ジェード・コネクション10  作: 摩火 そして目を開くと、そこにいる全員が股間を大きく膨らませているのが分かった。 中にはもう待ちきれないのか、自分の逸物を取り出し、手でしごいている若い縄師も居た。 池内と景子はこの後、彼らにさんざんに輪姦される運命にあったのだ。 「ああ、いいとも、いいとも、皆が飽きるまでたっぷりと可愛がってやりな。」 けだるそうに内藤が縄師のリーダー格の男に命じた。 「はい、ありがとうございます。何しろ、陳先生の血清はたてつづけに女のセックスを与えて固定してやらないと、最初のうちはすぐに男の精神状態に戻ってしまうものですから。なあに、ここにいる全員を相手にすれば、すっかりしおらしくなって、普段もおんなおんなしてきますよ。」 その縄師の言葉が池内の頭に届くまでに数秒かかった。 ・ ・・こ、こいつら全員に入れられるのか、そうすればまたさっきみたいに女みたいになって、最後は女の心になっちまうのか・・・ 池内は慄然とした。 自分が身も心も女になり、しかもマゾとなって男の前で平気で恥ずかしい痴態をさらし、射精を求めるようになるというのだ。そんなことはどうあっても受け入れがたかった。 若い縄師の中には韓国人も中国人も交じっているようだった。 その彼らに、リーダー格の男が韓国語と中国語で内藤の言葉を伝える。 「わあお」 歓声の言葉が一斉に縄師達から上がる。 縄師達は池内の身体に群がった。 ・・・や、止めてくれぇ・・・ 内藤はショックで声も出せず心の中で絶叫した。 妻の景子は彼らも既に何度も味見している。 その意味では、たとえ性転換された男であっても、初物を一刻も早く賞味したいのだろう。 「ああん、こっちも、こっちにもお願い。」 景子が池内に群がる男たちを見て、すねたような声を出した。 それはそうだ、幾らなんでも自分の夫のほうが男たちに人気があれば、自分の女としてのプライドが傷つく。 しかし、そんなこともお構いなしに、景子の方に寄って来る男は一人も居なかった。 ・ ・・そ、そうだ、景子の方に行ってくれ、俺にちかよるんじゃあねぇ、女になんかなりたくねぇ・・・ 心でそう強く念じて見たものの、相変わらず男たちは池内の周りを取り巻いていた。 「な、なによ、そんなにそっちのほうがいいの?」 景子は本気で傷ついたようだった。 声が多少荒くなっている。 「ああっ、こっちに来るな。あっちへ行けぇ」 池内はうやく声を上げた。 なによりも恐怖を感じた。 10人もの男を相手にセックスされるのかと思うと、その恐ろしさはひとしおではない。 全員のギンギンにそそり立った股間の陽物が丸でナイフの様に思えても不思議ではなかった。 「まず、最初は内藤さんの体液、きれいにしなくちゃな。」 リーダー格の縄師がそう言って、ノズルの付いたホースを持ち出してきた。 ジェード・コネクション376 摩火 - 2006/04/03 19:58 - この部屋は、さすがSMの調教を行うだけのことはあって、たとえ浣腸プレイで身体が排泄物まみれになったとしても、そのまま温水シャワーで洗い流すことができる設備が付いている。 縄師は、そのシャワーを乱暴にも池内のヴァギナに突っ込んだのだ。 「あっ、いや」 内藤によって女にされた影響がまだ残っているだろうか、池内が反射的に女らしい声を上げた。 そして池内自身はそんな声を上げたことで激しい自己嫌悪に陥る。 しかし、縄師は委細構わず、無骨にも池内の恥ずかしすぎる股間に開いた割れ目にノズルの細い先を中ほどまで入れて引き金を引いた。 「ああっ」 池内の悲鳴と共にシューッという水音が聞こえ、その股間から精液交じりの温水がゴボゴボと溢れ始めた。 「はははっ、お嬢ちゃん、始めてのビデ体験はどうかね。丸でまた中だしされているみたいだろう。」 縄師は、池内の身体の中で、ノズルの先を円を描くように動かした。 「ああっ、もう、もう止めて。」 流石に水流の勢いが強く痛いのだろうか、池内が哀れな悲鳴を上げた。 「どれどれ、だいぶきれいになったかな。おい、ついでに縄も外してやれや。」 縄師が若手の男に命令した。 別に自由にしてやろうという魂胆ではない。これから全員で色々な体位で池内をいたぶろうというのだ。 「おっと、首輪、首輪、雌奴隷の印の首輪は忘れるなよ。」 縄から自由にしても、首輪を嵌めることによりそのマゾ女としての自覚を持たせ続けようという腹のようだった。 「分かっていますって、ほら、お嬢ちゃん、首を飢えに上げな」 若い日本人の縄師がまず池内の女のように細くなってしまった首に太い頑丈そうな首輪を嵌めた。 池内は、嫌そうな素振りを見せたが、所詮自由にならない女の身だけあって、抵抗らしい抵抗もできないでいる。 それから縄師は手馴れた手つきで池内の身体を縛っていた縄を解いていく。 白い柔肌に縄目の跡がくっきりと残されたものの、ようやく池内は身体を自由に伸ばせることができた。 しかし、長時間縛られていたせいなのか、直ぐには動くこともできない。 そこへきて、ようやく池内の膣洗浄が終わった。 