ある性転者の告白 作:高野奈緒美
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る性転者の告白66

  「ううん、そ・・・そんなわけないわ・・・・心の中まで・・・変わるなんて・・・・でも、この感覚はどう見ても・・・女の子の感覚・・・ああ、どうしたんだろう・・・奈緒美・・・どうなっちゃったんだろう・・・?」
 私は、心の中にわき上がってくる『女の子の感覚』を打ち消そうと、独り言を言いながら、何度も首を振りました。けれども、それは、ほんの一瞬の逃避しか与えてくれません。少しでも、気を許すと、その『女の子の感覚』は再び頭をもたげ、無意識の内に心の中を占めていくのがわかりました。
 そのような劇的なまでの心の女性化をもたらした最大の要因は、もちろん、その時も体内を流れている女性ホルモンの活発な動きによるものでしたが、実は涼子から与えられたテープがそれを助長する役目を果たしていたのです。そのテープから流れる音の重なりは、確かに、私の心を落ち着け、穏やかで優しくしてくれる効果はありました。けれども、随所に入る囁きのような、かすかな声は、別の目的を持っていたのです。それは、村井と涼子が私の手術を担当した医師である小島に相談の上、特別に作らせた、一種の催眠療法用のテープだったのです。そして、その目的は、私に生まれながらの女であるという錯覚を与えると同時に、体内での女性ホルモンの吸収を、より活発にさせ、ひいては、女性としての本能、つまり、意識や感覚だけでなく、女性としての性欲までも開花させることにあったのです。
 そのテープを、単なるリラクゼーションのためのものだと信じていた私は、その後、約10日間、部屋にいる時は、ほとんどエンドレスにその音の重なりがもたらしてくれる幸福感に身を委ねたのです。そして、この10日間を境に、心の女性化は急激に進み、テープから離れた後も、止まることはありませんでした。現に、あえて意識をしなければ、男としての自分を見失ってしまい、自然に女言葉を口にしたり、女言葉でものを考えている自分に気づくようになっていたのです。
 ですから、前述したような仕草、つまり、本城や田中の若い情欲を露わにした視線を受けた時に、女性としての羞恥心から、思わず、本能的にスカートの裾を気にしたり、恥じらいの表情を浮かべたりしたのは、ごく自然なことだったのです。
「それじゃ、今日は、一つ目のテストを受けてもらうからね・・・。」
 涼子は、私がうつむきながら恥ずかしそうにしている仕草に、テープの効果を感じ取ったのか、満足そうな笑みを浮かべて言いました。 「は・・・はい、お姉様。でも・・・何のテストですか?」
 私は、自分の口から、ごく自然な女言葉が不思議なくらいスムーズに発せられることに、多少の驚きを感じましたが、それも長期に渡って強要された結果、単に慣れから生じているのだろうと思っていました。もちろん、それは、体内に流れる女性ホルモンとテープの効果だったのですが。 「まずは、あなたの本能を調べさせてもらうわ・・・・。」 「ほ・・・本能・・・」  私は涼子の言葉の真意を測りかねて、ただオウム返しのように呟きました。
「そう、本能・・・。ううん、もっと簡単に言っちゃえば、あなたの性欲がどんな風に変わったかを見てみたいのよ。みんなもすごく興味あるんですって・・・フフフフ・・・、私もすごく、興味津々・・・。」 「・・・・?」  私は涼子の口から発せられた「性欲」という直接的な表現に何となく違和感を覚え、彼女の口元を無言のまま見つめていました。 「あなた、この前、新宿で男たちの視線を浴びて、オチンチンが固くなっちゃったって言ってたけど、もしかしたら、それって、私たちのご機嫌を取るために嘘言ってるんじゃないかなって思ったのよ。ここにいる人は誰も確かめたわけじゃないしね・・・。それで、もう一度、小島先生に聞いて、びっくりしたんだけど、睾丸まで取っちゃったあなたに新しい精液を作る能力はなくなっているけど、オチンチンの中には少しだけだけど、前の精液が残っているかもしれないんですって・・・。だから、もしかすると、その精液を放出したいという男としての射精本能があなたのオチンチンを固くしちゃったのかもしれないって・・・。だとしたら、ちょっとその射精本能を刺激してあげれば、反応を示すはずだって・・・。でね、そのためのお薬をね・・・フフフ・・・」
 涼子は、思わせぶりにそう言うと、私の目の前に置かれた、空のグラスに目を落としたのです。そのグラスは、私が10分ほど前に、中のアイスティーを飲み干したばかりのものです。そう言えば、どことなくいつもと違う苦みのようなものを感じられたことを思い出しました。

