできま せんが、男性とはいくらでもセックスできるようにしてあげるのです。」 男はカメラの 向こうでめちゃくちゃなことを言っていた。 そもそもケンジを拉致して数ヶ月に渡って女性ホルモンを無理やり注射し男性機能を喪失 させたのは自分たちのくせに、可愛そうだからと女にしてしまうとは一体どういう理論な のだろうか。 「ケンジ君は今、全身麻酔の影響で意識がほとんどない状態になっていま す。目が覚めたらケンジ君ではなく、美保ちゃんとなります。その後トイレは婦人用しか 入れなくなってしまいますし、勿論しゃがんでしかおしっこはできなくなってしまいます。 もっともこの5ヶ月間無理やりしゃがんでおしっこする訓練されていたので、慣れている とは思いますが。」 カメラは後退してまた手術用のシーツに覆われたケンジの身体全体 を写した。 「では、先生がたお願いします。」 その声に薄い緑色の手術着にマスク姿の医者らしき人物が3人ほど現れた。同じく手術着 のナースも4人ほどいる。 手術室の様子は最新の医療施設が整っている一流の病院の手術 室のようだった。あちらこちらに複雑そうな電子機器のパネルが見える。 しかしいくら ヤクザとはいえ、誘拐して強制的に性転換手術してしまうようなことを一流の病院が荷担 しているとはにわかには信じられなかった。 だがカメラの中ではそれが現実のこととし て淡々と進行していた。 ナースの手により、茶色い消毒液のようなものがケンジの寒々と剥き出しになった哀れな 股間にたっぷりとかけられるように塗られていく。 そのペニスの先端には、カテーテル なのだろうか、一本の細い管が挿入されていた。 カメラは移動し、医者のじゃまになら ないように腹部の方からケンジの手術部位を映した。 「さあ、まずはキンタマを抜いて しまいます。」 なんだか興奮したようなカメラマンの声だった。 医者の手際は良かった。 一人がケンジの陰嚢を持ち上げ、メスを持ったもう一人の医師がその陰嚢の中央部からペニスにかけて大胆に切開を加えていく。 ジェード・コネクション6 陰嚢とペニス部分はアジの開きのように信じられない位に大きく切り裂かれ、広げられて しまった。 それだけでも気の弱い人間は卒倒しそうな映像だった。 広げられた陰嚢とペニス部分は血と肉のシートとしか言えない状況になっていた。 その中に白い幕に包まれたような二つの楕円形のものが見える。 医者はその楕円形の塊 をピンセットでグイッと摘み上げた。それは血管や神経らしきもので体内に繋がっている のがはっきりと判った。 「ああ、ありましたね、ありました。これが睾丸、つまりキン タマです」 男はわかりきっていることを繰り返した。 次にナースが医者に手渡したのは手術用の鋏だった。 「鋏が渡されました。これから睾丸をチョン切ります。」 パチン、鋭い音が響いた。それから少ししてからもう一度パチンという音が聞こえた。 それと同時にナースがケンジの股間の下に当てた膿盆にコロン、コロンという音がはっき りと聞こえた。 「やっちゃいました、ちょん切っちゃいました。抜いちゃいました。 ケンジ君のキンタマはこの瞬間に切り離され、もう男とは呼べない身体にされてしまいま した。これからは周りの皆から彼女とかお姉ちゃんとかお嬢ちゃんとしか呼ばれない身体 になってしまいました。私もこれからはケンジ君ではなく、美保ちゃんと呼ぶことにしま しょう。」 男はふざけているのか本気なのかわからない口調だった。 カメラはたった今切り離されたばかりの睾丸を映し出した。看護婦が膿盆をカメラの方に 差し出す。 その中にはたった今切り取られたばかりの2つの白い大型のソラマメのような 睾丸と、それに付随する神経やら輸精管やら意外と大量の肉片と共に入っていた。それは もう二度と元には戻せそうになかった。 「さて、これから美保ちゃんの膣を、オマンコ を成型していきます。先ほど説明したように、ペニスの中の海綿体を取り出し、その皮を くるっと反転するのです。これで膣の内側として使用しますので、大抵の男性のエレクト したペニスは受け入れることができます。この手術方法により、つまり狭くて浅くて使用 不可ということはありません。相当大きな男性のペニスであっても受け入れることができ るすぐれた手術方法なのです。これから彼女は色々な男性と性交渉を持つことになるでし ょうが、相手のペニスを根本まで受け入れることにより、深い女のオルガスムを感じるこ とも十分可能な女性器となるのです。」 ジェード・コネクション7 浅茅は食い入るように画面に釘付けになっていた。単なる残酷さではなく、性を強制的 に変更するという行為は猟奇的すぎるほど猟奇的であり、淫猥さを通り越して人の感情 を言い様もない不安に陥れるものだった。浅茅は吐き気すらも覚えた。しかし、その画 面と解説は怖いもの見たさということではないのだろうが、浅茅を惹きつけて止まぬ何 かがあった。 「美保ちゃんはとても我々に協力的でした。そりゃあ誘拐した当初は抵抗しましたね。 ぶっ殺すとか何とかわめきまくっていましたが、先輩の良太・・・今では奈々子と呼ばれ ていますが、奈々子の強制改造性転換シーンを見せてからはすっかり言うことを聞くよう になりました。そして女装や女性ホルモンの注射は受けて女の子らしくするから、その代 わり去勢や性転換手術はかんべんしてくれとあまりにも泣いて頼むものですから、我々も その条件で了解しました。でも我々はは約束を守る気などまったくありませんでした。 美保ちゃんは我々の約束を信じ込み、ちんちんを切り落とされないよう5ヶ月もの間、 一生懸命努力し化粧の仕方を覚え、女の子の喋り方も腰の振り方も仕草も勉強しました。 だから立ち振る舞いもいまではすっかり女の子です。せっかくそこまで女の躾ができたん ならと今回手術に踏み切った訳です。いやあ、性転換手術をすると告げた時の美保ちゃん の顔を録画していなかったのは残念です。愕然として、みるみる青ざめて・・・皆さんに お見せしたかったのに。」 男が喋っている間にも画面はケンジの残酷な手術の進行を逐 一映し出していた。 メスがケンジの切り開かれたペニスに。もう一度入る。 「ああ、どうやら尿道は女の子用にもう短く切られたようですね」 医者は別のメスに切り替えて、皮から肉を丁寧に切り剥がし始めた。 ケンジのペニスは手術の進行と共にもはやペニスとは呼べそうもないグロテスクな肉と脂 肪と血の塊になっていた。その肉さえもどんどんと剥ぎ取られていき、血だらけの細いペ ニスの残骸ぐらいしか残っていない状態にされていった。 ジェード・コネクション8 「ほうら、もうすっかりちんちんとしての役目を果たせないようになってしまいました。 ただ、亀頭だけは別です。亀頭はまだ神経で丸々美保ちゃんの身体に繋がっているので す。・・・実は私たちの先生はこの神経を切断しないで新しく作られるおまんこのクリ トリスに加工しようとしているのです。そうすることでセックスの時も本物の女に負け ないくらいの快感を感じることができるのです。」 そんなことが本当にできるのだろうか。画面を見ている浅茅は思わず自分の耳を疑ってし まった。 確かにペニスの先端を残してクリトリスに加工して、そこを愛撫されば快感を 感じる身体にすることは可能なのかもしれない。 「更にです、更にすごいことは、先生 はペニスの先端にあるカウパー線がついているペニスの先端の部分を膣の入り口近くへは つりけ直します。カウパー線、ご存知ですか?俗にガマン汁とか先走り汁とか言われてい るやつを出す線のことです。これを膣の入り口に移植することによりクリトリスをいじら れ、性的に興奮してくると愛液として濡れてくるという仕掛けなのです。クリトリスには ペニスの先端の全てを使いません。半分位です。後の残りは膣の入り口に延ばして貼り付 けるのです。ですからクリトリスに触られても、膣口に指やちんちんを挿入しても快感を 感じてしまうのです。しかも男時代と違って決して射精しませんから、その快感は本当の 女性のようにいつまでも長く継続することになります。」 この集団は何なのだろうか。 浅茅は頭が混乱してくるのを感じた。ただヤクザに屈辱感なりを味あわせるならば宦官の ようにただ単に去勢しておっぽり出せばいいだけのはずだった。それだけでも彼らは巨大 な屈辱と脅威を感じるに違いなかった。しかし、それをご丁寧にも女性ホルモンを長期間 に渡り大量に投与し性転換手術という手間をかけ、なおかつ手術で作られた女性器が女と してのセックス時に大きな快楽を得ることができるようにまでする手術を受けさせている のだ。 