人工美女の館   作:絵里
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★ 人工美女の館 61 ★  ♂ 逃走 ♀

隆司と麻里の二人にたっぷりといたぶられた夜、恵一は昼間穿いていたタイトスカートのままベッドの上でぐったりと体を横たえていた。もう食欲もなく完全に放心状態だった。
『ガチャ、ガチャ』
 その時、部屋のドアの鍵が開けられる音が・・・隆一郎が来たのだ。
「どうしたんだ、恵一? これから食事だというのに」
「は、はい・・・ちょっと気分が・・・・・・」
「隆司と麻里に相当責められたらしいな。たぶん、その疲れだろう。しかし、それくらいで体調を崩していたのではどうしようもないぞ。調教はお前の毎日の日課だからな」
 恵一に対する調教・・・それは隆一郎自身のアブノーマルな淫欲を満たすと共に、恵一に女として隆一郎への服従心を植え付けるためのものだ。
「話は変わるが恵一、突然だが親父が再婚することになってな。三日後に一部の会員だけ集めて簡単な披露宴を行う事になった。その席には、私の婚約者であるお前にも出席してもらうつもりだ」
『えっ、大神隆造が結婚? 洋祐先生の話では隆造は女には興味がなかったはずなのだが・・・、いったいどんな女性と再婚するというのだ』
 恵一は突然の隆造の再婚話に、大きな疑問を感じた。
「ところで恵一、お前はいつも同じスカートを穿いているようだが、せっかくいろいろ用意してやったんだ。他のスカートも穿かなくては駄目じゃないか。選ぶ自由を与えてやったのは同じスカートを穿かせるためじゃないんだぞ!」
「そ、そうなんですけど・・・・・・」
 恵一には、とても『あのようなスカートは穿けない』とは言えるはずがなかった。
「いいか、明日からは他のスカートも穿くんだぞ。いいな」
「分・・・分かりました」
 とうとう恵一は、クローゼットの中に用意されている隆一郎好みのスカートを穿かなければならなくなってしまった。しかし、こうなれば諦めるしかなかった。

 翌日の午前、恵一は隆司と麻里に付き添われ、大神家の庭園内を遊歩していた。室内に閉じこもりきりだと体によくないと、洋祐から隆一郎に提案があってのことだった。そして、すでに反抗心の薄れた恵一にはもう必要ないであろうと、手錠を掛けることも許された。
「めぐみさん、今日は随分可愛いスカートを穿いているのね、今までより若く見えるわ」
 恵一の後ろを歩いている麻里が、いつもと違う恵一の服装を見て声をかけた。
「えぇ・・・恥ずかしいんですけど・・・・・・」
 この日恵一は、前日の隆一郎の忠告により、今まで嫌がっていた女子高生が穿くようなタータンチェックのミニプリーツスカートを穿いていた。恵一の腰部を覆うそのスカートは、恵一が歩を進めるたびにまるで花びらのようにゆらゆらと揺れ、可愛らしさを演出していた。
「めぐみちゃんもすっかり女らしくなって来たな・・・こんなスカートを穿くようになるなんて。今にもパンティーが見えそうじゃないか、ふふっ」
 傍らにいる隆司までが、恵一を茶化した。恵一は恥ずかしさと、そして悔しさでいっぱいだった。
「でも、今日は暑いくらいだからちょうどいいんじゃない、涼しくて」
 たしかに、年末だというのに春先のような陽気だった。まるで、恵一の可愛らしいプリーツスカート姿に色を添えるかように・・・そんな感じさえするのだった。
 しばらく歩くと、高い樹木の林の中へと差し掛かった。その時だった、恵一の視界にピンクの服を着た少女の姿が飛び込んで来た。林の中の樹木の陰に体を潜め、まわりの様子を伺っている。
『あっ、あれは調教施設の制服・・・・・・』
 恵一は、じっと目を凝らした。
『あっ、あれは・・・瞳ちゃん! なんで瞳ちゃんがこんなところに?』
 なぜ瞳がこのような所に・・・恵一の頭の中は混乱していた。


