人工美女の館   作:絵里
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★ 人工美女の館 65 ★ ♂ 悪魔の披露宴 ♀

 ついに大神隆造の披露宴の当日がやって来た。本来であれば、恵一は長男・隆一郎の婚約者として会場の席に着くはずであった、しかし2日前の出来事により、隆一郎に付き添われ後方の映写室の中での見学へと変わっていた。しかも、服装こそ正装させられてはいたが、万が一にも暴れ出さぬよう上半身は縄で後手に緊縛され、その縄尻を室内の鉄柱に結び付けられていた。
 披露宴は大神邸の地下一階にあるステージ付きの大広間で行われ、組織の会員30名程を集めてすでに始まっていた。水色のカーテンを背にしたステージ上の席には新郎の大神隆造ただ一人が座り、その横の席はまだ空いたままになっていた。
「では、これから新郎・大神隆造様の奥様となられました新婦・俊恵様をご紹介いたします」
 司会者の言葉に、恵一はいったいどのような女性が現れるのかと、固唾を飲んで見守った。そして一瞬間を置き、ステージの袖から黒服を着た二人の男に支えられるように、ウエディングドレスに身を包んだ女性が引き立てられてきた。
『う〜む・・・・・』
 ステージからかなり離れた場所にいる恵一は、目を凝らしてその女性の姿を観察した。女性はまるで嫌がっているかのように上体をくねらせ続けていたが、よく見るとウエディングドレスの上からは縄を掛けられ、口にはボールが付いた口枷が嵌められていた。更に目を細めその女性の顔をよく見ると、目から涙を流しているのが分かった。そしてやっと・・・恵一は気が付いた。
『ま、まさか!』
 その時、恵一は信じられないものを見てしまった。その女性の顔は、紛れもなく拉致されその行方を追っていた杉浦俊夫の顔だったのだ。というのも、髪の毛が自分と同じ程度に伸び、眉が多少細くカットされ口紅は引かれてはいたが、それ以外はまったく以前の男顔のままだったのだ。
「隆一郎さん! あれは・・・」
「いいから黙って見ていろ!」
 恵一は隆一郎に問いかけようとしたが、強い語気で一喝されてしまった。
『こ・・・これはとんでもないことになっている。でも・・・でもどうすることも出来ない』
 恵一は唇を噛み締めた、そして悔しさで一杯だった。・・・・・・しかし、そうしている間にも隆造と俊夫の披露宴は進んで行った。
「ではこれから、本日の披露宴の最後を飾ります、お二人による『お床入りの儀』を執り行います。新郎・新婦は準備もございますので、これから一度控室へ下がらせて頂きます。皆様には、もうしばらくお待ちくださいませ」
 司会者のアナウンスと同時に、新郎である隆造は新婦の俊夫を両手で支えるようにステージの袖へと消えて行った。そしてそれと共に、照明が少しずつ暗くなって行った。
『「お床入りの儀」って・・・まさか、このような人前で大神隆造と俊夫さんが・・・・・・』
 これはとんでもない披露宴だ・・・恵一は恐ろしくなってきた。この時、恵一は頭の中で瞳のことを思い浮かべていた。あの後、隆一郎も隆司達も逃走した瞳のことについて、恵一には一切語っていなかった。そのため、逃走した瞳がいったいどうなったのか、恵一にはまったく分からなかった。
『瞳ちゃんは・・・瞳ちゃんは逃げ切れたのだろうか?』
 そう思った時、ホール全体の照明が更に暗くなって行った。そして、ステージ上に左右後方からスポットライトが当てられた。
「恵一・・・よく見ておくんだぞ、この儀式を・・・ふふふっ」
 隆一郎がぽつりと呟いた。そして次の瞬間、ステージ上の水色のカーテンが左右に開いて行った。
「こ、これは!」
 そこに現れたのは、白いシーツに包まれた大きな敷布団が二つ、それが平行して並べられ敷かれてあった。向かって左の布団には枕が二つ、もう片方の布団には枕は置かれていなかった。
『なんていうことを! このようなことをこれだけの人前でさせるというのか!』
 恵一には、このようなことが人前で行われるということが信じられなかった。しかし、それにも増して男同士でいったい何をするというのか・・・と、恵一は大きな衝撃を受けていた。
「ではこれから、新郎・新婦によります『お床入りの儀』を執り行います。では、新郎・大神隆造様、新婦・俊恵様、どうぞご登場ください」
『パチパチパチ!』
 司会者の言葉と共に来賓席から大きな拍手が沸き起こった。すると、それと同時に黒いガウンを身に纏った大神隆造と、なんと2メートルはあろうかという大きな黒人男性の両腕に横抱きに抱き上げられた白いネグりジェ姿の俊夫がステージの袖から登場した。
 いよいよ『お床入りの儀』・・・そう、『公開初夜』が始まるのだ。そして恵一は、この後とんでもない場面を目にすることになる・・・・・・。


