Kawahagi   作:Z
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12
「いらっしゃいませ」若い女性のクラークが愛想良く二人を迎えた。
なかなかの美人だが、美しさというと萩原と高山の方が上だろう。クラークの女性は何故か少し顔を赤らめてどぎまぎしているようだった。
「今着いたんだけど空いている部屋ある?」高山が尋ねる。
「はい、ございます。お部屋はダブルでよろしいでしょうか?」
「ええ、いいわ。できるだけ外の景色が良く見える部屋の方がいいわね。」
「かしこまりました。ご滞在はどのくらいに?」
「1週間というところかな。場合によっては延長してもらうかもしれないけれど。」
「はい承知いたしました。少々お待ち下さい」
クラークは予約システムのディスプレイをタッチする。
「最上階の128号室が空いております。空港と反対の東側向きですがよろしいでしょうか?」
「ええ、いいわ。静かな部屋なの?」
「はい、とても静かです。ダブルですが3人様がお泊りになられてもゆったりできるだけのスペースは確保してあります。」
「ありがとう、そこでお願いするわ。」
「承知しました。こちらに記入を・・・・」クラークはチェクカードを差し出す。
高山、萩原それぞれ記入する。当然の事だが柔らかく流麗な女文字になっていた。
二人ともハンドバックから先程のVISAカードを出す。
「それぞれ別々にご清算ということでよろしいでしょうか?」クラークが尋ねる。
どうやらカードは問題なく通用するようだ。
「ええ、いいわ。」高山は答えた。
「それではこれを」クラークは部屋のキーを出した。
「こちらから右側のエレベーターが直通となっております。どうぞごゆっくり」
「ありがとう」
二人とも礼を言ってエレベーターに乗った。

部屋は広々としていた。そして眺めがまたいい。
広々とした平野が地平線のかなたまでひろがっている。しかし不思議なことに建物が驚くほど少ない。
良く捜さないと分からないくらい広大な平野の中にぽつぽつと孤立した形で点在している。
ところどころに集落がありその回りを農地や原野が取り巻いていた。
地平線のかなたに結構大きな都市があるらしい。そこだけが賑やかそうだった。
部屋の備品は申し分なかった
ダブルベッド2つにソファーセット。冷蔵庫、クローゼット、大きめのライティングテーブル。
大型プラズマTVにDVDなどちょっとしたAVシステムとそのソフト。
事務用机には最新型のPCが完備してあり、ブロードバンドも接続可能だった。
大理石張りの豪華な浴室は広々としており、浴槽は大人二人が余裕で入れるだけのゆとりがあった。
蛇口をひねると瞬間的に熱いお湯が出る。
13
「ああ、しんど、ほんとに疲れたわ。」
高山がハンドバックを放りだし大きなダブルベッドに大の字になる。
萩原は倒れ込むようにクッションの良いソファーに座り込んだ。
「しかしなんでこんなことになってしまったんだろう?」萩原は力無くつぶやいた。
「わかる訳ないやんか。無理やり女に変身させられて、訳のわからん所に連れてこられて・・・・・
どうやってこんな状態説明すんねん!」高山は面倒くさそうに言った。
「俺なりに現在俺達が置かれている状態について検証してみたんだが・・・・」萩原が話し始めた。
「やはりここは俺達が今までいたのとは別の空間だな。つまり異空間だ。」
「そんなことアホでもわかるわい。だけど俺達が女に変身してしまったことはどう説明すんねん。あれは飛行機に搭乗する前だからこの空間とは無関係やぞ」高山が聞き返す。
「そのことだが、ちょっと気に掛ることがあるんだ」
「何を?」
「飛行機に乗ってからというもの、俺達女にしか出会っていない。」
「何っ!」高山はベットから跳ね起きた。
「いや、それ以前に俺達を雇用した航空会社の関係者もみんな女だった。募集受付、面接官、事務担当者、搭乗させられた機のフライトパーサー、驚くことにパイロットまで・・・さらに思い出してみたが、飛行機に搭乗していたのも女性客ばっかりだったような気がする。」
「子供もか・・?」
「ああ、考えてみればみんな女の子だった・・」
「どういうことやねん・・」
「・・・・」
「まええわ。くよくよしとっても始まらんやろ。ちょっと、シャワーあびてくるわ。」
高山は浴室に向かおうとした。突然高山が立ち止まる。
「俺のビーナスのように美しいヌードを拝もうとしても無駄やぞ。中から鍵かけるさかいにな。」