★ 人工美女の館 62 ★  ♂ 決断 ♀

 目の前に姿を現した杉浦俊夫の妹・瞳。林の中の樹木の陰に体を潜めるその姿は、誰かに追われているようであった。
『このままでは隆司や麻里にも見つかってしまう、なんとかしなければ・・・』
 恵一がそう思った時、遠くから数人の男の声が聞こえてきた。
「こっちだ! このあたりに潜んでいるぞ〜!」
 男達の声が徐々に瞳の潜んでいる場所へと近づいているのが分かった。
「あら、何かあったのかしら? 隆司」
 麻里も何か異変が起きたことに気付いたらしい。
『いけないどうしよう、このままだと瞳ちゃんが・・・・・・』
 今自分に出来ることは何なのか、恵一は必死になって考えた・・・そして、思い切って行動に出た。
 恵一は、瞳の潜んでいる場所とは逆の方向へと一気に走り出したのだ。
「あっ、めぐみさんどこへ行くの!」
 いきなり走り出した恵一の行動に、麻里が叫んだ。
「おい、待て! 逃げる気か!」
 隆司も、叫びながら急いで恵一の後を追った。その騒ぎに気付いた瞳を追う男達も、それが瞳のことだと勘違いし隆司達の後に続いて行った。
『よし、このまま追っ手を反対方向に遠ざけるんだ・・・』
 恵一は必死だった。風圧で捲くれるスカートが気になったが、恵一は全力で走った。そして、後続を適当な距離まで離したあたりで、恵一は急いで近くの物陰に隠れた。
『ドタ! ドタ! ドタ!』
 追っ手が物陰に潜む恵一の前を通り過ぎると、恵一は急いで元の場所へと戻って行った。
『たしかこの辺りだったんだけど・・・瞳ちゃんが隠れていたのは・・・・・・』
 恵一は気配を殺しながら、瞳の姿を追い求めた。しかし、恵一の心境は複雑だった。このようなことをして、捕らえられている自分の母親やそして葉子たち仲間に危害が加えられはしないか・・・しかし、現実としてそのうちの一人である瞳に危機が迫っていることを考えれば、恵一にはこうするしかなかった。
『あっ、いたっ!』
 恵一がふたたび瞳の姿をとらえた。だが、恵一は瞳の前に出ることを躊躇した。それは自分の今の姿・・・女子高生が穿くような短いプリーツスカートを穿かされ、女の姿をさせられているこのような姿を見られたくなかったのだ。
『どうしよう・・・こんな恥ずかしい姿、瞳ちゃんに見られたくない・・・・・・でも・・・』
 恵一の心の中で激しい葛藤が始まった。
『でも、もしかしたら入札の時に僕のことを気付いていたかもしれないし・・・』
 なんとか自分自身を納得させようとする恵一だった。しかし、もう迷っている暇はなかった。身を潜めていた瞳が動き出したのだ。
『あっ! どうしよう』
 恵一が決断しなければならない瞬間が来た。
「待って、瞳ちゃん!」
 恵一は今にも走り出そうとしていた瞳に声をかけ、その目の前に出て行った。
「あっ、あ・・・あなたは!?」
 瞳は、突然自分の前に現れた若い女性の姿に、驚きと不安を覚えた。
「誰なんですか、あなたは? 私を追っている男たちの仲間ですか」
「いや、違う・・・そうじゃない!」
『やはり・・・入札の時、瞳ちゃんは僕のことを気付いていなかったんだ』
 自分を見ても恵一だと気付かない瞳に、あの時瞳の発した声がただの偶然だったことが分かった。恵一は恥ずかしかったが、瞳に自分の正体を明かすことにした。
「瞳ちゃん、僕だ・・・柴崎・・・恵一だよ」
「柴崎・・・恵一・・・?」
 目の前に姿を現した女性から『柴崎恵一』の名前を出され、瞳は困惑していた。
「よく顔を見てごらん・・・今ではこんな顔になっちゃったけど、よく見れば分かるだろ?」
 瞳は言われるまま、じっと女の姿をした恵一の顔を見つめた。
「あっ、あああっ・・・柴崎・・先輩」
 瞳は目の前の女性が恵一だと気付くと、しばし呆然としていた。