ジェード・コネクション9 彼らは元ヤクザが女としてセックスされて、女の快感を感じることに多大の興味と興奮を 感じているのだろうか。画面を食い入るように見つめている浅茅の脳裏には他の理由は思 い浮かばなかった。これらの手術や人件費などの経費だけでも莫大なものになるに違いな かった。 「さて、睾丸どころかペニスまですっかり破壊された美保ちゃんはこれで一生 立ちションができない身体になってしまいました。美保ちゃんはもうご婦人用トイレでス カートをめくり上げ、パンティーを下ろし、しゃがんでおしっこをするしかなくなってし まいました。おしっこが終わった後は女性のあそこは男性と違いおしっこで後濡れしてい ますので、ティッシュで拭くしかありませんね。これは結構面倒くさいと思います。 おしっこする度に必ずパンティ下して白く丸々と大きくなったお尻丸出しにするんですか らね。」 男はこちらの恐怖心を煽るかのように女にされる過程を細かに解説していた。 「おやっ、今度は鼠頚部分に穴を開ける模様です。そう、膣の穴になる部分ですね。 これはかなり痛いと思います。身体の中に男の怒張したペニスが挿入できる大きな穴を開 けるのですから。やっぱりドリルかなんかで開けるのでしょうか?この部分は先生によっ て手順が違うとも聞いています。直腸で作る先生や先に膣の穴を開けてしまう先生など、 それぞれに創意工夫をしているようです。」 浅茅は思わず身震いをした。自分の股間に ドリルが迫ってくることを想像しただけでもいやだった。 しかし、画面では実際にはド リルで穴を開けるなどという乱暴な方法ではなく、メスによる切開が行なわれていた。 医者はタマを抜かれた陰嚢の付け根当たりメスで切り口を開けると、どんどん切開してい く、血まみれの大きな空洞がぽっかりと穴を見せ始めた。それを手術用の器具で穴が閉じ ないように固定しながら切り開くものだから想像を絶する空洞がケンジの股間に現れた。 それは思わず目をそむけたくなるような凄惨な画面だった。 ジェード・コネクション11 「さて、ここいらへんが一番難しいところだと思います。何と言っても女の子の命のきれ いな可愛い割れ目ちゃんを作らなければならないですからね。どっから見ても女の子のお まんこにしなければならないのですから、ここいら辺が先生の腕の見せ所といったところ です。また、それと同時にセックスした時の深いオルガスムを得ることができるようにあ まり神経を傷つけてもいけません。うまく手術に成功すれば、先ほど説明した通り濡れる ことも可能です。美保ちゃんにも是非手術に成功してそうなってほしいものであります。 元ヤクザが無理やり性転換されて、手術で作られたおまんこを男にいじられて思わず愛液 を滲ませてアアンッ、ソコォ〜と言ってしまうなんて、考えただけでも興奮するではあり ませんか。」 膣となる穴を空け終わったのだろう、医者は今度は陰嚢の皮を丁寧に切り 取り初めた。その切除跡はあっというまに糸で縫合されていく。 「ああ、今切り取った キンタマ袋は女性器のラビア、つまりおまんこのビラビラの部分に使います。でも残りの 多くは膣壁に使うのです。何と言ってもあれだけ大きな穴ですからね。裏返しにしたペニ スの皮だけでは全部カバーしきれません。そこでキンタマ袋の皮を加工して膣壁の肉が剥 き出しになっている部分に貼り付けるのです。こうすれば皮膚が再生して組織の治りも早 くなります。・・・そうですね直り具合にもよりますが、半年くらいで美保ちゃんのおま んこは多くの殿方に使っていただけるように使用可能となるはずです。」 画像はあちら こちら編集してあるようだった。それでも陰嚢の皮から大陰唇が整形され縫合される様子 が克明に映し出されていた。 次に筒状にまかれたガーゼに加工され反転されたペニスの 皮が被せられた。その皮は思ったより薄く加工されている。その筒状のカーゼを医者は慎 重にケンジの体内に入れていく。それから膣口近くの皮膚に縫合されていった。 「さて、そろそろ性転換手術が始まってから5時間近くが経とうとしています。もうそろ そろ手術は終わりに近づいています。今入れたペニスの皮は組織に癒着するまで一定の時 間がかかります。女の子の最もデリケートな部分ですから、傷口として塞がらないように 暫くは体内にペニスの張型を入れておかなければなりません。」 ジェード・コネクション12 男が再び喋り始めた。 画面では股間のあちらこちらに血がこびりついてはいるものの、女の性器のように形作ら れ、縫合の跡も痛々しいケンジの様子が映っていた。 その深い割れ目のようになってし まった股間からは尿道カテーテルが一本伸びている。 「どうですか、まだ手術したばっ かりで、腫れがあるために痛々しい状態となっていますが、腫れが引けばとってもきれい で可愛いおまんこになると思います。大股を開きこのおまんこを見せただけで大抵の男ど もはちんちんが総立ちになるに違いありません。」 男はさも自分の手柄のように得意げ に喋りつづけた。 「おっと、こちらではすでに豊胸手術が開始されています。」 その声と共にカメラは横たわるケンジの胸の部分に移動した。 ケンジの両脇はすでにメスで小さな穴が開けられ、そこから長い管のようなものが膨らみ かけたケンジの胸のほうに伸びている。 「こうして胸の筋肉とおっぱいの脂肪組織の間 にパッドを入れる隙間を作っているのです。この手術は簡単ですね。おまんこを作る手術 ほど複雑では有りません。」 カメラは手術台の横の手術器具が置いてあるトレーを映し た。 そこには透明なビニールのような楕円形の2つの袋が置かれていた。その袋の中は何かの 液体が入っているらしくぶよぶよしている。 男の言葉通り、管がすぐに引き抜かれた。 血は思ったより出ていない。 医者はたった今引き抜いたばかりの切開口から先ほどのビニールパッドを少しずつ差し込 んでいった。 別に高度な器具を使うわけではなかったが、少しずつケンジの胸を揉み上 げ、中のパッドの位置を直していった。 その結果、その隆起は誰の目にも明らかだった。 たった今パットを入れた右の胸はきれいな曲線を描き、左胸のおっぱいと比べてもその 違いは明らかだった。 それはどう見ても女の乳房だった。 ジェード・コネクション13 「今、右のおっぱいが入りましたね、どうです。きれいなもんでしょう?本物の女とまっ たく変わりありません。今度は切開口を縫合してから左胸の豊胸手術に入ります。 サイズはCカップくらいでしょうか、こんなおっぱいを持っていれば、もう絶対にブラジ ャーなしではいられなくなってしまいますね。ブラジャーなしでは左右におっぱいが揺れ て歩きにくいでしょうし、何よりも乳首が衣服にこすれてしまいいつも乳首を立てている 状態になってしまいますからね。」 男はエロ話をする時のようにニヤニヤした口調で喋 りつづけた。 「おっと、美保ちゃんの股間の消毒処理が今終わったようです。」 その言葉と共にカメラはまたケンジの下腹部に廻った。 ケンジの下腹部は固定されていた両足が開放され、今度は白い女物のパンティーを穿かせ られていた。 縛めは解かれたものの両足は相変わらず大きく開脚していたので、股間の 手術跡に当てられた大きなガーゼがパンティー越しでもはっきりと判った。 そこにはガ ーゼの膨らみはあるものの、男の象徴である膨らみはまったくなかった。どこから見ても 女の股間に間違いようがなかった。 「ケンジ・・・本当に女にされちまったんだな・ ・・」 浅茅はその画面を見て思わず呟いた。何故か整形された下腹部を直接見るよりも、艶かし い女物のパンティーを穿かされ、股間の男としての膨らみを一切失ってしまったケンジの その姿を見る方が生々しい現実感があった。それはエロチックであり、女であることを強 烈に指し示していた。 そして浅茅の股間もケンジの映像を見ているうちにムクムクと 大きくなってきたのも事実だった。 浅茅は困惑した。 何故こんな悲惨で変態的・猟奇的映像をみるだけでえらく興奮するのだろうか。 手術さ れたゲンジの女物のパンティーに包まれた股間を見るだけで何故こんなに興奮する のだろうか。 浅茅はオナニーをしたい誘惑にかられながら映像の続きを食い入るように 見つづけるのだった。 ジェード・コネクション14 3.良太1 良太が拉致されたのはケンジより3ヶ月ほど前のことだった。 だから拉致の第一号はこの良太ということになる。 良太は元相撲取りだった。