★ 人工美女の館 66 ★ ♂ 公開初夜 ♀

 真っ暗な大広間…その正面ステージの袖からスポットライトを浴び、黒いガウン姿の大神隆造と大きな黒人男性の両腕に抱き上げられた白いネグりジェ姿の俊夫が、ゆっくりとステージの中央へと進んでいった。これからいよいよ、大神隆造とその『妻』となった俊夫の『初夜』を公開する『お床入りの儀』が始まろうとしているのだ。しかし、本来ならば大いに盛り上がるはずのこの趣向だったが、招待客が皆、その一種異様な雰囲気を感じ取り、逆に会場は緊迫感でしんと静まり返っていた。そして、二人…いや三人は、ステージ上に並べられた二つの敷布団の前に立つと、招待客に向かい軽く一礼をした。
『あぁ、何ていうことだ。杉浦さんが……あの『男らしい』杉浦さんが大神隆造の『妻』に……そんなぁ』
 じつは、恵一にとって兄的存在の杉浦俊夫は、男としてずっと憧れの存在だった。その男らしい態度と行動力は、男の恵一から見てもとても惹かれるものがあったのだ。その『男らしい』杉浦俊夫が今、女の姿をさせられ大神隆造の『妻』にされている。しかも、これから目の前で大神隆造と『夫婦の契り』まで結ばされようとしているのだ。
 恵一はもう一度、黒人男性に抱き上げられている俊夫の顔を見た。その顔は、どこか遠く一点を見つめ今にも泣き出しそうな弱々しい表情をしていた。
『どうしたと言うんだ…なんでこんな目に合わされているのに、ああも大人しくしているんだ。杉浦さんはそんな弱い人ではなかったはずだ?』
 恵一は納得が行かなかった。
「もう降ろしてもいいぞ」
 隆造の指示で、黒人男性に抱き上げられていた俊夫は静かにステージの上へ降ろされた。しかし、両脚でステージに立った俊夫はまるで衰弱した病人のように足元がふらつき、急いで隆造に支えられた。
「ではこれから、私と『妻・俊恵』による『お床入りの儀』を皆様にご覧いただきますが、その前にちょっと面白い趣向を用意しております」
 隆造はそう言うと、横に立つ俊夫のネグリジェのボタンを外し始めた。よく見ると、俊夫はネグリジェの袖には手を通しておらず、ただ上から羽織っているだけだった。
「まずは皆様に、私の『妻』となった俊恵の体をご披露いたしましょう」
 そう言い終わるか終わらぬうちに、隆造は俊夫のネグリジェを一気に剥いだ。
「あっ、いやっ!」
 俊夫が小さな声を発した。それは以前の俊夫の声とほとんど変わっていなかったが、イントネーションだけは妙に女っぽくなっていた。
「おぉぉ〜っ!」
 その瞬間、招待客の間からも大きなどよめきの声が上がった…なんと剥ぎ取られたネグリジェの下には緊縛された肉体が……、しかもその胸には、縄で上下を強く引き絞られた大きな乳房が突出していたのだ。
『あぁ…あぁぁ……』
 眼前に現れた俊夫の緊縛された女の肉体に、恵一は唖然とした。しかし、それ以上にショックを受けたのは白いレースのパンティーに覆われた下腹部を目にした瞬間だった。
『あっ…あれは……、そんな……』
 そのパンティーの前部には、男ならばあるべき隆起が見当たらなかったのだ。
『そんなはずはない…これは単なる錯覚だ……』
 恵一は必死に自分の気持ちを否定していた。
「うぅ〜ぅ…ぅぅぅ〜」
 と…その時、静まり返った大広間に、俊夫のすすり泣きの声が響き始めた。
『あの俊夫さんが…泣いている………』
 まるで女の子のようにすすり泣く俊夫、恵一にはその光景が信じられなかった。
「皆様はすでにご承知のことと思いますが、妻になったこの俊恵は元々は男性です。その男のプライドとでも言いましょうか…どうやら俊恵は、この屈辱に耐え切れなくなったようです…ふふふっ」
 隆造は、自分の妻となった俊夫が屈辱に打ちひしがれているのが、とても嬉しくてしょうがないようであった。
「では、その男のプライドとやらにとどめを刺してやることにしましょう」
 そう言って、隆造は俊夫の穿いているレースのパンティーに手を掛けようとした。しかし、………
「嫌…嫌っ! お願いそれだけは許してっ!」
 それまでじっと大人しくしていた俊夫が、よろけながら隆造の手を避けるように後ずさりをした。