★ 人工美女の館 63 ★  
♂ 追い詰められて ♀

 目前に突然現れた女の姿をした恵一に、瞳はしばし呆然としていた。
「な、なんで柴崎先輩が・・・・・・?」
 そのような女の姿をしているのか・・・と、瞳は只々困惑していた。
「先、先輩、どうして・・・・・・?」
「瞳ちゃん、・・・・・・・・・」
 恵一は、瞳に自分がこのような姿になった経緯を簡単に説明した。葉子の身代わりになったこと、そして調教を受けた事・・・・・・。しかし、さすがに自分が大神隆一郎の婚約者にさせられていることだけは、惨め過ぎて言うことが出来なかった。
「先・・・輩・・・・・」
「でも、瞳ちゃんにこんな姿を見られるのは、とても恥ずかしいな・・・・」
「・・・・・・」
 恵一の話を聞いた瞳には、事のあまりの異常さにもう言葉さえ出てこなかった。
「そのことはまた後で話すことにして、それよりも瞳ちゃんこそいったいどうしてここに?」
「は・・・はい、そのぉ・・・・・・」
 瞳は恵一の問いに言葉を濁した。恵一にも瞳が話し難そうなのが感じ取れた。
「時間がない、言い難いと思うけど・・・瞳ちゃん」
 瞳は下を向き唇を噛み締めていたが、思い立ったように顔を上げた。
「わ・・・わたし、ここで強制的に・・・妊娠させられようとしているの」
「えっ、何だって!? 妊娠って・・・・・いったい」
 誰の子供を・・・そう疑問に思われているのは、瞳にも分かった。
「大神・・・隆造の子供を・・・・・・」
「そんなばかな! なんで瞳ちゃんが大神隆造の子供を!?」
「じつは、そのぅ・・・・・・」
 兄の俊夫が女に性転換され隆造と結婚させられるため、その兄の代役として妊娠させられる・・・などということは、瞳にはどうしても言い出せなかった。
「どうしたんだい、瞳ちゃん!」
 恵一に再度問いただされ、瞳の顔はみるみるうちに泣き顔に変わって行った。
「も、もう嫌っ! ・・・・・みんな女にさせられて」
「えっ、みんなって、それはいったいどういう意味なんだい? 瞳ちゃん!」
「うぅん・・・・、あのぅ・・・」 
 瞳がようやくその全貌を話そうとした時、遠方から人が近づいてくる気配が感じられた。
「まずい、男達が戻って来たようだ。話はあとにしてとにかく逃げよう!」
 恵一は急いで瞳の手を引くと、二人で林の奥へと走り出した。異常とも思えた広大な大神家の敷地、その樹木に覆われた庭園が二人の逃走を助けてくれたのは、なんとも皮肉であった。
「ところで、葉子はどうなっているか瞳ちゃん知ってる?」
「いいえ、男達に捕まってすぐに別々にされてしまったので・・・・・・」
「そうかぁ・・・・・・」
 いまだに分からない恵一の恋人・葉子の所在。いや、大神隆一郎の婚約者となってしまった恵一にとっては、もはや『元恋人』と言うべきなのかもしれない。
「あそこだ、ここから出られるとすればあの大きな門が開く時を狙うしかない。それ以外は高い塀に囲まれていてとても脱出は無理だ」
 ふたりはその門が開く時をじっと木陰に潜み待ち続けた。そして、間もなくして・・・・・・
「来た、車が来たぞ」
 なんと運がいいのだろうと恵一は思った。こんなところにいつまでもいたら、すぐに捕まってしまうのは目に見えていたからだ。
「いいかい瞳ちゃん、門が開いたら一気に飛び出すんだ。それしか逃げる方法はない」
『ガガガーッ・・・・・・』
 鈍い金属音と共に、目の前の門が開き始めた。さぁ、行くぞ・・・と思った瞬間、追っ手の男達が後方から走って来るのが見えた。
『いけない、急がないと』
「瞳ちゃん、行くよ!」
 そう言うと、恵一は瞳の手を握り全力で開いた門に向かって走った。
「あっ、いたぞー!」
 遂に男達に見つかってしまった。しかし、なんとか二人は開いた門までたどり着いた。
「さぁ、逃げるんだ。僕はおとりになって男達を引き付けておく」
「そんなぁ、先輩も一緒に!」
「いや、僕は逃げ出すわけにはいかない。僕が逃げたら葉子や残されたみんなの命が危ない。でも、君だけなら・・・・・・、さぁ!」
 そう言うと、恵一は瞳を閉まり始めた門の外へと突き放した。
「先輩!」
「瞳ちゃん、早く逃げるんだ!」
 恵一はそう叫ぶと男達の目を引き付けるため、わざと男達の目前を走り抜けた。
『よし、これで追っ手の人数を分散できる』
 そう思いながら、恵一は必死に逃げた。しかし、やがて目の前に白い高い塀が・・・・・。恵一は白い塀を背に、まわりを男達に囲まれてしまった。