将来は三役にまで出世するだろうとまで言われていたのだが、 結局関取には出世しなかった。すぐにカッとなって見境がつかなくなる粗暴な性格のため に同部屋の先輩力士をナイフで刺して大怪我を負わせ、ふんどしかつぎのまま相撲界から 追い出されてしまったのだ。 その良太がいなくなった。 生来格闘技が好きでそれなりの暴れん坊だった良太を簡単に誘拐することができるなど誰 も思わなかったに違いない。 しかし、良太はいともやすやすと組の仲間も知らぬうちに 忽然と姿を消してしまっていた。 最初のうちは組の幹部連中も良太がどこかで遊びほう けているのだろうぐらいにしか思わなかったのだが、行方不明期間が1週間、また一週間 と延びるうちに、こりゃあ何かあったに違いないと思い始めた。 しかし良太が立ち寄り そうな心当たりをいくら探しても彼の消息は一向にしれなかった。 組の誰もがいつから か良太は消されたと思い始めていた。 しかし、良太はその頃にはヤクザとして、いやその前に男としてあるまじき拷問とも言え るひどい手術と辱めを受けていたのだ。 そのために良太は体格から性格まで全てが激変してしまっていた。 今やもう、良太だった頃の面影は微塵も残っていない。 彼を生み育てた実の両親ですらこれが良太だとは絶対に信じない位に徹底的に変えられて いた。 彼の身体に加えられたその悪魔の仕業とも言える所業は身の毛もよだつほど恐ろ しく、 しかも淫靡なものだった。 ではこれから彼の身に起こったことをお教えしよう。 ジェード・コネクション15 良太が誘拐されたのは2月のまだ寒い冬の深夜のことだった。 何件か自分の担当するシマを見回り、上納金を回収し、勧められるまま酒も少し入ってほ ろ酔い気分の良太は自分のマンションに帰るために駐車場に止めてあった自分の車に乗り 込んだ。 エンジンをかけてからしばらくエンジンをアイドリングさせていた良太の耳に、 かすかだがシューという音が聞こえてきた。 それはスプレー缶から気体を噴射させるよ うな音だった。 「なんでえ、この音は・・・タイヤの空気でも漏れてやがんのかぁ」 ぶつぶつと呟いた良太は音のする後ろの座席のほうを振り返った。 良太の目に飛び込んできたのは、後部座席に置かれた1本の小さなボンベだった。 その口になにやら機械装置のようなものとアンテナらしきものが装着されている。 「ば、ば、爆弾!」 とっさに良太はそう思った。それと同時に車外へ飛び出そうと腕を車のドアに伸ばした ・・・いや、伸ばしたつもりだった。 しかし、良太の腕はどういうわけかぴくりとも動かなくなっている。気がつくと体全体 が自分のものではないかのようにまったく動かなくなっているのだ。 良太は非常な恐怖を感じた。もともと体力と腕力だけが唯一の自慢の良太にとって、自分 の体が身動き一つできなくなることなどおよびもつかぬことだったのだ。 「ち、ちっく しょう、ど、どうしちまったんだ」 良太はうろたえた。うろたえて半狂乱のような状態でなんとか手足を動かそうとしたがど うあがいても小指一本動かすことができなかった。 これは後部座席におかれた麻酔ガスのボンベから出るガスの影響だった。 このガスボンベには無線でガス噴射口を開閉できる装置が装着されており、良太が車に乗 り込んだところを見計らって、車外からコントロールして麻酔ガスを噴射させたという訳 だった。 これは凶暴で強力の良太を安全に拉致するための仕掛けだった。 噴射し続けるガスの影響で良太の意識は次第に朦朧となってきた。 その良太の目に、数人のガスマスクを被った異形の男たちが自分の車に乗り込んでくるの が映った。 男たちはドアを開け、運転席のシートを倒すと4人がかりで身動きのできな くなっている良太の巨体を後部座席に移した。 ジェード・コネクション16 100キロを超える体重を持つさすがの良太も4人がかりだとなんとか動かせるものだ。 良太はずるずると後ろの座席に移されて、それから車のドアがバタンと閉まる音が聞こえた。 それが良太の覚えている全てだった。 次に良太が意識を取り戻したのはいちめんが白く塗られた家具も何もないガランとした 部屋の中だった。 蛍光灯のまぶしい光の中で、良太はしかめっ面をしながら目をしばた いた。 体が窮屈にくの字形に折れ曲がっている。 足首と手首の痛みに良太は思わず身じろぎをした。 そこで良太は自分の体がとんでもない状況になっているのに気がついた。 見上げると天井から太い鎖が垂れ下がり、自分の手首に縛り付けられていた。 いや、正 確に言うと手首に嵌められた手錠にくさりがつけられ、手錠ごと天井高くに吊り 上げられているのだ。 それだけではない、両足が大きく広げられたまま一本の長い鉄製の棒に足首ごと固定さ れ、それが天井から下がった鎖によって吊り上げられている。 つまり良太は屠殺されよ うとする豚のように手足を天井から吊られていたのだ。 良太は素っ裸だった。 素っ裸のまま、股を大きく開かされ、ちんちんも睾丸も大きくさらしたひどくみっともな い格好で吊り下げられていた。 良太の体重が手首と足首にかかり、ひどい痛みを与えて いた。 良太が少しでも身動きすると鎖がギシギシと不気味な音を立て、更に激しい痛みを手首と 足首に送ってくる。 「い、いてててっ、ちっきしょう、何がどうなっていやがんだぁ」 良太は思わず毒づいた。 「やっと気がついたか、元相撲取りもこういうふうに吊るされちゃあ形無しだな」 直ぐ隣で中年の男の声が聞こえた。 その声に良太は首を傾け、声の持ち主をねめつけた。 ジェード・コネクション17 それは良太が今まで見たことがない男だった。 髪型はきちんと揃えられており、銀縁のメガネをかけている。顔はどちらかというと端正 なほうだった。 どうみてもサラリーマンのようだった。 その後ろにジャンバーにジーパン姿の若い連中が3人くらい居る。しかしその様子はとて もチンピラには見えなかった。むしろどこかの大学の学生を思わせた。 「なんだ、てめえは、どこの連中だ、いてて、いますぐ離しやがれ、てめえ、こんなこと してただで済むと思うなよ。」 頭に血が上りカッと来た良太はいつもの脅し口調で啖呵 をきった。しかし、体勢が体勢なのでどうにもしまらないこと夥しい。 「ほほう、こり ゃあ噂に聞いていたように威勢のいいヤツだなあ、このままだととんだあばずれになりそ うだ。」 男は良太に向かって変なことを言った。 良太も男の意外な言葉に思わず耳を疑った。 それはあばずれという言葉だった。あばずれとはふしだらな女を指して使う言葉だ。 およそ良太のような筋骨理由流とした男に使うにはまるでふさわしくない言葉だった。 「て、てめえ、なに訳のわからんこと言ってやがんだ、早くこの手錠外しやがれ」 一瞬 あっけにとられた良太だったが、次に畳み掛けるように男に向かってわめき始めた。 ピシャン! 突如鋭い音が部屋に響き渡った。 「うぎゃーっ」 悲鳴を上げたのは良太だった。 男が手に持った細長い鞭のような棒で良太の股間をしたたかに打ち据えたのだ。 それは良太が今までに味わったことのないような痛みだった。 たちまち打ち据えられた股間のペニス部分は赤くミミス腫れがくっきりと浮き上がり、 血さえ滲み始めていた。 ジェード・コネクション18 「ケツの穴を丸出しのヤツが何を吼えてるんだ、あんまりうるさくすると股間がズタズ タになるまで鞭うちするぞ、それともチンポもキンタマも二度と使い物にならなくなるく らい打ち据えて欲しいのか」 男は鞭を両手でもてあそびながら外見によらぬ強い口調で 物騒なことを口にした。 しかし、そんな脅しに屈するような良太ではなかった。 頭に血が上りまくり、もう前後の見境も完全につかなくなってしまっている。 「てってめぇーーーーー」 獣じみた咆哮とともに良太の全身にみるみる力がみなぎる。 「ぶっぶっぶっ殺してやるぅーーーー」 怒りのあまり口が思うように廻らない。 しかし良太の足に繋がれた鉄棒はみるみるぐんにゃりと曲がってきた。 「おおっ」 良太の周りを取り囲んだ男たちからどよめきの声が漏れた。 それは到底人間の力では曲げることができないと思われた鉄棒がいともたやすく曲げられ てきたことへの驚きのざわめきだった。 「まずい・・・麻酔を、麻酔銃を持って来い。 」中年の男が若い連中の一人に指図した。 その時だった。ブチッという鈍い音を立てて良太の足首の鎖が弾け飛んだ。 ガランという音を立てて鉄棒が床に落ちると同時に良太は両足を床につけることができた。 そして、うーんという力み声と同時に両腕に力を入れた。