人工美女の館   作:絵里
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★ 人工美女の館 105 ★ ♂ 白昼の幻影 ♀

 月曜日、また新しい一週間が始まった。前週の土曜日に豊胸手術を受けた恵一は、今までよりもワンサイズアップしたブラジャーを身に着けた。しかも、初めてパッドなしで・・・。もちろん、セーラー服の胸元は明らかに先週までとはその膨らみを変え、恵一の恥らいも増していた。そのため、学校で他の生徒とあまり顔を合わせなくても済むように、登校時間をすこし早めてもらった。

「めぐみさん、おはよう」
 後ろを振り向くと、同級生の真理子だった。
「あっ、おはよう・・・真理子さん」
 送迎の車から降り校庭に入った途端、親友の真理子に声をかけられた。
「いいわね、めぐみさんは・・・毎日、車で送り迎えしてもらえて」
「そんなことないわ、ただ監視されているだけだから・・・。わたしには真理子さんのほうが羨ましいわ」
「そんなものかしら・・・」
 恵一からすれば、簡単に『羨ましい』とかいう言葉で片付けられる問題ではなかった。何しろ全てが管理されているのだから・・・。だが、それを他言することは絶対に出来ないのだ。
「なにかめぐみさんの胸、前より大きくなってない?」
「えっ・・・そんなことないわ、同・・同じよ」
「そう? そうかなぁ・・・」
 真理子にいきなり胸の事で突っ込まれ、恵一は慌てた。
「わたし・・・ちょっと保健室に寄って行くから、めぐみさん先に教室へ行ってて」
「うん、わかったわ」
 真理子と別れた恵一は、まだ人影もまばらな構内を一人歩いた。ところが、一番奥の校舎の入口に近づいた瞬間、思わぬ人影を見て恵一は愕然とした。
「そ、そ・・そんなばかな!?」
 その人影はすぐに校舎の影に消えてしまったが、恵一はその姿をはっきりと目に焼き付けていた。
「何・・何で『葉子』がこんな所に!?」
 恵一は自分の目を疑ったが、その姿は紛れもなく恋人・葉子の姿だった。恵一は、急いでその後を追いかけたが、すでにその姿はなかった。
『この大神女子高に『葉子』が・・・いる、でもなぜ?』
 そんな疑問を持ちながら、恵一は先日の夢の事を思い浮かべていた。
『恵一さんて本当は変態なんだわ』・・・夢の中で葉子からそう言われた衝撃が、いまだに頭から離れていなかった。
『駄目だ、もしあれが本当の葉子だったら、もう顔を合わせる訳にはいかない。僕はもうこんな体なんだ・・・』
 そう唇を噛み締めながら、恵一はセーラー服の胸の膨らみに目を落とした。
「あら、めぐみさん何処へ行ってたの? わたしより先に教室に着いていると思ったのに・・・」
 恵一が教室へ入ると、先程別れた真理子がもうすでに教室にいた。
「ええ、ちょっと・・・・」
 恵一はスカートの裾を両手で払いながら、ゆっくり椅子に腰を下ろした。

★ 人工美女の館 106 ★ ♂ 女の仮面 ♀

 翌日から、恵一は今までより厚めの化粧で登校するようになっていた。元々、大神女子高校は多少のナチュラルメイクなら許されていて、恵一も隆一郎の指示で化粧をして登校はしていた。しかし、それとは明らかに違っていた。
 そして、数日後・・・・