ある性転者の告白67

  「え・・・?な・・・なんかお薬が・・・入っていたんですか?」  私は、急に不安に襲われ、口ごもりながら言いました。 「フフフ・・・、そんなに心配しなくても大丈夫よ・・・。別に悪いお薬じゃないんだから・・・。ただ、ちょっとね、あなたの性欲を刺激するためのお薬・・・まあ、催淫剤みたいなものかな・・・。普通の男の人なら、これを飲むと、すぐにオチンチンがたっちゃって、我慢できなくなるんだって・・・。でも、タマタマまで取っちゃった、あなたにはちょっと無理みたいね・・・。だって、何も反応してないみたいじゃない?あなたのオチンチン・・・。フフフ・・・。」
 涼子の言葉に、私はドキっとしました。と言うのも、数分前から、何となく身体が火照ってきて、呼吸が徐々に荒くなっているのに気づいていたからです。しかも、スカートの中を覗かれまいと太股の上に置いた掌を、気づかれないように少し上に上げてみると、わずかに固さを増した自分の小さなペニスの反応も感じ取れるのです。催淫剤の効果は、睾丸を失った私にもはっきりと現れていたのです。ただ、通常の男性のようにすぐに反応を示すと言うほどの即効性がなかっただけのことです。 「あ・・・あの・・・実は・・・さっきから・・・あの・・オチンチンが・・・あの・・・」
 私は、じっと下を向いたまま、かすれるような小さな声で言いました。もしも涼子の説明が本当であるなら、催淫剤によって効果が現れるということは、喜ぶべきことでした。なぜなら、私の男性としての機能が完全に失われたわけではないことの証明になるからです。けれども、その時の私は、なぜか非常な羞恥心に襲われていて、自分の身体の変化をはっきりと告げることに躊躇いがありました。それは、女性ホルモンとあのテープによって芽生えさせられた女としての意識と、男に戻らなければならないというわずかに残った理性との間で起こっている葛藤のためでした。 「んん?オチンチンが・・・?オチンチンがどうしたの?ええ?まさか、固くなっちゃったとか?」
 涼子は、わざとらしく驚いて見せると、掌で隠していた私の下半身に目をやったのです。 「は・・はい・・・実は・・・そうなんです・・・オチンチンが・・・固くなってきて・・・るんです・・・。」  私は、羞恥心を捨て去って、正直に告げたのです。いえ、本当のことを言うと、かすかだった下半身の反応が時間の経過に従って、徐々にはっきりと現れてきていて、抑制が効かなくなってきたからなのです。 「あら・・・そうなの?なんだ、やっぱり、心の中は男のままだったってわけなんだぁ・・。ふぅん、そうかぁ・・・。なんか、残念ね・・・。」
 涼子は、落胆した表情を浮かべながら、小さくため息をつきました。しかし、次の瞬間には、口元に冷淡な笑いが戻り、言葉を続けたのです。 「じゃあさ、ここで、みんなの前で、見せてご覧なさいよ・・・。あなたの固くなった、オチンチンを・・・・・フフフ・・・。」 「ええ?あ・・あの・・・こ・・・ここで・・・ですか?」 「そうよ、ここでよ・・・。決まってるでしょ?服を全部脱いで、見せるのよ・・・。」 「そ・・・そんな、恥ずかしい・・・です。皆さんの前で・・・裸になるのは・・・許して・・・。」 「何言ってるのよ?これは最初のテストなのよ。そんなことじゃ、合格なんてできないじゃない・・・?ああ、もういいわ、面倒くさいから、充ちゃん、聡ちゃん、脱がせちゃいなさいよ。早く・・・。」
 涼子は、ニヤニヤしながら私たちのやり取りを聞いていた本城と田中に目配せをしました。
 二人は小さく頷くと、村井の方に顔を向け、同意を求めるような視線を送ったのです。村井はニヤリと相好を崩すと、黙ったまま大きく頷き返したのです。 「い・・・イヤ・・・お願い・・・裸にするのは・・・イヤ・・・イヤァ・・・」
 私は目の間に仁王立ちになった本城と田中に哀願するように見つめながら、身を固くしました。けれども、二人はそんな私の言葉など、耳に入らないかのように、下卑た笑みを口元に浮かべながら、身体を押さえつけてきたのです。 「や・・・やめてぇーっ・・・」
 私は両手足を必死になってバタつかせましたが、すぐに屈強な二人の若者の力によって押さえつけられると、その後は何一つ抵抗らしい抵抗を示すこともできなかったのです。自分の筋力がそんなにも衰えているのだということを実感させられた瞬間でもありました。