肩や腕の筋肉の力こぶが膨れ 上がる。 頑丈な鋼鉄でできた手錠の鎖を引きちぎろうとしているのだ。 「は、早く麻酔を、麻酔を!」 中年の男の怒鳴り声が響き渡る。 パチンという鋭い音と共に良太の両腕が自由になった。 「てっめえッ!覚悟しやがれ!」 身体の自由を取り戻した良太は悪鬼の如き憤怒の形相で先ほど自分を鞭で打ち据えた男に 突進する。 中年の男は何とか良太の突進を身をかわしてよけようとした、しかしよけた と思った瞬間、良太の腕が男の胸倉をむんずと捕まえてしまう。 と、その時だった。 パーンという乾いた音が部屋に響き渡ったのだ。 良太は尻に何かがぶつかった衝撃を感じた。 男の胸倉を掴んだまま振り返ると自分の尻に赤白の羽のついた矢のようなものが突き刺さ っているのに気がついた。 下半身から不愉快な痺れが上昇してきて、良太の全身を包み 込んだ。 またもや意識がゆっくりとフェイドアウトしてくる。 「ちっくしょう、また・・やりやがっ・・・・て」 男の胸倉を掴んでいた指が解けるのと、良太がドサッという音を立てて床に倒れこむのと 同時だった。 「ふぅ〜っ」 良太に胸倉を掴まれてていた男は多きなの安堵ため息を吐いた。 顔が青ざめ、額には冷や汗だろうか大粒の汗が浮かんでいる。 「いやはや、まさにゴリラ並みの力だな」 男が自分の胸元を見やり、首を振りながら呟いた。その胸元のシャツは大きく破られボタ ンも完全に消し飛んでいる。 「陳先生、こんなゴリラ男を本当に女に改造できるんです か?」 男は顔を上げ麻酔銃のライフルを持ったまま近づいてくる青年に言った。 陳先生と呼ばれた男は麻酔銃の銃口を良太に向けながら用心深く中年の男の直ぐ傍に立っ た。 それは丸で猛獣がいつ息をふきかえし襲ってきても対処をとれるかのような動きだった。 「ええ、大丈夫ですよ。内藤さん、私の理論が正しいのなら半年後にはこのゴリラ男は 花も恥らう乙女に変身しているでしょう。」 ジェード・コネクション19 陳先生の日本語は流暢だった。 「しかし先生、ゴリラは女に性転換しても所詮ゴリラなのでは・・・」 「大丈夫、大丈夫、内藤さんも心配性だなあ、あははは」 陳先生は内藤の心配をよそに軽く手を振って笑い飛ばした。そして周りを取り巻く数人の 若者に中国語らしき言葉で何事かを命令した。 良太は数人の若者によって手術室に移さ れた。そこには頑丈そうな手術台が置いてあり意識を失っている良太はそこに四肢を拘束 具で固定される。 その拘束具は凶暴な精神異常者に使われる種類のもので、みかけは先 ほどの鎖ほど強力には見えないが、実は本物のゴリラすら引きちぎることは不可能な強度 をもっているものだった。 「意識を失っている間に手っ取り早く済ましてしまいましょ う。 とにかくこの腕力を何とかするために去勢を先に済ましてしまいましょう。そうすればい くらかはおとなしくなるはずです。また途中で意識を取り戻して暴れないように、笑気ガ スも併用します。そのあとこの分厚い筋肉と脂肪をダイエットで徹底的に落として女の娘 並みの筋力にしておかないと後が怖いです。体中の血液を入れ替えるはそれからにしまし ょう。」 体中の血を入れ替える? ここで性転換の手術を予想していた読者は意外な展開にとまどったかもしれない。 何故良太の身体の血を入れ替える必要があるのか。 実はこれは陳先生の独自の理論が生み出した男性を女性的な性格にするための重要な部分 なのだ。 通常、強制的に男性を女性化し女性的な性格を帯びさせるには去勢とホルモン を使用する。外見が女性に近づけば本人も女性という錯覚、あるいはアイデンテティが生 まれ、女性のように行動しようという要求が生まれる。 しかし、そうなるためには時に は何年も時間がかかるのだ。もともとその気がなかった男性に女性としてのアイデンテテ ィを生じさせるには時には精神科医の密接なケアを長時間にわたって続けねばならない。 しかし陳先生達にはそんなに何年も根気強くカウンセリングを行う気などまったくなかっ た。 ジェード・コネクション20 短い期間で性格の女性化を促進するにはいくつかの方法がある。その一つは無理やりに でも女性化された体を男性とセックスさせ、性的興奮を感じさせることである。 それができれば性格の女性化は比較的容易に起こることとなる。一度男の手で作られた クリトリスをいたぶられ、恥ずかしい愛液をタラタラと垂らしながらペニスを身体の中 に突っ込まれ、アクメに達してしまったら最後、男としてのアイデンテティは破壊さて しまう。自分は男によりセックスされ快感を感じる女なんだという自己認識が作られ固 定されてしまうのだ。 しかし、この方法は性急で暴力的側面が強いために、えてして当人を発狂や自殺に追い込 む可能性が高い。 もうひとつは深層心理にまで達する催眠と暗示により当人の中の女性的人格を第一人格 として固定する方法がある。人間は誰でも相補性といって相対する影の人格を有している。 当人が男性ならば影の人格は女性となる。その人格を意識の表面に出現させて固定してし まうのだ。しかし、この方法も難点がある。もともと主人格になっていない影の人格は人 格としての発達段階も未熟なため、どうしようもないくらい幼稚で幼児的な場合が多いの だ。つまり小さな聞きわけのない女の子供の人格が大人の身体に宿る場合が多いのだ。 幼児の人格を持った大人はえてして始末が悪い。その人格を大人の人格にまで成長させる には普通の人間と同じ成長過程をたどらねばならない。つまり何年もかかると言うわけだ。 そこでこれらの問題を解決し、しかも短期間で大人としての人格を持ったまま女性化を 成し遂げる新しい方法がこの陳先生の理論による全身血液交換法なのだ。 陳先生の全身 血液交換は単に輸血をすれば済むというものではない。まずは交換すべき血液素材となる 人物探しが重要なのだ。 その素材とは女性化させる男と同じ血液型であることは言うま でもないことだが、若い健康的な女性であること、そして性格的に無口で引っ込み思案で、 怖がりで、もじもじなよなよとしたような女性的性格が強く出ている必要がある。 陳先生はそういう女性的性格が強く出ている若い女性を幾つかの性格的パターンに分けて 登録していた。そしてその女性たちにこちらの望むときに輸血用血液を高報酬で採取する 契約を取り交わしていたのだ。 ジェード・コネクション21 陳先生の理論によると、性格は血液により左右されるというのだ、血液型はもとより、性 格の微妙な違いも血液の中に含まれるごく僅かなホルモンや化学物質の違いにより発現す るという。そのために強度に女性的な性格の血液を良太のような強度に男性的な性格の男 性に全血液交換をすれば、劇的に性格が一変し、なよなよっとした女らしい性格に変える ことができるというのだ。 果たしてそのようなことが本当にできるのだろうか? 確かに 交通事故などで大量の血液を交換した重傷者がその後性格が一変したという事例も あるようだが、科学的に立証された例はいまだ一件もないのが実情だった。 陳先生は全 身血液交換理論における性格の変化を科学的に立証するためにこの悪魔の組織に加わった と言っても過言ではないようだ。 良太は意識のないまま今手術台に固定されていた。 そして彼の身にやがて陳先生の手によって悪夢のような処置が加えられることも知らずに 深い眠りに落ちていたのである。 4.浅茅1 結局、浅茅は恐れおののきながらもその妙に惹きつけられるDVDを何度も何度も繰り返し 見てしまった。 はっと気がつくともう窓から朝日が差し込む時間になろうとしていた。 浅茅の机の横の屑篭には丸められたティッシュが何個も入っていた。 そう、浅茅は無理やり性転換させられるケンジ達の姿を見て、どうしようもないくらいに 興奮してしまっていたのだ。 今まで自分はセックスに関してはノーマルだと思っていた から、性転換させられた男に対し勃起した自分に驚きもし、呆れてもいたのだが、 しかしキンタマ抜かれてオマンコを作られるケンジ達に対し、そして彼ら・・・いや彼女 らがこの後男たちに無理やりにでも抱かれその身体をつら抜かれているることを想像する だけで何度でも何度でも抜けてしまうのだ。 まだ若い高校生だった頃には一日に7-8回抜 いたものだが、それに匹敵する・・・いやそれ以上の性的興奮振りだった。 まだオナニーし続けたい気持ちはあった。しかし、何よりも腹は減っていたし、松下に 約束したようにこのDVDを作った相手の組織も解明しなければならなかった。 