人工美女の館   作:絵里
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★ 人工美女の館 119 ★ ♂ 恵一と葉子・静寂の檻 ♀

 恵一と葉子、かつて将来を誓い合った二人が間近で顔を合わせているというのに、これほど重苦しい雰囲気はなかった。二人は部屋を仕切る鉄格子を境にして、それぞれの檻の中で背中を向け合ったまま、ずっと一言も言葉を交わしていなかった。
 しかし、それもこのような状況ではやむを得ない事だった。何しろ、葉子は下腹部の陰毛を綺麗に剃られ女の縦筋を晒したままの全裸。そして一方の恵一はというと、乳房を普通の女性以上に豊胸され、しかも葉子と同じく下腹部の陰毛を剃毛されているうえに、その部分に突出する『男のシンボル』には、隆一郎との婚約指輪まで嵌められているのだ。
 そのような状態が続き・・・いったいどのくらいの時間が経過したのだろうか。最初に声を発したのは、葉子のほうだった。
「恵一さん・・・ご・・ごめんなさい。私のために・・・そんな目に合わせてしまって・・・・」
 それは震えるような微かな声だったが、静寂した空間の中では大きく響いた。
「・・・・・・」
 しかし、恵一からは何の反応もなかった。
「なんで・・・なんで何も言ってくれないの?」
 葉子がふたたび泣きそうな声で言った。
「・・・・・・」
 しかし、それでも恵一の口からは何の言葉も発せられなかった。
「やっぱり・・・怒っているのね?」
 葉子は、諦めたようにポツリと呟いた。
「違・・違うんだ・・・」
 恵一がやっと重い口を開いた。その語り口は、言葉遣いもその声の高さも以前の恵一に戻っていた。
「恵・・恵一さん・・・」
 葉子は恵一の名を口にしながら、それまでの後ろ向きの姿勢を正面へと変えた。
「これは・・君のせいじゃない」
「で・・でも・・・・」
「いいんだ・・・もう・・・」
 恵一が横座りのまま、上体だけを葉子のほうへ向けた。自然と恵一の豊満な乳房が葉子の視界に入った。
『あっ・・・恵一・・さん』
 ふたたび恵一の女のような乳房を目にした葉子の気持ちは、やはり複雑だった。
 恵一も、葉子が自分の胸を意識しているのを感じ取り、慌てて膨らんだ二つの胸を両手で覆い隠した。
「ごめんね、こんな胸になっちゃって・・・・」
「・・・・・」
 葉子は、何と言って恵一をかばったらいいのか、その言葉さえ見つからなかった。
「もう、こんな僕なんか・・・嫌いになったよね」
「そんな事ない! 恵一さんは以前の恵一さんのままよ。だから嫌いになるなんて・・・・」
 葉子はそう言ったが、恵一自身は自分の精神的な異変に気付いていた。それは、目の前の葉子の裸体を目にしても、少しも感情的な気持ちの高まりを感じなくなっていた事だった。
『・・・当然だよな、僕はすでに去勢されているのだから・・・・』
 自分はすでに睾丸を摘出され去勢されている、だから・・・もう女性に対して感情的に気持ちが高ぶる事もない。ましてや残されているペニスに何の反応が起こらなくても、それは当然の成り行きだと恵一は思った。