ある性転者の告白68

  「それにしても、ホントにいい身体してやがるぜ・・・。なあ、お前たち・・・?」 「本当っすよね、オッパイの形なんて完璧っすよねぇ・・・。ああ、たまんねぇ・・・。」 「俺は、こいつのプリンってしたケツとシュッとした長い脚がいいっすよ、やっぱ・・。ああ、ダメだ・・・チンポたってきたぜ・・。」 「バカ野郎・・・今日は我慢しろ・・・、涼子に言われてるんだからな・・・アハハハ。」
 私は、そんな下品な言葉を浴びながら、両腕で、豊かな胸と下半身を覆うと、ソファの片隅で小さくうずくまるしかありませんでした。 「ほら、隠しちゃダメでしょ?私たちに見せてごらんなさいよ。あなたのオチンチンがたってるとこ・・・。ほら、早く・・・。」 涼子はそう言うと、下半身を覆っている右手の手首をつかむと、強引に引き離そうとしました。
「ああ、は・・恥ずかしい・・・お願い・・・見ないでぇ・・」  私は消え入るような小さな声をあげながらも、最後の抵抗を示そうと右手に力を入れました。けれども、それは全くの無駄だったのです。女性である涼子の腕力が、男である自分のそれを上回っていたからです。ほっそりとして力のない私の手首はいとも簡単にねじ上げられてしまったのです。
「あらぁ・・・確かにピンとして、たっちゃってるみたいだけど・・・、でも、それにしてもちっちゃいわねぇ・・・。ほら、見て、見て・・・私の小指よりも小さいじゃない、イヤねぇ・・・ホント・・・これで、男の勃起なんて言えるの・・・?アハハハ・・。」  涼子は、そう言いながら、左手の小指を、私のペニスに添えるようにして、村井たちに見せつけるのでした。 「ホントに情けねぇくらいちいせぇなぁ・・・。だけど、これは、チンポじゃねぇんだろ?なぁ・・・涼子?」 「あ、そうだったわ。クリちゃんだったんだものね。まあ、クリちゃんとしてなら、ちょっと大きめかもね・・・アハハハ・・・。」
「お・・・お願いです・・・もう・・・もう、許して・・・。」
 私は、両手で顔を覆いながら、訴えるように言いました。 「あら、何言ってるのよ・・・。これからがおもしろいんじゃない・・・。フフフ・・。」 「こ・・・これ以上・・な、何を・・・、もう、お願いです。オチンチン・・・固くなってるとこだって・・・見せたんだし・・・もう・・・。」 「バカね、このくらいのことで、テストが終わるわけないでしょ・・・?それに、オチンチンだなんて言っちゃダメじゃない・・・?女の子なんだから、クリちゃんって言うのよ。ほら、こんなにちっちゃくて可愛いんだもの。クリちゃんって言ってあげないと可愛そうじゃないの・・・。フフフフ・・・じゃあ、今度は、ちょっとクリちゃんの感度を調べてみようかしらねぇ・・・。フフフ・・・。」
 涼子はそう言うと、情けないほどの小さな勃起を示している私のペニスに指先を触れてきたのです。その瞬間、ピクンっという小さな電流が私の全身に走りました。 「アン・・・い・・イヤ・・・」 「あらあら、結構敏感なクリちゃんね・・・。フフフ・・。じゃ、これは、どう・・・?でも、それにしてもちっちゃいわねぇ・・・。これじゃ、握ることもできないじゃない・・・情けないわねぇ・・・。赤ちゃんのオチンチンの方がよっぽど立派よ・・・フフフ・・・。」
 涼子は、人差し指と親指で私のペニスをつまむと、村井たちに見せつけるように、ゆっくりとさすり始めたのです。