これまでの ところ、画像内には場所や組織を特定できるような手がかりは見つからなかった。 どこかの設備の整った病院であることと、医者や看護婦の動きからこの手の性転換手術に ついては何度もこなして熟達している感じを受けただけだった。 もっとも専門の医師に このDVDを見せれば使っている手術器具や装置の特徴からそれらしい病院を特定できそう な気がした。 浅茅はカップヌードルのお湯を沸かしながらこれから調査しなければなら ない事項をとりあえずリストアップしてみた。 1. 医師にDVDの手術室の画面を見てもらい、それがどこの病院であるか推測してもらう。 2. 場合によっては採用している手術の手順によってどこの医師グループが関与している 3. か判るかもしれない。 マル暴のタツさんに会って、この件で警察がどのくらい動いて 4. いるのか探りを入れる 組の松下さんに言って、このDVDが送られてきた包み紙を見せ 5. てもらう。何か手がかりがあるかもしれない。 誘拐された5人について、最後にどこ 6. で見かけたか聞き込みを行なう このうち最初の1-3は本日すぐにでもとりかかり、ある程度の成果は見込めそうだった。 浅茅はカップヌードルをすすりながら時計を見た。まだ朝の8時、タツさんに電話するの は少し早かった。 浅茅はパソコンをチラッと見た。 昨日の夜からつい先ほどまでにかけて、あれほど抜いたのにも係わらずチンチンの先がう ずいていた。 あと一回、あと一回だけだぞ・・・浅茅はそう思いながらズボンのジッパ ーを下ろした。 ジェード・コネクション22 マル暴のタツさんに電話をかけると、ヒマらしく上機嫌で待ち合わせ場所を指定してくれ た。 マル暴とは警察署内に置かれた暴力団対策の専門部隊のことを言う。 タツさんは年のころは50歳位、すっかり禿げ上がった頭部のちょっとコワモテのする刑事 だった。 しかしさすが警察官のことだけはあって、毎日肉体を鍛錬しているらしく服の 上からも硬い筋肉の持ち主であることが見て取れる。 浅茅が待ち合わせ場所のサ店の滝沢に入ると、先に来ていたタツさんがサッと手を上げて 合図をしてくれた。 「どうも、タツさん、久しぶりです。」 浅茅は丁重に挨拶をした。 「ああ、あんたも元気そうだなぁ。半年振りかな、ブン屋やめてからライターとして仕事 しているんだって?」 「ええ、今はあまり大した事ない三流の雑誌や新聞向けに単発で記事書いています。」 浅茅は苦々しい思いに駆られながらそう答えた。 本来ならばあんな事件さえなければ、自分は一流記者としてもっともっと活躍しているはずなのだ。 「まあ、世の中こんな景気だ。仕事があるだけでも幸せとおもわなくっちゃな。」 「そうですね」 一通りの挨拶が終わると浅茅は単刀直入に切り出した。ズバリ核心を言って、相手の反応 を見ながら取材を進めていくのが浅茅のスタイルだった。 「ところでタツさん、電話では詳しく話せなかったんですが、地元の大場組のことです。 」 「ほう、大場組がどうした。」 気のせいか大場組の名前が出ただけでタツさんの身体にちょっと緊張が走ったようだった。 「大場組の若い者が何人か数ヶ月前から誘拐されて女に性転換されているって話、知っ ていますか。」 その言葉を聞いたとたん、タツんさんの表情が動かなくなった。能面のように無表情にな っている。 ジェード・コネクション23 「・・・いや、知らんなぁ、そいつはウソだよ、引っ掛けられたんじゃあないのか。 それにあんなやつら女にしたってゴッついドブスにしかならんだろう、そんなやつらに性 欲をそそられ興奮するやつなんてそもそもいるのかい。はは、馬鹿馬鹿しい。」 一呼吸 の間を空けてからタツさんはバカバカしいと笑った。 「いえ、本当です。彼らが無理やり性転換手術されるDVDもあるそうです。」 タツさんの目がキラリと光った。 「あんた、そのDVD見たんか?」 「ええ、一度だけチラッと見せてもらいました。ケンジが手術されて女性器を整形される シーンなどどう見ても本物です。」 浅茅はそのDVDを何度も何度も見てしかもコピーまで持っていることは伏せておいた。 「ふーん、どうせどっかのヒマなやつがおふざけで作った特撮だろうよ、そんな類の話な ら悪いけど聞く気にもならんね、それにちょっと人と会わなくてはならないことを思い出 した。これで失礼するよ。」 タツさんはどうしても話を切り上げたがっているようだっ た。そしてやおら立ち上がると、伝票を持ってそそくさとレジの方に向かった。 向かったが、何かを思い直したのか浅茅のほうに引き返してきた。 そして浅茅の近くに顔を寄せてこう囁いた。 「あんたね、この件は係わり合いになんないほうがいいよ。それからその何やらが映って いるというDVD、見る機会があったとしてももう絶対に見るなよ。何度も見るととんでも ないことになるぞ」 タツさんはそれだけ言うと逃げるように浅茅の前から姿を消してし まった。 浅茅はあっけに取られた。 タツさんの態度や最後の言葉からも何かあることは明瞭だった。 しかしそこには触れられたくない何か大きななぞが隠されていそうなことは確実だった。 警察がこの件で調査を進めている可能性はある。しかしそれにしてもあのベテラン刑事 の慌てぶりはそれだけでは説明がつきそうになかった。それにタツさんが最後に残した言 葉、 「DVD、見る機会があったとしてももう絶対見るなよ。何度も見るととんでもないことに なるぞ」とは一体どういう意味なのだろうか。 ジェード・コネクション24 捜査を邪魔されたくないので手を引けと言う遠まわしの警告とも取れそうだが、それにし ても言い方がちょっとおかしかった。 また何か別の警告だとしたらもう手遅れと言うこ とになる。浅茅はあのDVDを都合数十回以上見ているからだ。 そういえばリングという ホラー映画があったなと浅茅は思い出した。 確か呪いのビデオを見たものは全員恐怖にゆがんだ表情で死ぬという設定だった。 このDVDもそんな呪いでもかかっているとでもいうのかい。 浅茅はそう思いながらも遅れ て出てきたコーヒーを飲み干した。 次に浅茅が向かったのは大場組の松下のところだった。 まずはケンジと良太の最後の足取り調査のためと、DVDが送られてきた包装等から有力な 手がかりがないか確認するためだった。 組はいつもは若い留守番の衆が数人いてちょっ とした威圧感をかもし出しているのだが、今日浅茅が訪れた時はガランとしてほとんど人 の気配がなかった。 その事務所の中に松下は一人だけポツンと座っていた。 机にはノー トパソコンが置いてあり、浅茅が入ってきても松下はチラッと目を上げただけ でパソコンの画面に釘付けになっている。 浅茅は松下がこちらに声をかけてくるまで待 つことにした。 15分くらいも経っただろうか、ようやく松下はパソコンの蓋をパチンと閉めて浅茅の方を 向いた。 目がけっこう充血しているところを見ると、長時間パソコンと向き合っていた らしい。 「どうだ、あのDVDから何か判ったか?」 松下が疲れたような表情で聞いてきた。 「いえ、まだです。それよりもどうも警察の動きがおかしいことを掴みました。」 浅茅はタツさんとの喫茶店の一件を松下に報告した。 ジェード・コネクション25 「ふーん、そりゃあ何か変だなぁ。」 松下はそう言ったきり黙りこんでしまった。 何だか心ここにあらずといった感じだったし、早く浅茅に帰ってもらいたがっているよう でもあった。 仕方なく浅茅はケンジと良太が最後に目撃された場所を松下から聞きだし た。 しかしDVDが送られてきた時の包装紙は既に捨てられてしまっており、手がかりにするこ とはできないまま大場組の事務所を退散することとなってしまった。 「仕方がない、と りあえず聞き込みにでも行くか」 浅茅はそう呟くと良太が最後に目撃されたバーに向かった。 バーはこの町のちょっとは全国にも知られている繁華街の外れにあった。 外れと入っても、あたりには軒並みピンクサロンやら怪しげな風俗店などが軒を連ねてい る。 真昼間というのに客を探している娼婦も何人か立っているし、客だか従業員だか分 からない男たちも何人も行き来をしていた。 目指すバーはその繁華街の小さな路地の奥にあった。 昼の光の中でバーの扉は薄汚れて見えている。 浅茅はドアを開けようとしたが、昼間ということもあり案の定堅く閉ざされている。 扉 には営業時間として夜7時からという文字が貼り付けられている。あと半日はどこかで 時間を潰さねばならないようだった。 