★ 人工美女の館 67 ★ ♂ 俊恵絶叫! ♀

 穿いているレースのパンティーに手を掛けられ、俊夫が思わず後ずさりしてそれをかわした。
「お前、わしに逆らうつもりか?」
「いいぇ、そんな…他のことなら何でも言うことを聞きます、でも、ここを見せるのだけは許して!」
 両脚を女のように内股に閉じ、女言葉を使いながら俊夫は必死で隆造に哀願するのだった。
「いいや、許さん! 言うことを素直に聞けん奴はこうしてやる」
 隆造は俊夫の首根っ子を掴むと、右手の中指と親指で俊夫の乳首を強く弾いた。
「ああぁ〜っあああぁ〜っ!!!」
 いったいどうしたのか、俊夫は大声で絶叫しながら、後方の敷布団の上へ倒れこみのたうち始めた。
『なんだ、いったいどうしたというんだ。ただ乳首を弾かれただけだというのに、なぜ杉浦さんはあんなにも苦しんでいるんだ?』
 恵一にはこの状況がまったく理解出来なかった。しかも、先程から俊夫は何の抵抗も見せず、ただされるがままになっている。巨体の黒人に対してはともかく、大神隆造のような年をとった初老の男にまでいいようにあしらわれているのだ。
「隆…隆一郎さん、あれはいったい?」
 恵一は、ここまで隆一郎に言われた通りずっと黙って見て来たが、あまりに悲惨な状況に思わず隆一郎に尋ねた。
「あれか…ふふふっ、まぁ、もう少し見ていなさい」
 何か意味ありげな言い方をする隆一郎…恵一にはそれが気になった。その間にも、ステージの上では相変わらず俊夫がもがき苦しんでいた。
「俊恵、もっとやられたいか?」
「いや〜っ、もう…もうやめてぇ!」
「だったら、大人しくわしの言うことを聞いているんだな」
 隆造は、いまだに激しい息遣いで苦しんでいる俊夫に近づくと、強引に立たせた。そして、ステージ上方から垂れている縄に俊夫の上半身を緊縛している縄に繋ぎ止め、俊夫を立位の状態で動けないようにしてしまった。
「はぁ〜、はぁ〜、はぁ〜」
 立ったままの姿勢で拘束されてしまった俊夫は、相変わらず苦しそうな表情で、目には涙を溜めていた。
「では皆様には、先ほどの続きをご覧いただきましょう」
 そう言って、隆造は再び俊夫のパンティーに手を掛けた。だが、もう俊夫には逃れるすべはなかった。
「いいか俊恵、皆様にお前の大事な所を見て頂くんだ」
 隆造がゆっくりと俊夫のパンティーを降ろし始めた。
「あぁ〜〜っ」
 俊夫の悲嘆の声とともに、俊夫の下腹部が露になって行った。
「おぉぉ〜〜っ」……招待客から一斉に溜息が漏れた。
『あぁ、や…やっぱり!』
 露になった俊夫の下腹部を見て、恵一は愕然とした。パンティーを剥ぎ取られたその股間には、もはや男性のシンボルであるペニスや睾丸などは跡形もなく、それどころか、綺麗に剃毛されたその部分には、本物の女性器かと見紛うような深い溝が刻まれていたのだ。
「どうだ恵一、杉浦俊夫は完全に女に『改造』されてしまったんだよ。……さて、それでさっきの回答だが」
 さっきの回答…それは、俊夫が乳首を弾かれたくらいでのたうちまわったことだ。
「それはな……俊夫の乳首が切除された彼の睾丸で出来ているからなのだ」
「えっ、なんですって!」
「そう、お前もこの間まではずっと体に付けていたものだから分かるだろう。睾丸を強打された時のあの激痛を……。俊夫はそれを今、乳首でそれを味わっているのだよ、ふふふっ」
『杉…杉浦さん……』
 恵一は、同じような状況にいる自分の立場も忘れて、俊夫のことが不憫でならなかった。