ある性転者の告白69

  「アアンン・・・だ・・・ダメ・・・お・・お願い・・・止めて・・・」
 小さな電流が徐々に大きな波動に変わり始め、体中を駆け抜けていきます。私は、口元から小さなあえぎ声が、無意識のうちにこぼれ出るのを抑えることができなくなっていました。 「アア・・・アアンン・・・」 「まあ、ホントに女の子みたいね。そんな可愛い声あげるなんて・・・・。フフフ・・・。でも、こんな可愛いクリちゃんに最後のザーメンが残ってるなんて、信じられないなぁ・・・。そうだ、ねえ、あなた、私たちの前で、オナニーして見せてよ。そんな完璧なプロポーションをした女の子がザーメン出すところなんて、滅多に見られるものじゃないもの。あ、そうそう、充ちゃん、ビデオ用意してよ・・せっかくだから、撮っておこうよ・・・。フフフ・・・。」 「イ・・・イヤ・・・イヤです・・・そ・・・そんなこと・・・」
 私は、何度も首を左右に振りながら、拒否しましたが、涼子はそんな私の反応を楽しむかのように、ペニスへの刺激を続けたのです。催淫剤で敏感になった私の身体からは、抗う理性の心が消えていきました。 「アアアンン・・・・アアぁ・・・」 「フフフ・・・どうするの?オナニー姿見せるだけじゃない?もう、そんなこと恥ずかしくないでしょ・・・?あなたの記念すべき男としての最後のオナニーをビデオに残しておいたほうがいいでしょ?ね?」
 私は、涼子の問いかけに、小さく頷いてしまいました。もちろん、それは、テストという強制力がもたらす答えではありましたが、本能から出た無意識の欲望による反応でもあったのです。
 ビデオカメラがあっという間にセットされ、私の右耳には、涼子からの指示を受けるための、あのイヤホンがはめられたのでした。もちろん、その間も私のペニスを刺激する涼子の指の動きが止められることはなく、性感の高まりは、まさに頂点の一歩手前まで引き上げられていたのです。 『いい?じゃ、始めるわよ・・・、フフフ・・・。あなたの目の前に写真集があるでしょ?うん、そうよ、それ・・・。あなたもオナニーするのになんか欲しいでしょ?だから、用意してあげたの。』  私はイヤホン越しに聞こえてくる涼子の声を耳にし、性欲の高ぶりを抑えながらも、目の前に置かれている写真集に目を落としました。よく見ると、それは、私のよく知っている某セクシーアイドルの写真集で、販売時にはかなり話題にもなったものでした。実は、数ヶ月前までの私は、そのアイドルの大ファンで、その写真集自体も持っています。しかも、恥を忍んでお話しすると、彼女を思い浮かべながらオナニーをした経験も一度や二度ではありません。きっと涼子は、私がそのアイドルのファンだということを知った上でその写真集を用意したのだと思います。
『フフフ・・・驚いた?知ってるのよ、ファンだってこと。じゃあ、そのアイドルとエッチしていることでも想像しながら、オナニーをして見せてよ。クリちゃんなんかじゃなくて、りっぱなオチンチンだってことを・・・。フフフ・・・・。』  私は小さく頷くと、写真集を手に取り、ページを開きました。実は、私にはその写真集の中に、かなり気に入った作品があり、オナニーの際には、たいてい開いていたページがあったのです。憂いを含む思わせぶりな表情でこちらを見つめながら、抜群のプロポーションを誇示するかのように大胆なポーズをとっている彼女の姿を、私はすぐに見つけ出すことができました。
 私は、そのページを見つめながら、右手をペニスにのばすと、先ほどまで涼子がしていたように、人差し指と親指でつまむようにさすり始め、次に来るはずの性欲の波を待ったのです。