★ 人工美女の館 120 ★ ♂ 地下室に響く葉子の絶叫 ♀

「やっぱり『めぐみさん』は・・・『恵一さん』だったのね」
「ごめんよ・・葉子、でも・・・ああするしかなかったんだ。もし僕がこんな女の姿をしていると知られてしまったら、君にいったいどう思われるか・・・」
 恵一は、以前の『男の』恵一に戻った話し方で葉子に返答をした。ペニスの残る股間を除き、すっかり女性化されてしまっている今の恵一の容姿からすると、かえってそれが違和感を感じさせた。
「正直言って、あのセーラー服姿のめぐみさんが恵一さんだと分かった時は、わたしとてもショックだった。もう、気が狂いそうだった。でも・・・」
「でも・・・?」
「恵一さんの心は、以前のままで何も変わっていないって分かったから・・・。今のこの状況を乗り切れば、きっとまた元に戻れる時が来るって・・・そう思えて来たの」
「元に・・・か?」
 葉子は元に戻れると言ったが、恵一にはそれが絶対に不可能だと分かっていた。それは恵一がすでに去勢され、更には性転換手術によって唯一残されている男のシンボルまでも切除されようとしているからだ。
「そうだね、もし・・もしもまた元に戻れたら、その時は二人でがんばろう・・・・」
 葉子にせめてもの希望を持たせるため、恵一は葉子にやさしい言葉をかけた。
「うん、結婚して・・・子供もたくさん作って・・・・」
『葉・・・葉子』
 恵一は、あまりにも純粋な葉子の心に、もういたたまれなくなってしまった。そして、これ以上葉子を悲しませてはいけないと心に誓った。
『コツッ コツッ コツッ・・・・』
 その時、部屋の外からふたたび足音が近づいて来た。そしてドアが開くと、隆一郎がふたたび顔を出した。
「どうやら、話が弾んでいたようだな、よしよし。ところで恵一、考える時間は十分に与えたつもりだが、少しは反省・・・出来たのかな?」
 いきなり隆一郎にそう問いかけられ、恵一は静かに目を閉じた。
「・・・はい、隆一郎さん」
「で・・・その答は?」
「・・・・素直に従います・・・誓約書に」
「よし、それならいい・・それなら」
 そんな二人の会話を、最初は訳も分からずに聞いていた葉子だったが・・・・
「ちょっと待ってください、その誓約書って何なんですか?」
 葉子が二人の会話に口を挟んだ。
「うん、誓約書か? それはな・・・・」
 隆一郎が誓約書について説明しようとすると・・・
「いいんだ、葉子。君には関係のない事だ。隆一郎さん、もういいんです・・・葉子には説明しなくても。それよりも、僕を早くここから出してください、お願いです」
 恵一は、こうなったら少しでも早く葉子のそばから離れなければいけないと思った。それは、これ以上の秘密を葉子に知られないため、性転換手術によって自分の男性器が切除されてしまう事を知られないためだった。
「よし分かった、恵一・・これでも羽織っていろ、裸のままで家の中を歩き回る訳にもいくまい」
 そう言って、手にしていたタオルケットを恵一に放り投げた。
「では、行こうか・・・」
 恵一がタオルケットを羽織ると、隆一郎はその腰に片手をまわし檻の外へと導いた。
「葉子そういう訳だ、悪いが恵一はもう連れて行く」
 そう言って檻の鍵を掛け終わると、隆一郎は呆然と立ち尽くす恵一を促し、葉子のいる檻から一歩一歩離れて行った。
 隆一郎に寄り添われ、目の前から去っていく無言の恵一。その愁いを帯びた後姿に、一人檻に取り残された葉子の心には、何かもうこれで永遠に恵一とは会えなくなるような、そんな不安と寂しさが走った。
「嫌っ、嫌よ! わたしの恵一さんを連れて行かないで!」
「恵一さん、わたしを一人にしないで!!!」
 静寂した地下室に、葉子の絶叫がこだまする。

★ 人工美女の館 121 ★ ♂ 二人目の乳母奴隷 ♀

 前日やっと恋人の恵一との再会を果たした葉子だったが、その恵一とも再び離れ離れとなり、葉子はふたたび檻の中で一人ぼっちになっていた。それにしても、あの女の姿をした恵一・・・その変貌した姿は、葉子に強い衝撃を与えていた。
『恵一さんが・・・恵一さんが女の姿にされ・・あの隆一郎の妻に・・・・。嫌っ、そんなの嫌っ! 誰か・・誰か恵一さんを助けて!』
 一人薄暗い檻の中に取り残されてしまった葉子は、今もあの恵一の姿を思い浮かべながら、悲嘆に暮れていた。・・・そんな中、隆一郎がふたたび葉子の前にその姿を現した。