浅茅は肩をすくめ、とりあえず自宅兼事務所に戻ることにした。 繁華街の隣に隣接する商業地区まで来るとようやく怪しげな店は姿を消し、まともなブテ ィックだのレストランなどが増えてきた。 歩きながらも浅茅は性転換された男たちのこ とを考えていた。 無理矢理女に手術されるというのはどういう気持ちなのだろうか、慣れ親しんだちんちん とキンタマが無くなり、男を受け入れるおまんこの穴を身体に掘り込まれてしまう。 おっぱいも大きくされ、もはやパンティーやブラジャーをしなくてはならない身体にされ てしまうのだ。 周りからは「女」という性的対象物でしか見てもらえなくなってしまう。 いや、それどころか女にされた男ということで、性的好奇心のニヤニヤ笑いを伴った屈辱 的で恥辱的な扱いしか受けられないのだ。 ジェード・コネクション26 ケンジみたいにあれだけ徹底的に手術されてしまえば、もはや二度と男に戻る手術をす るなど不可能に違いなかった。ケンジはこれからの生涯を女として生きていくしかない のだ。 もしケンジが自殺などせずに、生き続けようとするならば今後は女として男に甘え媚びて いくしか方法は残っていないだろう。そのためには可愛いランジェリーを身につけ、自分 を美しくセクシーに見せる化粧法をマスターし、甘い声で男に色目を使うようにならなけ ればだめだろう。 浅茅はそんな目に自分が会ったらどうするだろうと思った。 自分は結 構環境適応能力が高いと思っている。その自分が女の身体に改造され、セクシー なワンピースをまとい、しなを作って男の股間に顔を埋める。そんな想像がふと浅茅の脳 裏をよぎった。 「バカバカしい、オレが男のペニスを吸うだと?」 浅茅はその妄想を頭から追い払おうと頭を振った。 そんな下らない想像をするだけでも信じられなかった。 歩きながらふと顔を横に向けると、そこには一軒のブティックがあった。いやブティック というよりパーティーや結婚式用のドレスをオーダー販売している洋品店のようだった。 そこのショーウィンドウに色とりどりのドレスを着たマネキン達が立っていた。 浅茅は思わず脚を止めた。 そのドレスはどれも素晴らしいデザインだった。まさに女の子が着たいと夢に見るような 華やかさと美しさを備えたドレスだった。 キュッと細く締まったウェストと腰の辺りか らふわっと広がるスカートは女らしさを十二分に強調していた。 性転換されたら、こんなドレスを着たいと思うようになるんだろうかと浅茅は思った。 こんなドレスを着て美しくお化粧して男と踊りたいと思うようになるんだろうか。 何かが浅茅の心の奥底から噴出しようとしていた。浅茅はその何だか分からないもやも やしたものを感じとまどってもいた。それは自分が今までに感じたこともない何か得体の 知れない衝動のようなものだった。 そして浅茅はこの美しいドレスの数々から目を離し たくないことに気がついていた。 しかし、従来自分の心の動きには無頓着だったせいも あり、浅茅は軽く肩をすくめただけで駅へと向かい始めた。 ジェード・コネクション27 5. ケンジ1 目覚めは最低の気分だった。 身体のあちらこちらを痛みが襲っている。 ケンジは目覚めとともに遠くから自分の上にのしかかってくる痛みを感じ取っていた。 安酒を大量に飲んだ後のように口の中はいやな味がしていた。 それから徐々に意識がはっきりしてくると、ケンジはあのイヤなことが記憶に上ってくる のを感じた。 大丈夫、目覚めれば悪い夢だったことがはっきりするさ。 ケンジは布団の中で自分にそう言い聞かせていた。 事実、あのいやな記憶は夢の中のことのようにぼんやりとしたベールに包まれていたから だ。 しかし、体中を襲う痛みは、その夢だと思おうとしている体験が実は現実に起こっ たこと なのだということをケンジに教えていた。 股間が痛んだ、胸も痛んだ、そして顔も怪我 をした後のように鋭い痛みがあった。 ケンジは起き上がるのが怖かった。 起き上がれば、あのひどいことが自分の身に本当に起こったかどうかがはっきりするのに、 その勇気が出なかったのだ。 ケンジは毛布の中で手を動かしてみた。 その手は自分の腕ではないかのようにまったく力が入らない。 しかし、ケンジは何とかその腕を自分の顔に持ってこようとしていた。 その手を股間なり胸なりにあてれば、そのひどいことが実際に自分の身に起こったかどう かはっきりするのだが、ケンジはそうすることがどうしてもできなかったのだ。 その代わり、堅持は自分の顔を不自然に覆っているもの・・・それは実際にはケンジの 顔を整形した時に巻かれた包帯なのだが、その正体を確かめようとしていたのだ。 そう、ケンジは性転換手術と豊胸手術だけではなく、同時に顔の整形手術まで受けさせら れていたのだ。 普通はこれらの手術を一気に行うことはない。しかし、ケンジの男性と しての自己認識を早急に転換するために、顔の整形まで同時に行われたと言う訳だった。 今やケンジのあごの骨は細く削られ、うりざね型に整えられていた。また鼻は細く小さ く形を整えられ、まぶたも二重にされていた。そしてこけていた頬も内部に樹脂を入れて ふっくらとした形にされている。 しかし、そうとは知らぬケンジは、顔を覆って違和感 を与えているものの正体を確かめようと今、力の入らぬ腕を一生懸命顔まで持ってこよう としているのだ。 ジェード・コネクション28 途中、ケンジの手が柔らかな肌触りのいい布に触った。 それはケンジが着せられているピンクのナイロンネグリジェだった。 その途端、ケンジの記憶がどっと戻ってきた。 や、やっぱ女の服着せられている。お、オレは本当に女にさせられたんだろうか。 暗雲のような不安が一気にケンジの心を襲った。 股間の痛みと胸の痛みがケンジの疑心を完全に裏付けていた。 ケンジは胸のあたりに手を持っていった。 柔らかなネグリジェに包まれたケンジの胸は明らかに今までにはない盛り上がりを見せて いた。 その胸は包帯らしいものでしっかりと固定されていた。 お、オレにおっぱい付けやがった・・・・ あまりのことに愕然とするケンジ しかし、それにも増して不安は自分の股間のことだった。 股間から伝わる痛みは、明らかに彼らが何をしたのかを如実に物語っていた。 しかし、 ケンジはまだ自分のペニスや睾丸が残ってそこにあることに一縷の望みをかけていた。 良太が女にされた現実を見ているにもかかわらず、ケンジは藁にもすがる思いで自分の大 切な股間が女にされていないと思い込みたかったのだ。 確かめるのは簡単だった。 ベッドに起き上がって、自分の股間を覗けばいいだけだった。しかし、ケンジにはどうし てもその現実を確かめる勇気が出なかった。 ・・違うよな、こんなことがあるわけないよな、目が覚めたらこんな変な夢からめるよ な・・・ ケンジは何度そう思ったか知れなかった。何度も何度もこの悪夢から覚めようと思った。 しかしこの悪夢は一向に覚める気配はなかった。 身体のあちらこちらに加えられた手術 のせいで、ケンジの体力はどん底に落ちていた。そのせいもあるのだろうか、ケンジは やがて全てを忘れさせてくれる深い眠りへと堕ちていった。 ジェード・コネクション29 それからどのくらい経ったろう。ねっとりと粘りつくような眠りからケンジは徐々に目を 覚ましていった。 ケンジにとっては二度と目を覚まさなければどれほど幸せだったこと だろう。 しかし、ケンジは夢の世界から現実の世界へとまた戻ってきていた。 身体全体のの痛みはまだ続いていた。 しかし今度は目覚めと同時にケンジはその痛みが何なのかはっきりと認識していた。 顔も首も下半身もうずくような痛みがあった。 ・ ・・今日は何曜日かなあ、マージャンやりてえなぁ 現実からの逃避のためにケンジはまったく関係ないことを考えようとしていた。 ・ ・・そう言えば俺は松下の兄貴にマージャンの負けまだ払っていなかったっけ。 ケンジがそんな物思いにふけっていたときに、病室のドアが開く音が聞こえた。 ケンジは反射的に寝ているふりをした。 「さあ、美保ちゃん、診察の時間だよ。寝た振りしても駄目だよ。 ちゃあんと起きているの分かっているんだから。」 その声は内藤のものだった。 ケンジはその声を聞くだけでおぞましさに総毛だつのを感じた。 ・ ・・約束したのに、人を騙しやがって。 内藤の顔を見るのも嫌だった。それに自分のことを完全に女の娘扱いにして美保などとい う名前で呼ばれることも一層内藤に対する嫌悪感をかきたてた。 もしこんなに力が萎え ていなくて五体満足だったならば、ケンジは即座に内藤に飛び掛っていたに違いない。 