「どうしたんだ恵一、最近化粧が急に濃くなったようだが、何かあったのか? まぁ、その程度なら学校から注意を受ける事はないと思うが・・・」
 ここ数日間の恵一の化粧の変化に対して、隆一郎が尋ねて来た。
「・・・あ、あれは・・隆一郎さんの仕業なんですよね?」
「あれって?」
「とぼけないでください、葉・・葉子の事です」
「あっ、葉子・・か。なんだやっと気付いたのか・・・」
「それはどういう意味です?」
「いやぁ、葉子はお前が編入するよりももっと前から大神女子高に編入していたんだよ。ただ、残念な事にお前は気付いてくれなかった・・・」
「えっ? しかし、いったいどういうつもりでそのような事を!」
「お前だってその方が嬉しいだろう? 『元・恋人』の葉子に会えるんだから、ふふふっ」
「わたしが・・・いえ、僕がこんな姿になって、どうして葉子に会えるというんですか!」
「何だ、嬉しくないのか、私がせっかくお前達を会わせてやろうと気を遣ってやったのに・・・」
 恵一にとって、葉子に接する事が出来て嬉しくないはずはなかった。しかし、今の恵一にとっては、だからこそ余計に苦しみが倍増するのだった。
「そうか、それで化粧を濃くして葉子に自分の正体がばれないようにしているという訳か?」
「葉子だって、今の僕の事など知らないほうが幸せなんです。僕がこんな姿になったと知ったら・・・・」
「まぁ、お前の好きなようにすればいい。私としても、お前が化粧をしてより女らしくなってくれるなら、そのほうがいいしな、ふふふ」
 今の自分の行動が、この隆一郎をより喜ばしているのかと思うと、それもまた悔しい恵一ではあったが、今はこう対処するしかないと恵一は思った。
「だが安心しろ、お前は2年に編入したが葉子は年齢通りの3年だ。もうあとわずかで卒業して、それ以後は学校からいなくなる。まぁ、それまで葉子との学園生活を思う存分楽しんでおく事だな」
『そうか・・あと僅かの期間、葉子に気付かれないようにすればいいんだ・・・でも・・・・』
 やっと葉子と会えたというのに・・・恵一の気持ちは複雑だった。
「ところで、新しい乳房の具合はどうかな? ちょっと見せてみなさい」
 そう言って、隆一郎は恵一のネグリジェの胸のボタンを外し始めた。恵一の豊胸後、隆一郎はずっと仕事が忙しく、まだ恵一の乳房を見ていなかったのだ。
「ブラジャーも前とは違ってパッドなしか」
 恵一は隆一郎の手によって、上半身を裸にされてしまった。恵一は慌てて両手を胸の前で交差し、その膨らんだ乳房を覆い隠した。
「何を隠している、さぁ、恥ずかしがらないで私に見せてみなさい」
 そう言うと、隆一郎は恵一の手を強引に胸の前からどけてしまった。
「おぉ・・・見事な乳房だ。この乳房を見たら、葉子はさぞ驚く事だろうな。なんといっても、かつての恋人が自分よりも大きな乳房を持っているのだからな、ふふふ」
 隆一郎は、豊胸手術をした恵一の姿を見てあらためて思った。これでペニスさえなくなれば、本物の女以上の体になると・・・・。

★ 人工美女の館 107 ★ ♂ 女友達 ♀

「めぐみさん、これからちょっと音楽室まで付き合ってくれない、少しくらいなら時間大丈夫でしょう?」
「えぇ、いいわ、体調が悪いのでテニス部の練習もしばらく休みだし」
 その翌日の放課後、教室で帰り支度をしていた恵一は、真理子からそう誘われた。二人は自分の荷物をまとめると、そのまま音楽室へと向かった。
『ピンポパンポンポン〜♪』
 音楽室が近づいて来ると、ピアノの音が響き渡って来た。
「あっ、もう来てる」
 ピアノの音を聞いた真理子がそう言って、音楽室のドアを静かに開けた。
「めぐみさん、さぁ、中へ入りましょ」
 真理子に促されて、恵一は一緒に音楽室の中へと入った。見ると、その奥にはこちらに背を向けピアノを弾いている一人の女子生徒の姿が。
「お待たせ、ちょっとお友達を誘っていたので・・・」
 真理子の言葉でピアノの伴奏は止まり、弾いていた女子生徒がこちらを振り向いた。
「大丈夫よ、わたしも少し前に来たばかりだから・・・」
『ううっ、葉・・・・・・』
 振り向いた女子生徒、恵一はその顔を見て思わず驚きの声をあげそうになった。なんと、その女子生徒は恋人の葉子だったのだ。
「真理子さん、この方お友達?」
 そう言って、葉子が真理子の横に立っている恵一の姿に目を移した。
「わたしと同じクラ・・・・」
 そう言おうとして、真理子は言葉を止めた。急にピアノの前に座っていた葉子が立ち上がり、隣に立つ恵一をじっと見つめていたからだ。
「ど・・どうしたんですか? 佐伯先輩」
 真理子が問いかけても、葉子は恵一の姿を見たまま呆然として立ち尽くしているままだ。そんな葉子と相対して、恵一も緊張した面持ちで金縛りにあっていた。
『あぁぁ・・、葉子に見られている・・・。セーラー服を着たこの姿を・・、スカートを穿いているこの女の姿を・・・・』
 恵一は恥ずかしさでいっぱいだった。
「二人は知り合いなの・・・? めぐみさんも、佐伯先輩の事知ってるの」
 真理子が恵一に聞いた。
「い・・いえ、今が・・・初めて・・です」
 恵一がそう答えると、それに呼応して、葉子のほうも・・・
「『めぐみ』さん・・っていうお名前なの?」
 葉子が真理子に聞いた。
「そうよ、わたしと同じクラスの柴・・・」
 真理子がそこまで言うと、恵一はあわててその言葉に割って入った。
「『めぐみ』です、はじめまして、真理子さんとは同じクラスの友人同士なんです」
「そうなの佐伯先輩、めぐみさんはわたしの親友なの。めぐみさん、この方は一年先輩の佐伯葉子さん、去年、やはりめぐみさんと同じように他の高校から転校して来たんだけど、音楽部で一緒になってとても仲良しになったの。佐伯先輩はね、わたしたちより一年上なので、もうすぐ卒業してしまうの。で、今日はバレンタインでしょう、だから、お別れにチョコレートを渡しに来たのよ」
「で・・でも、バレンタインって女から男の人にプレゼントするんじゃ?」
「めぐみさんは今まで共学だったからこういうのって変に思うかもしれないけど、女子高じゃみんな素敵だと思う先輩に贈るものなのよ」
「へぇ〜、そうなの・・・」
「でも、驚いたわ、佐伯先輩がここへ入って来たら、二人の雰囲気が急に変になるんだもの・・・」
 そう言われて、葉子が口を開いた。
「じつはね、めぐみさんがわたしの知っている人にとても似ていたの・・それで・・・」
「似ているって?」
「ううん、勘違いだったわ。私の知っているその人はもう20歳だし、それに・・・男の人なの。でも、めぐみさんのような可愛いらしい女の子を見間違えるなんて、わたしどうかしているわね」
 そう言って、葉子は苦笑いをした。
「そうよ、めぐみさんはわたしたちと同じ女の子よ。それに、佐伯先輩より年下なんだもの・・・。ねぇ、めぐみさん」
「う・・うん、そうよね、ふふふ」
 恵一はそう言って、いつも以上に女らしく振舞うのだった。