「どうだ、少しは気分が落ち着いたか?」
 隆一郎が葉子に尋ねた。
「恵・・恵一さんは今何処にいるんです? もう一度会わせてください!」
「恵一なら元気でいる、何も心配する事はない。だが、しばらくは会わせる訳にはいかない。恵一にとってはもうすぐ私と結婚する大事な時期だからな」
 男同士の結婚を、いとも普通の事のように話す隆一郎に、葉子は唖然とした。
「何、何ていう事を・・・、恵一さんは男なんです。その恵一さんを女として扱うなんて・・・、あなた達は狂ってます!」
「まぁ、何とでも言うがいい。だがお前が何と言おうと、恵一はあと2ヶ月もしないうちに、間違いなく私の妻になるのだよ、純白のウエディングドレスを着てな・・・ふふふっ」
「あぁ嫌っ! そんな話聞きたくない」
 余りの辛さに、葉子は両耳を塞いだ。
「やれやれ、そうやって耳を塞がれてしまっては困るな、これから肝心な話があるというのに・・・」
「・・・・・?」
 微かに聞こえたその言葉に、葉子は隆一郎の顔を見た。
「葉子、お前には今から別の場所へ移動してもらう」
「移動・・?」
「そう心配するな、生活するにはここよりもずっと快適な場所だ」
 そう言いながら、隆一郎は葉子のいる檻の扉を開けた。
「さぁ、出て来るんだ」
 隆一郎にそう促されると、床に横座りしていた葉子はゆっくりと立ち上がった。そして白い二つの乳房と、茂みを失いその恥ずかしい切れ込みを僅かに覗かせる股間の縦筋を両手で隠しながら、腰を屈めながら檻の外へと出た。
「さぁ、両手を後へまわして・・・」
「ええっ!?」
 女の恥ずかしい部分を覆い隠している両手を後にまわせと言われ、葉子は躊躇った。しかし、今の立場では逆らう訳にはいかず、仕方なく言われた通り両手を体の後ろへ運んだ。もちろん、これで体を隠す術はすべて失われ、ふくよかな胸の膨らみと股間の女の縦筋は、惜しげもなく正面に立つ隆一郎の目に晒されてしまった。
「手錠を嵌めるからそのままにしていなさい」
 隆一郎は葉子の後ろへまわると、手にしていた手錠を葉子の両手に嵌めてしまった。
「いいか、今からお前が移る場所は『乳母奴隷』と呼ばれる女奴隷専用の部屋だ。特別な女奴隷の部屋だから、この檻とは違いとても衛生的に管理されている。そのため、そこへ入る女奴隷は常に局部を剃毛され、体を清潔に保たれる。お前の大事な毛が剃られたのもそのためだ」
 隆一郎はそう説明し終わると、葉子を連れ階段を下りて行った。
 今まで葉子の閉じ込められていた奴隷用の檻があったのが大神家本邸の地下二階。それに対して『乳母奴隷』用の部屋は、同じ本邸の地下四階にあった。葉子は全裸の体を隆一郎に添われながら、階段を使ってその四階まで連れて行かれた。


★ 人工美女の館 122 ★♂二人の運命 ♀

 『乳母奴隷』には、普通の女奴隷に課せられる地下SM組織会員のためのショー出演や接待などの他に、ご主人様の子種をその胎内で育てるという『代理母』としての役目も強要される。当初は葉子も、女へと性転換させられ隆一郎の妻となる恵一の『代理母』としてここへ連れて来られた。しかし、その直後に妊娠が可能な人工子宮が完成し、恵一自身での妊娠・出産も可能となったため、葉子の『代理母』としての出番はなくなってしまった。しかし、それ以外の部分で考えても『乳母奴隷』としての葉子の存在は、その恋人であった恵一を精神的に責め立てるにはうってつけと、隆一郎がそのまま『乳母奴隷』として残したのだった。

「さぁ、ここだ」
 そう言われて目の前を見ると、そこには絨毯が敷きつめられた薄暗い通路を中心に、その左右に二つずつ計四つの部屋が・・・。しかも、そのうち右側にある二つの部屋は通路側の壁の大部分が透明なガラス張りとなっており、きっとマジックミラーになっているのだろう・・・そのうちの一つの部屋は中が明るく、部屋の中が丸見えになっていたが、もう一つの部屋は中が暗く、こちらから見ると鏡のようになっている。
「このフロアには二つの『乳母奴隷』用の部屋と、そして、医療室・分娩室が備わっている」
『分娩室・・・?』
 なぜこのような所に分娩室が必要なのか・・・と、葉子は何か気味が悪かった。
「葉子、お前が入るのはその手前の部屋だ」
 手前の部屋・・・それは、灯りの点いている部屋だ。
「では、中へ入ってもらおうか・・・。この部屋は定員二名・・・ちょうど先客もいるから寂しくはないはずだ・・・」
『えっ、この部屋に誰かが・・・?』
葉子は透明な壁にチラリと目をやった。しかし、奥のほうにいるのか人の姿は確認出来なかった。
 そうしている間に、葉子の両手に嵌められていた手錠が外された。
「おい、新しい仲間を連れてきたぞ」
 隆一郎は透明でない部分にある部屋のドアを開けると、中にいるというもう一人の『乳母奴隷』に声をかけた。
「さぁ、中へ入るんだ!」
 隆一郎に背中を押され、葉子はつんのめるように部屋の中へと入った。
「・・・あっ、葉・・葉子さん!」
 部屋の中へ入ると、葉子はいきなり自分の名前を呼ばれた。葉子はあわてて声の方向を見ると、そこにはなんと親友の杉浦瞳の姿が・・・。床に横座りしているその姿は葉子と同じく全裸で、やはり局部は綺麗に剃毛されていた。
「瞳・・・瞳さん!」
 葉子と瞳の二人が顔を合わせたのは、同時に拉致されて以来じつに五ヶ月ぶりだった。葉子は急いで瞳のところへ駆け寄った。
「瞳さん!」
「葉・・葉子さん!」
 二人はお互いに顔を見合わせると、目に涙を浮かべながら抱き合った。自然と若い乳房が触れ合い、それが二人それぞれの存在の証にもなった。
「葉子さん、無事だったのね」
「ううん、わたしは大丈夫。でも、瞳さんが元気なのでよかった!」
 二人はお互いを強く抱き締め合いながら、再会を喜ぶのだった。
「久しぶりの再会だ、まぁ二人で昔話でもしているんだな」
 そう言うと、隆一郎は二人の部屋から出て行った。
 隆一郎が姿を消すと、瞳はこれまで女奴隷として調教を受けて来た事、葉子はしばらくはただ部屋に監禁されていただけだったが、その後、大神女子高校に編入させられた事など、これまでお互いが強いられて来た出来事を語り合った。しかし、話があるところまで来た時、突然瞳の顔色が変わった。
「どうしたの瞳さん?」
「じつはね、葉子さん・・わたし・・・・」
 葉子が瞳の顔を見ると、その目には大粒の涙が溢れていた。