しかし悲しいかな今のケンジにはベッドの上でもぞもぞと動くだけの力しか残っていない のだ。 「さあ、起きて陳先生に手術の予後がどうなっているのか診察してもらうからね。 看護婦(フーシー)さん、彼女(タアー)をベッド(チユアングザオ)の上に起き上がらせて (パーキイライ)くれないかな。」 看護婦は陳先生と同じ中国人だった。そのせいなのか 内藤は中国語と日本語のちゃんぽんで看護婦に話しかけるようになっていた。 ケンジが 目を開けると、そこには内藤と陳先生、それに2人の看護婦の他ケンジが今までに見たこ ともない男性が3人立っていた。 ジェード・コネクション30 ケンジは毛布を剥がされたくなかった。 剥がされれば嫌でも豊胸された胸が目に飛び込んでくるだろう。また身に纏わされている 恥ずかしいネグリジェ姿をみんなの前にさらす事にもなるのだ。 ケンジは弱弱しくいや いやをした。 しかしそんなケンジの抗議にもかかわらず2人の看護婦は手際よくケンジの上に掛かって いた毛布を剥がしてしまった。 毛布の下のケンジはショッキングピンクのナイロンネグ リジェ姿だった。 自分の着せられているそのネグリジェを目にしてケンジの動きが止まった。 「い、嫌だ、やめて下さい」 ケンジはそう言おうとした。しかし喋ろうとすると喉の痛みのためにほとんど喋ることが できない。 「おっと、喋らないほうがいいぞ、なにしろ喉仏を削って声帯を細くする手 術したからなぁ、傷口が直るまで喋っちゃあだめだ」 ・ ・・な、何のためにそんな手術を・・・ ケンジはそう思った。 するとケンジの心を察したかのように内藤が言葉を続けた。 「何で声帯まで手術するんだろうと思っているんじゃあないかな、それはね、今後美保ち ゃんには野太い男の声ではなく、可愛らしいソプラノの声で喋ってもらいたいからだよ。 それと喉仏をなくして女らしい美しいネックラインになって欲しいからね。傷が治ると美 保ちゃんは一生低い声は出せなくなっているからね。よかったね。女の子の身体に似合っ た声になれて。」 ケンジは自分の声が女のように甲高い声になってしまうことが信じら れなかった。 しかし、そちらのほうに気を取られているすきに看護婦が手際よく自分の ネグリジェ前ボタンを外し始めたのに気がついた。 ・ ・・あっ、見られてしまう。 ケンジは反射的にそう思った。 ジェード・コネクション31 以前ならば自分の股間をさらけ出すような目に会ったとしてもこんなにはうろたえなか ったに違いない。しかし、今のケンジは自分の股間を絶対に人前にはさらせたくなかった。 女性のものに無理矢理変えられたその部分を他人の・・・大勢の人の目にさらすことは耐 え切れないほどの恥辱だった。 ネグリジェの下の胸は白いバンデージでぐるぐる巻きに されていた。しかしそのきつく巻いてあるバンデージは明きからに女の乳房の存在を示す ように大きくこんもりと盛り上がっていた。 ・ ・・ああっ、胸が、おっぱいが大きくなっている。 ケンジの頭の中で悲鳴が響いた。 それは自分が予想していたのをはるかに超える大きさだった。 ケンジの胸は巨乳に変えられていたのだ。 その事実だけでもケンジの精神を真っ白に変えてしまうほどのことなのに、またケンジの 目に飛び込んできたのは自分の下半身だった。 その下半身は白いシルクパンティを穿か されていた。女らしいレースを使った上品なパンティだった。 そのパンティの薄い布地 を通して、ケンジの股間にあてられた大きな白いガーゼがくっきりと見えた。 そしてパンティのまたぐりの横から一本の細い管がベッドの下のほうに伸びていた。 導尿カテーテルだった。 このカテーテルは短く切断された尿道の傷口が塞がってしまわないように差し込まれたも のだった。 看護婦の一人がケンジのお尻の下に手を当てるとくるくるっといった感じで ケンジの白いパンティを脱がしてしまう。 ・ ・・ああっ、嫌だ 心の中でいくら強く思ってみても、体力が消耗しきって自由のきかない体ではどうしよう もなかった。 ケンジの意に反して片方の足からパンティが外されてしまった。 ジェード・コネクション32 片方の足に残っているパンティはひどく小さく頼りなく見えた。 以前のケンジならばパンティがこのような状態で女の足に絡まっていればたちまち股間を 大きく勃起させていただろう。しかし、悲しいかなパンティをそのような状態に脱がされ ているのは自分であり、しかも今となっては勃起する肝心のものが跡形もなくなくなって いるのだ。 ケンジは自分の両足をなんとか閉じようとした。しかし、今度は両方の脚を 看護婦が抱えて閉じさせようとしない。それどころかどんどんとケンジの両足を大きく開 かせ始めた。 こんなに弱っていなければケンジは無理矢理自分の両足を閉じることがで きただろう。しかしそれは今のケンジには無理なことだった。 結局、ケンジの両足はこ れ以上開けないくらい大きく開かされてしまった。 周りにいた男どもがゴクリと生唾を飲み込みながら自分のほうににじり寄ってくるのをケ ンジは目の片隅で捉えた。 「さあ、美保ちゃんの女の子に変えられてしまった部分の御開帳〜。」 内藤の言葉に合わせたように陳先生の手がケンジの股間に当てられたガーゼを慎重に剥が していく。 「アイヤー」 ケンジを取り囲んだ男たちの口からいっせいに感嘆の声が上がった。 ケンジの股間はまだ手術後も痛々しく赤黒く腫れ上がり、手術用糸の縫い目もそのままに はなっているが、一条の深い割れ目が縦に入り、どこから見ても女の性器そのものだった。 しかもペニスを加工して作ったクリトリスがその割れ目の間から可憐にそして恥ずかし げに顔を覗かせている。 ケンジは一瞬だけ、ほんの一瞬だけ自分の股間を見た。 その一瞬で十分だった。 自分の股間が本当に無残に変えられていたのだ。ケンジの心臓はぎゅっと締め付けられる ように痛み始め、目の前がすうっと真っ暗になっていく。 ケンジは生まれて初めて本当 の女の子のように失神してしまった ジェード・コネクション33 6.良太2 次に良太が目覚めたときに、彼は全身をベルトでしっかりと固定されており、身動きひと つできない状態だった。 単にベルトで固定されているという生易しい状態ではない。 それこそ身体に数十本ものベルトが巻きつけられており、ぐるぐる巻きの状態で呼吸ひと つするのも一苦労だった。 良太は全身を拘束しているベルトの痛みとともに下腹部にも 生易しいものではないくらいの鈍痛を感じていた。その痛みは丸で股間を思いっきり蹴ら れた後のような痛みだった。 「ああ、気がついたね。我慢してくれよ、こうでもしない ことには君は危険極まりないからね。あの鎖を引きちぎったことで十分分かったよ。」 声と同時に良太の顔を覗き込む男がいた。 それはあの内藤と呼ばれていた男だった。 「うううううっ」 良太は喋ろうとした。しかし首にまで食い込んでいるベルトと下腹部を襲う鈍痛のために、 口から出たのは獣じみたうめき声だった。 「はははっ、ゴリラ並みの元相撲取りもここ までがんじからめにされちゃあ流石に身動きひとつできまい」 内藤は優越感たっぷりの 口調で言った。 「ち、ちっくしょう」 良太がようやく言えたのはその言葉だけだった。 「きみがあんなに暴れるもんでね、おかげで我々は君を予定より早く女性化しなくては ならなくなった。」 内藤はまた訳のわからないことを言い始めた。 そして良太の目の前に中くらいの大きさの瓶を差し出した。 その瓶の中には少し粘性のあるような液体に漬け込まれた白いウズラの卵状のものが2個 沈んでいた。その卵状のものには血管らしい組織が付着しているところを見るとそれは何 かの臓物の一部であることが明白だった。 「これは何かわかるかね」 内藤はニヤニヤしながら言った。 「・・・・」 声を出すことができない良太はせめて眼力でもと内藤をねめつける。 ジェード・コネクション34 「そうか、分からないかね。おかしいなあ、懐かしくないかね、元は自分の体に付いて いたものなのに。」 その言葉に良太はみるみる青ざめる。 それはどう見てもキンタマだった。そして自分の下半身の耐え切れない鈍痛のことを考え ると・・・結論はたった一つしかなかった。 「・・て、てめえ・・・まさか」 搾り出すように声を出した良太を内藤がさえぎるようにして言った。 「そうとも、ようやく気がついたね。とにかく君は危険すぎるからね。本当はもっと後に 去勢するつもりだったんだが、先にタマ抜いて大人しくさせておかないと我々の身が危な いもんだからね。」 