★ 人工美女の館 108 ★ ♂ 瞳の妊娠 ♀

 その日からというもの、恵一は真理子に誘われ度々葉子と会うようになっていた。それは、恵一にとっては嬉しい事でもあったが、恐ろしくもあった。自分の正体がばれてしまう恐れがあったからだ。事実、葉子の視線が自分の制服姿に注がれているのを何度も感じていた。
「めぐみさんって、セーラー服姿がとってもお似合いね。女の私が見ても、とても心が惹かれるわ」
 そう言いながら、葉子が自分のセーラー服姿をじっと見つめるので、恵一は気持ちが硬直してしまった。
「変なの・・佐伯さんったら、自分だって同じセーラー服姿を着ているのに・・・」
 恵一が精一杯言葉を返すと、真理子が言った。
「う〜ん、でも、めぐみさんからは何か特別な匂いが感じられてならないの。真理子さんはそれって感じない?」
「いいえ、たしかに制服はよく似合っているとは思うけど・・・・」
 真理子は葉子の言っている事が、よく理解出来なかった。
「でも残念ね、せっかくめぐみさんともお友達になれたのにわたしはもうすぐ卒業・・・、お別れだわ」
「そうよね、せっかく佐伯先輩とめぐみさんが知り合いになれたと思ったのに・・・」
 そんな二人の会話に対して、恵一の心境は複雑だった。当初は葉子との接触をとても恐れていた恵一だったが、女同士として親交を交わすうちに、ふたたび葉子への思いが再燃して来ていたのだ。一度は思いを断ち切ったはずだった・・・のだが。

 その夜、大神隆造の妻となった杉浦俊夫にも衝撃が走った。
「俊恵、戻ったぞ」
 大神隆造が仕事から戻ると、奥から妻の俊恵がグリーンのスリップドレス姿で現れた。
「あなた、お帰りなさい・・・寂しかったわぁ」
「そうか、そうか、素直でいいぞ。そのように素直にしていればお前の願いはすぐに叶えてやるからな」
「あなた、お願いよ。わたし、はやく美しくなりたいの」
「それはそうだろう、お前は女なんだからそう思うのは当然だ」
 最近の俊夫は、一刻も早く女らしい美しい容姿になるための整形手術を受けたいがため、夫の隆造に対してとても従順になっていた。
「最近の俊恵は本当に変わったな、もうそろそろ手術を受けさせてあげようかな」
「本当ですか、あなた、嬉しい!」
「それからもう一つ、嬉しいニュースがある」
「えっ、嬉しい・・・ニュース?」
 俊夫はいったい何のことかと、隆造に聞き返した。
「わしとお前の子供が生まれるんだ」
「えっ、子・・子供、それって?」
「そうだ、乳母奴隷の瞳がとうとう妊娠したんだ」
「瞳が・・・妹の瞳が妊娠!」
 俊夫の心に、大きな衝撃が走った。もちろん、隆造との初夜の時、自分と同じように多量の隆造の精液を女の体内に放出された瞳には、当然なるべくしてなった結果ではある。しかし、まだ男の体さえ知らないいたいけな妹が妊娠させられた事実は、俊夫を哀しみのどん底へ突き落とすのに十分だった。
『うぅぅぅ・・・瞳、・・・お兄ちゃんを許しておくれ!』
 俊夫は、心の中で妹の瞳に懺悔するのだった。
「なんだ、うれし涙を流しているのか・・・」
 厚化粧された俊夫の目から涙がこぼれ落ちているのを見て、隆造が俊夫をからかった。
「出産予定は九月だ、それまでにいい母親になれるよう努力するんだな、ふふふっ」
 隆造の言葉に・・・俊夫がむせび泣く。

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