★ 人工美女の館 123 ★ ♂ 恐ろしい事実 ♀

「葉子さん、わ・・わたし・・・妊娠しているの!」
「えっ、妊娠!?」
 いきなり瞳から『妊娠している』と告白され、葉子は大きなショックを受けた。
「そ・・そんな、嘘でしょ!?」
「ううん、本・・・本当・・なの」
「でも、妊娠って・・いったい・・・」
 誰の子なの・・・と聞きたかった葉子だが、やはりそれを自分から聞く事ははばかられた。
「葉子さん、じつはね、とても恐ろしい事があったの・・・」
「恐ろしい・・・?」
 瞳は目に涙を浮かべながら、これまで自分のまわりで起こった恐ろしい出来事を葉子に話し始めた。
「えっ、瞳さんのお兄さんが女の姿に!? それって女装させられているっていう事?」
「ううん、それだけじゃないの、手術までされて・・・・」
「豊胸手術を・・・されていたのね?」
「う・・ううん・・・」
 本当は性転換手術により男性器までも切除され、股間に女の割れ目まで持った体に変えられてしまっているのだが、その余りにも屈辱的で悲惨な事実に、瞳はもうそれ以上の事を語る事は出来なかった。
「じつはね・・瞳さん、恵一さんも・・・恵一さんも女の姿にさせられていたの。しかも、同じように胸まで手術されて・・・」
 そこまで話すと、葉子もとうとう涙声になった。
「えっ、葉子さんも恵一さんに会っていたの?」
「うん、ここへ来る少し前まで同じところに一緒に閉じ込められていて・・・」
「そうだったの・・・私も恵一さんとはだいぶ前に出会ったわ。その時、スカートを穿かされて女の姿をしている恵一さんを見て・・・わたしもとてもショックだった。その時はただ女装させられているだけだと思っていたんだけど、やはり胸まで手術されていたのね・・・」
「うん、豊胸手術までされていたの。そしてセーラー服を着せられ、私と同じように女子高にまで通わされ・・・」
「えっ、恵一さんが女子高に! それで、恵一さんの体の変化は胸・・・胸だけ?」
「えっ? それ・・・どういう意味?」
 葉子は怪訝な顔で瞳に聞き返した。
「いいえ、それならいいの・・・・」
 瞳は、恵一の体の変化が胸だけだと分かりとりあえずほっとした。しかし、とても葉子に『俊夫兄さんのように男性器を切除され、完全な女の体にされていなかった?』などとは、とても聞けなかった。
「でも、瞳さん・・・。じつはもっと大変な話を聞かされたの・・・・」
「大変な事?」
「そうなの・・・、じつは、恵一さんが・・恵一さんが大神隆一郎と結婚させらてしまうの・・・」
「えっ? 恵一さんも!?」
「恵一さん・・も・・・って? まさか・・・」
 葉子は瞳の言葉から、瞳のお兄さんにも同じ事が起きているのだと察した。
「瞳さんのお兄さんも、男同士で結婚させられようとしているのね?」
「いいえ・・もう・・・・」
「もう・・って、まさか・・・もう結婚させられてしまったと?」
 葉子の言葉に、瞳が小さく頷いた。
『な・・なんていう恐ろしい事なの・・・。男同士、それも相手を強制的に女に変身させて自分の妻としてしまうなんて・・・』
 すでに現実となっていたその事実を知り、葉子は愕然とした。

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