良太は反射的に自分の股間をまさぐろうとした。当然本当にタマを 抜かれたかどうか確かめるためだった。 しかし、体中をベルトで固定されている良太は 腕一本動かすことができない。 「ああ、自分のタマ抜きされた股間がどうなっているの か見たいんだね。せっかちな娘さんだ。だが今君の身体を自由にすることはできない、去 勢したばかりでまだ気性の荒さとゴリラじみた腕力は残っているからね、これから君を女 の子にするために徹底的に改造してもっともっと女の子らしくなって、筋肉も女の子並み になってきてから見せてあげよう。それまでの辛抱だ。」 内藤はそこで言葉を切って、 良太の反応を伺った。 ・・ちっきしょう、こんな訳のわからないやつ等の手にかかってキンタマ抜かれちま うとは・・・ 良太の心に初めて彼らに対する恐怖が芽生えた。 それはこのように全 身をがんじがらめにされ、身動きひとつできないという無力感から来た恐怖心でもあった。 しかし、もっと根本的には自分を女に改造しようという変態じみた性の対象物 になっていることへの恐怖心があった。それは身体にまとわりつく汚物のように良太 の心をひるませた。 もし身体を自由に動かせたならば良太は今のように恐怖を感じる ことなどなかったに違いない。 自分が無力であるということは非常に恐ろしいことだ と良太は初めて実感した。 「まあ、このタマタマちゃんの入っているビンは君が本当 の女の子になった記念に君の見えやすいところに置いといてあげよう。」 ジェード・コネクション35 内藤はホルマリンに漬け込まれた睾丸の入っているビンを良太ベッドの横の小さな物入れ の上に置いた。 「まずは君のその余分な筋肉と脂肪を落とすことにする。ああ、安心したまえ、ダイエッ トの時間のほとんどすべてを強力な睡眠薬を注射してあげるから、君はその期間ずっと眠 り続けていることになる。本当に君は筋肉質だなあ、この余分な筋肉と脂肪をなくするた めには2ヶ月くらい君はカロリーを一切取らないまま眠り続けることになるだろう、ああ 、もちろん水分とミネラル、必要なビタミンだけは点滴で投与してあげるけど、カロリー は一切なしだ。君は骨と皮ばかりになるだろう、それからだよ、それから、君に新しい血 液を輸血して体中の血液を交換するのは。」 そこで良太の頭は混乱した。 オレの身体から筋肉と脂肪をなくするために食事を取らせないのは分かる。 しかしそこで何故輸血の話が出てくるのだろうか。 良太は内藤が何をもくろんでいるのか理解することができなかった。 「君の血液の代わりに君の身体を満たす新しい血液が何か知りたいかね」 内藤は良太の顔に浮かんだ当惑の表情を楽しむかのように言った。 「その血液はね、若い女性達から採取したものだ。君の全身の血は女の血に取って代わ られることになる」 ・ ・・女の血だと、オレの血は女の血に置き換えられるというのか・・・ 良太は少しうろたえながらそう思った。 もとよりあまり学のない良太であっても、武闘派として知られ男の中の男と自負している 自分の血が軟弱な女の血と変えられ汚されることがひどくまずそうなことは容易に理解で きた。 「・・・ちっきしょう、ふざけるなよ、てめえ・・・」 良太はのどの奥からようやくその罵倒の言葉を搾り出した。しかし、首を圧迫するベルト のせいでその啖呵もひどく弱弱しいものとなってしまった。 「はっはっはっ、マッチョで危険なヤクザの若手としてメキメキ売り出していた君が去勢 どころか女の血を入れられてしまうのだからね、君の仲間が聞けばさぞ笑い転げるだろうな」 内藤は愉快そうに言った。その言葉は良太の神経を逆なでした。 ジェード・コネクション36 「体中が女の血に置き換わればどうなるか知っているかね。」 内藤は言葉を続けた。 「なにしろ若い女ざかりのピチピチした新鮮な血液だからね、大量の女性ホルモンがその 中に溢れかえっている。君の身体はあっというまに女性化して、柔らかく皮膚もきめ細か になっていくし、ウェストが細くなりおっぱいやお尻も大きくなってくるだろうね。」 良太はいつしか言葉を失っていた。血液を女のものに交換され女性化するという恐怖がじ わりじわりと良太の心をすくみあがらせていく。 「それにね、この血液は若い女の子の血液を集めたものであることはさっきも言ったと思 うが、それだけではないんだよ。」 ここで内藤は言葉をいったん切って良太の反応を楽しむかのようにインターバルを置いた。 「この血液はね、実はね、同じ性格タイプの女の子の血液を集めているんだ。全部で3種 類あるんだが、どれを君に輸血しようかね。ちなみにどんなのがあるかというと、一つ目 はどんなにひどい目にあっても男に尽くすタイプの血液だ。夫に裏切られ殴られ蹴られて もじっと耐えるという女の鏡みたいな性格に変わる。こんな女性は今の日本にはあまりお 目にかかれないよね。こういう血液などはどうかね。三つ指ついて夫の帰宅を迎え入れる ような従順な妻になれる訳だ。いやかね、ならこういうのはどうかな、二つ目の血液は男 にいじめられることに性的快感を感じる強度のマゾ女の血液だ。浣腸や鞭打ち、ロウソク プレイに荒縄縛り、どれをされてもあそこをびしょびしょに濡らしながら感じまくる女達 から取ったものだ。この血液を輸血されると男にいじめて欲しくて堪らなくなるぞ。 そうしたら早くおっぱい膨らませていじめてもらいやすいようにしてあげよう。・・・な に、これも嫌か、贅沢だなあ。それならば最後に残ったこの血液しかないなあ。これは男 と46時中セックスしないではいられない淫乱色情狂タイプの血液なんだ。それもなるべ く変態っぽくプレイするのが大好きな女の血液ばかり集めたものだ。看護婦や女子高生の 制服を着て輪姦されたり野外でスカートめくられバックからズコズコ犯されるのが大好き な女たちの血液だ。どうかね、このうちのどれかを君の血液と完全交換してあげよう。 血液が君の身体になじんできたら性格が劇的に変わることとなる。つまりお手軽に君を女 にできると言うわけだ。」 ・ ・・こいつらホンマ物の変態か・・・ 良太はそう思った。こんな変態どもの言うことが本当に可能かどうかの知識は良太にはな かったが、少なくともウソを言っているようには思えなかった。 ジェード・コネクション37 夜の世界に関係している良太は、本当に危険な変態を何人も知っていた。 そいつらは自分のキチガイじみた性欲を満たすためならけっこう残酷なことをやってき た良太でさえ思わず目を背けたくなるようなどんなヤバくひどい事でも平気でやっての ける連中だった。 今目の前にいる男からはそんな危険な匂いがプンプンと漂っていた。 ・ ・・ヤバイ、こいつら本気でオレを女に変えちまうつもりだ・・・ 良太はそう確信した。しかし、確信したもののそれからどうしたらいいかが皆目検討がつ かなかった。 生まれて21年、相撲取りも極道も経験し、組で最も危険な男と自他共に認めていた自分 が女にされようとしているのだ。 「さあ、どの血液がいいかね。どのタイプの女の子になりたい? 我々も鬼じゃあない、 特別に選ばせてあげよう。」 そう言われて、これにしますなどと言う訳はなかった。良太は内藤の問いかけに押し黙っ たままだった。 「はははっ、きっと恥ずかしいんだね。そうだろう。なにしろ末は大関か横綱かとまで言 われた男の中の男が自分の口からマゾ女になりたいだとか淫乱娘になりたいだとかはなか なか言えないもんだよね。」 内藤は恐怖を感じ始めてきた良太に対して完全に優位に立ったことを確信したのか、言葉 でもってネチネチと良太をいたぶり始めた。 「でも、我々もヒマじゃあない。早いとこ決めてくれなければ我々も結構忙しいんでね。 なかなか言えないんだったら、どうだろう、私が決めてあげようじゃあないか。」 内藤は良太を無視してどんどん話を進めていった。 「そうだなあ、君は今までその恵まれた体格を生かし大勢の人々を痛めつけた訳だから、 今度はその罪滅ぼしに君が痛めつけられる番だと思うのだが、どうだろうか。男に命じら れれば喜んで男のおしっこを飲んだり、おまんこに色々ないやらしい棒を突っ込まれたり 、縄で縛られたおっぱいをもて遊んでもらったりと、つまり真性マゾ女として残りの一生 を男の慰み者になるというのはどうだろう。いいアイデアじゃあないか。」 内藤の提案は予想したようにひどいものだった。昔、究極の選択という遊びがあったが、 今回の選択はそれに近いものだった。 jade02.txtに続く