高山は萩原の方をにらみ念を押すように言った。
「誰が!お前のたるんだ体を見たがる奴がいるか?」萩原もやり返す。
「どうだか、毎晩俺の寝床に忍び込んできよってからに。今晩は部屋の外に叩き出したるさかいに覚悟しとれよ。」
「お前こそ!」
相変わらずの二人であった。
14
風呂を使いさっぱりしたところで二人とも部屋を出ることにした。
服装はスチュワーデスの制服の一部である白のブラウスとタイトスカートに新しくホテル内のショップで買い求めた肌色のパンティストッキングにこれも制服の一部だが黒のピンヒールハイヒール。はっきりとスチュワーデスの身分を示す制服の上着は部屋に置いてきた。
インナーにはこれまたホテル内のランジェリーショップで買い求めてきた白のシルクのスリップに同じく白のシルク地のEカップブラに同じ色のショーツ。もちろんレース付き。94cmもある豊満な乳房をシルクのブラが包み込み、98cmもある丸みをおびたまろやかな双臀に薄い白のショーツがピタッと装着される時のなんとも言えない甘い感覚が未だに二人を捕らえていた。「感じちゃう」という言葉があるが、あの感覚こそ男では感じることの出来ない女性特有の快感だった。
結局あれから後、二人とも一緒に風呂に入り、浴槽そして浴室のマットの上、その後広々とした豪華なダブルベットの中で全裸でむつみ会った。
何だかんだいいながらお互いの美しく豊満な女体に対する情欲を抑えることは出来ないのだ。
空港ホテルの最上階のメインダイニング。萩原と高山は100グラムのフィレステーキをメインとしたコースにボージョレのハーフボトル付きのディナーをとっていた。
肉は柔らかくまずまずで、ステーキの濃厚な味わいにボージョレヌーボーのフルーティーな味が合っていた。
夕闇が迫ってきた、地平線の向こうに遠くの街の夜景が宝石のように輝いている。
しかしまわりは漆黒の闇の中だ。美しくもあるが、不気味な風景でもある。
「しかし、さみしい景色やなー、本当にここはどないなっとんねん」高山はつぶやく。
その美しい色白の顔はかすかに赤みを帯び、アップにまとめた髪からかすかにほつれ毛が見えていた。
「さっきの話やけどな、お前に言われて気がついたんやが。確かに女にしか会わないな」
酔いが回ってきたのか、それとも疲れが出てきたのか高山の大きな美しい瞳は少し潤んでいた。
「ああ、それも美人ばかりだ。」
萩原も少し酔いが回ってきたのか同じように大きな美しい瞳を潤ませていた。
女性化してからというもの二人とも急にアルコールに対して弱くなってしまったようだ。
「この野郎、俺という美女が傍らにいながらもう浮気心起こしとるのか!しばくぞ!われ!」
高山は相当酔いが回っているのか言うことは支離滅裂だ。もっともボージョレもこれで3本目だ。
それにしても男性だったときには考えられなかったことだ。
食事を終わり二人とも隣の展望バーに向かう。6人ほど座れるカウンターにボックス席が1つ。
しかしラウンジのように回りが大型強化ガラスで外を展望できる。ただし今は暗い闇の中だが・・・
「いらっしゃいませ、お飲み物は何にいたしましょうか」
バーテンダーもやはり女だった。それもなかなかの美人だ。髪を高山と同じようにアップにまとめ、白のブラウスに紺のベスト、蝶タイを締め同じ色のタイトスカートをはいていた。
「ジンライム、もうかなり飲んでいるから少し薄めで」萩原が注文する。
「そちら様は?」バーテンダーは高山の方に目をやる。高山は相当振らついていた。
「同じのを」高山はカウンターに突っ伏したまま答える。
「そろそろ、止めといた方がいいんじゃない?美貴、貴女今日飲み過ぎよ」
人前なので萩原は女性の喋り方をする。
「いいの、まだ大丈夫。どうせこの階に部屋をとってあるんだから・・・」
高山も同じように女性の喋り方をする。
「いざとなればわたしがお二人を介抱してさしあげますよ。」
バーテンダーはウインクしながら言った。
えっ、という感じで二人ともバーテンダーの方を見る。
「あなたも何か飲んだら?」萩原はバーテンダーに言った。
「よろしいですか?それでは」バーテンダーは自分の分も含めてジンライムを3つ作る。
良く見たら店内には高山と萩原とバーテンダーの3人しかいない。
空港ホテルの最上階のスカイラウンジバーで杯を交わす美女3人。
地平線向こう、都市の夜景が宝石のようにかすかに光る。
ただし窓の外は漆黒の闇の中だ。

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