ある性転者の告白70

  『やっぱり、心の中は男なのね・・・、小さくなってもオチンチンはオチンチンだってこと・・・。わかったわ。じゃ、続けて・・・。遠慮しなくていいから・・・。』
 私は、指の動きを速めながら、涼子に言われるまま頭の中で、そのアイドルとのSEXを想像しようと目をつぶりました。
 ところが、不思議なことに、そんな空想のシーンが全く浮かんでこないのです。いえ、そればかりではありません。催淫剤と涼子の指の刺激とで、頂点の一歩手前まで高められていた性欲の波がどんどん小さくなっていくのがわかったのです。私は焦りました。そのアイドルを思い浮かべながらのオナニーが途中で萎えることなどなかったからです。私は、さらにエロチックなシーンを想像しようと頭を巡らせながら、指に力を入れました。けれども、やはりダメでした。私が彼女を犯しているというエロチックなシーンそのものが、いえ、自分が女性を犯すという行為自体が全く空想できないのです。  私は、離れたソファに座って指示を送り続けている涼子の方に視線を向けると、小さく首を横に振りました。 『うん?どうしたの?せっかく男としての最後のオナニーをさせてあげようと思ったのに、できないの?おかしいわねぇ・・・。あら?また、ちっちゃくなっちゃったじゃない?あなたのオチンチン・・・。変ねぇ・・・ファンだったんでしょ?』
 指示された内容以外の言葉を発することの許されていない私は、もう一度、首を振ることで意志を伝えました。 『しょうがないわねぇ・・・・、じゃ、もう一冊の方で試してみましょうか?たぶん無理だと思うけど・・・。あなたの後ろ、うん、そう、袋があるでしょ。その中に写真集が入っているから、取り出してみて・・・・。』  私は、心の中では性欲の高まりを感じながら、肉体的にはその反応を示さなくなってしまったペニスを右手で隠しながら、後ろを振り向くと、置かれていた茶色の袋に手を伸ばしました。 (うん?これって・・・・もしかして・・・)
 その見覚えのある袋は、私が4日前に屈辱的な思いをしながら、新宿のアダルトショップでいくつかの商品を購入した際に、手渡された袋だったのです。私は、震える手で、袋を取り上げると、中を確かめようと、上からのぞき込みました。 (ああ、やっぱり・・・あの時の・・・。)
 私の想像は当たっていました。袋の中には、あの男性ヌード写真集とグロテスクに黒光りを発するバイブ、そして、目を覆いたくなるような卑猥なデザインのパンティが入っていました。 『男のあなたが、そんなもの見ても感じるわけはないけど、まあ、ものは試しだから、やってみましょうよ。ね・・・?じゃ、最初に写真集を開いてみて・・・うん、そう・・・どう?なんか感じる・・・?』
 私は涼子に言われるまま、写真集を開くと、ゆっくりとページを繰っていきました。どのページも、たくましい若い男性のヌード写真が載っていて、中には、全裸で太く逞しい誇張を露わにした写真まであります。  私は、思わず、ページを閉じようとしましたが、なぜか、心の中に引っかかりが残ってしまい、ページを繰る手を止めることができなかったのです。 『あら?もしかして、興味あるの・・・?男のくせに男の逞しいヌード写真に興味があるんだぁ・・・、フフフ・・・。じゃあね、これから私が言うように想像してみなさい、いい?今、あなたはその写真の男の子と二人きりでホテルの部屋にいるの。もちろん、二人とも裸・・・。彼はあなたの肩を優しく抱きしめて、唇を寄せてくるの・・・。あなたは目を閉じながら、そっと唇を開いて、彼の舌が入ってくるのを待っている・・・・。』
 私は、大きく首を振ると、目をつぶり、写真集から自分の視線を遮ろうとしました。そうでもしなければ、涼子の誘導する想像の世界に脚を踏み入れてしまいそうに思えたからです。けれども、このまま、写真集をずっと見つめていたいという無意識の本能が、私の閉じた目をかすかに開かせてしまうのです。しかも、涼子の声に反応して、唇が少しずつ開いていくのを止めることができないのです。  

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