★ 人工美女の館 68 ★ ♂ 肉体の秘密 ♀

『杉浦さんの乳首が、切除された睾丸で作られている・・・・・・』
 恵一は隆一郎から俊夫の秘密を明かされ、再び愕然としていた。そう言われれば、俊夫の乳首は外見は普通の女性と同じように見えるが、本物の女性と比べて明らかに大きな乳首をしている。それは、その乳首の中に切除された睾丸が小さく加工され、埋め込まれているからだった。
「なんてひどいことを・・・・・」
 恵一は、思わず怒りを口にした。
「ひどいこと・・・か、まぁ、それが私たちにとっては楽しいんだが、ふふっ」
『こ、こいつらは悪魔だ。こんなこと、普通の人間なら出来るはずがない』
 恵一はこの時、大神家の人間の本当の恐ろしさを感じた。下手に逆らえば、何をするか分からないと思った。
「それから、俊夫が何故ああいとも簡単に親父の言いなりになっているのか・・・・お前はそれも気になっているだろう。いくらなんでもあそこまで屈辱を味あわされれば、男なら黙ってはいられないはずだからな。教えてやろう、俊恵の肉体の秘密を・・・・・・」
『えっ、肉体の秘密? いったいなんのことだ』
 恵一は、固唾を呑んで隆一郎の言葉に耳を傾けた。
「俊夫はな、肉体改造手術の時に一度死にかけたのだ」
「死にかけた!?」
「そうだ。男性器の切除、女性器の形成、それに加え睾丸移植を交えた豊胸手術、その長時間に及ぶ手術に俊夫の肉体が耐え切れず、ついには心臓が停止した。そして、その結果として一時的に脳死にまで至ってしまった」
「脳…脳死?」
「そう、脳死だ。普通ならば、ここまで行ってしまうともう何も手立てはない。執刀医もどうすることも出来ずにいた」
「しかし、助かった・・・?」
「ぎりぎりのところで外国から戻ったばかりの洋祐が現れてな。みごとに俊夫を生き返らせてくれたよ」
『洋祐先生が・・・・・・洋祐先生が杉浦さんを助けてくれてたんだ』
 そう思った瞬間、恵一は自分の体の火照りを感じていた。
「ところがだ、命は取り留めることが出来たが、結果としてその後遺症が残ってしまった」
「後遺症?」
「そうだ、後遺症だ。筋無力症という形でな」
「筋・・・無力症・・・・・」
「厳密に言えば筋無力症ではなく、それに類似した症状と言ったほうがいいかも知れんが・・・・。お前も筋無力症という病気くらいは知っているだろう。俊夫の場合には、全身の筋力が小学生低学年程にまで落ちてしまっている。進行性は無いから死に至る心配は無いが、あの筋力で大人になった肉体を支えるのは大変だ。歩くだけでもふらついてしまうだろう」
『そうか、だから杉浦さんは立っているだけでふらついていたし、大神隆造にもいいようにあしらわれていたんだ』
 恵一は、ここで始めてこれまでの情況が理解できた。
「だが、結果的に筋無力症は俊夫から筋力を奪っただけではなかった」
「えっ?」
「人間というものは実に弱いものだな・・・、それまでいくら責められても強気でいた俊夫が、筋力が落ちてからというもの、日に日に弱気になっていった。そして、ついには親父の言いなりさ。まぁ、たまに発作的に暴れだすこともあるが、あの体では子供が駄々をこねている程度に過ぎない」
『そうだったのかぁ〜』
「ついでにもう一つ教えておいてあげよう。俊夫は肉体を女の体に改造されはしたが、切除された睾丸は、その機能を残したまま乳首の中にそのまま移植され残されている。そのため、男性ホルモンも普通の男性と大差なく供給されている。しかも、女性ホルモンなどは一切投与していないので、俊夫の意識は完全に男のままだ」
「だから、どうだと言うんです?」
「つまり俊夫の場合は、外見だけは女の体になったが心は男のままと言うこと。女らしく振舞っているのは、私たちに責められ強制的に演じさせられているだけ・・・ということだ。この情況は、プライドある男としてはかなり屈辱的なのではないか思ってな、ふふふっ」
 男を自覚したまま女を演じさせられている俊夫。どんなに辛い思いをしているのかと、恵一は俊夫の気持ちを察するに余りあった。
「だが恵一、お前の場合は違うぞ。お前には俊夫とは逆に心まで女になってもらう・・・・・。お前の男の理性がいくらそれを拒否しようとしても、女性ホルモンの作用がそれを許さない。今に自然とそうなってしまうはずだ」
『自分が女の心に支配されてしまう・・・そんな! 僕は絶対にそうはならない。たとえ形の上で女を演じさせられたとしても・・・・・・』

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