★ 人工美女の館 64 ★   ♂ 女子高生になる恵一 ♀

「おい、恵一! よくも裏切ってくれたな。さぁ両手を後ろへまわせ! 手錠を掛けてやる」
 男達から遅れて後からやって来た隆二が、恵一に激しく詰め寄った。恵一は素直に隆司に背中を向けると、両手を後ろへとまわした。
「くそぅ、瞳はどうした!」
「はい、今数人で追っています。まもなく捕らえられると思います」
 男の中の一人が隆司に答えた。
「とりあえず、恵一だけでも連れて帰ろう」
 恵一は隆司を含めた男達数人に囲まれ、引き立てられて行った。
『瞳ちゃん、なんとか逃げ切ってくれ!』
 恵一は引き立てられながら、ただ瞳が助かってくれることだけを祈っていた。

 その直後、大神邸の一室では手錠を掛けられた恵一を前に、隆一郎、隆司、そして麻里の3人が揃い、激しいやり取りをしていた。
「やはりこいつに自由を与えたのがいけないんだ。これからはずっと拘束しておいたほうがいいよ、兄貴!」
「いや、恵一は私の婚約者だ。これからもある程度の自由は与えるつもりだ・・・拘束するのは調教する時だけでいい。今回のことも、瞳が逃げ出したからこのようなことになっただけで、恵一自身に逃走の意思はなかった。もしそのようなことをすれば、どのようなことになるか・・・ちゃんと知っているんだよ、恵一は・・・・・・」
 確かにその通りだった。恵一は自分のことよりも仲間の無事を最優先にしていた。
「ただし、今回の行動に対する責任だけは取らせるつもりだ」
「兄貴、責任を取らせるって・・・めぐみに何をさせるつもりなんだい?」
 隆司は、恵一がいったいどのような責任をとらされるのかとても気になった。
「じつは親父に頼んでおいたんだが、やっと許可が下りた・・・」
「なんだい・・・その許可って?」
「女子高入学だよ。年が明けた3学期から大神女子高の2年に恵一を編入させる」
『えっ、なんだって! 僕・・・僕を女子高に・・・・・そんなぁ』
 恵一は唖然とすると共に、顔から血の気が引いて行った。しかし、そう思ったのは恵一だけではなく、隆司も同じ思いだった。
「でも、兄貴! 男が女子高に入学なんて出来るわけないよ。ましてめぐみはもう20歳なんだぜ」
「そんなことは関係ない。大神女子高の理事長が許可してくれたんだ、何も問題はない。年齢だってそうだ、恵一がまわりの17歳の少女達に合わせて、それらしく振舞ってくれればいいだけだ。いろいろ苦労するとは思うがな、ふふふっ」
 恵一は、これから先の自分のことを考えると全身に寒気を覚えた。今の限られた狭い空間の中でさえ、極度の恥辱と屈辱感を味わっているというのに、もし女子高などに通わされることになったら・・・しかも、17歳の女子高生として・・・いったい自分はどうなってしまうのだろうかと、不安は極限状態に達していた。
「いいか恵一、今日からはお前は17歳の少女になるんだ・・・だから、隆司や麻里さんも含めこの中ではお前が一番年下ということになる。そのつもりで言葉使いも気をつけるように」
 実際には20歳の恵一だが、今からは17歳として扱うというのであった。
「それは丁度いい。すでに俺と麻里のことは「隆司お兄さま」「麻里お姉さま」と呼ばせているからな・・・・・・」
「そうか、それはいい、はははっ。まぁ大神女子高に入れば、まわりは『割れ目』を持った女の子ばかりだ。スカートの下から『もっこり』しているパンティーを見られて、男だと気付かれないようにするんだな、恵一」
「やだぁ『割れ目』だなんて。ここに女の子が一人いるんですよ、隆一郎先生」
「あぁ、そうだったな麻里さん、ごめんごめん」
 そう恥ずかしがる麻里だったが、本当に恥ずかしさを感じていたのは恵一だった。
「だがその前に、親父の結婚の問題を片付けておかなくては・・・・なにしろ明後日だからな。それにしても、瞳のことが気になるなぁ」
 いまだに来ない瞳の追跡報告。この時点では、隆一郎は落ち着きを失い、逆に恵一はほっと胸を撫で下ろしていた。

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