池内の股間はきれいに悌毛されているため、シャワーで濡れてはいるもののその作られた女性器の構造は手に取るように分かった。 その女性器からお湯の雫がポタポタと垂れていた。 すっかりと惨めなまでに平らになった自分の股間を池内は恐怖の思いで見つめた。 この穴の中に、これから10本ものペニスを次々に入れられるのだ。 それは苦痛に満ちた刑罰だった。 「よしよし、これでいくらでも中だしできる。」 リーダー核の縄師はいちいち池内の心に突き刺さるような言葉をわざとらしく言った。 池内の心が恥ずかしさと悔しさに満ち溢れてくる。 その縄師のリーダーの言葉は死に行くものに鞭打つ行為にも似ていた。 「どうやら、元の男の精神状態に戻っているようだな。待っていろ、今すぐに女の気持ちよさをまた味合わせてやるから。そして何度も女としていっちまっていうるうちに、心が完全に女のものに切り替わり、46時中男に苛められ、犯されることばかり考えるようになるからな。それまでの辛抱だ。」 その言葉を聞き、池内は反射的に反発した。 「くそう、そんなことあるもんか、お、オレは絶対に・・・」 しかし、現実につい先ほど内藤に犯され、絶頂に達してしまったばかりなのだ。 内藤の語尾は自信なさそうに最後は小さくなっていく。 「ほらみろ、自分自信がそうなるかもしれんと思っているんだろう。なにしろさっきはおマンコに内藤さんのチンポぶち込まれて盛大によがったばかりだもんな。おまんこ汁もダラダラと流して、まるで洪水のようだったぜ。俺たちのチンポも入れられたとたんに、アヘアヘととたんによがりだすさ。そうして何人ものチンポ入れられているうちに、完全に女になっちまう。」 リーダーの言葉はまるで呪文のようだった。 『女になっちまう』という言葉が木霊のように池内の耳に木霊していた。 ・・・お、オレは本当に、身も心も女にされちまうのだろうか、そして淫乱女のように男のペニスばかり追いかける娼婦にされちまうのだろうか・・・ そう考えたとたんに、また言いようのない嫌悪感と恐怖感が池内の心から沸きあがってくる。 「い、嫌だ!」 池内は大声で叫んだ。 「嫌だと言っても無駄なことだな、お嬢ちゃんよぅ」 リーダーは池内の腰を掴むとテーブルの上に仰向けに横たえた。 先ほどの縄目の影響で、池内は全身に力が入らないままリーダーにいいように体位を動かされてしまう。 リーダーは次に池内の足を自分の肩にかけた。 そうして、池内の身体ごとテーブルの端まで引き寄せる。 それは屈曲位でのセックスを意味していた。 屈曲位も後背位と同じように屈辱的な性交スタイルだった。 しかも後背位と違って、より深く性器同士の結合が可能となる。 ペニスの根本まで深々と挿入されるのだ。 池内がかつて男だったころには、妻の景子を相手によくこの屈曲位を使ったものだった。 肩に景子の足を乗せて、上から押さえ込むようにペニスを深く突きたてると、景子は驚くほど悶えよがったものだった。 その屈曲位がまさか自分の体に行われることになるとは。 池内は何とかリーダーの腕から逃れようともがいた。 しかし、がっしりした男の腕から、今のか弱い身体になってしまった自分が逃れることは到底できないことだった。 リーダーの腕が伸びて、池内の乳房を揉み始めた。 とたんに乳首がピンと立ってくるのが分かった。 しかも、その乳首は立てば立つほど、快感が強まってくるのだ。 「くっ、くっそおーー」 そうは言ってみたものの、男は池内の胸から手をどける訳もない。 「それそれ、さっきいったばかりだから、まだ身体は敏感な筈だ。すぐに気持ちよくなってきただろう。」 リーダーは池内の顔を覗き込みながら言った。 「ち、ちくしょ・・・・あんっ」 池内の言葉の最後は感じている女の声になってしまっていた。 「や、やめ・・・」 池内はそう口に出したっきり押し黙ってしまう。 また、あの快感の記憶がぶり返してきたのだ。 リーダーの手先は巧みだった。 池内の快感のポイントを知り尽くしているように全身を愛撫した。 「ああ、も、もうやめて、またいきたくない」 池内は堪らずにそう哀願した。 しかし、その声はもう完全に女の口調になってしまっている。 これ以上全身を愛撫されたら、また淫乱女のようになってしまって、入れて入れてと屈辱的な懇願をしてしまうに違いなかった。 それにもかかわらず、リーダーの手はいっこうに止まるところを知らなかった。 池内の首筋や細く引き締まった腰にその愛撫がかかる度に、どんどんと池内の呼吸が乱れて来る。 その時だった、なんと池内のからだの上に景子が覆いかぶさってきたのだ。 「待って、あたしも可愛がって」 景子は池内の上に乗りながらもリーダーに向かってその熟れた尻を差し出した。 どうやら、池内が愛撫を受ける姿を見て我慢できなくなったようだった。 その結果、リーダーのいきり立った逸物の前には二つのいやらしく濡れそぼった穴が上下に並ぶこととなった。 「こいつは参ったな。二穴同時には入れられないぞ。どっちに最初に入れて欲しいんだ」 リーダーが重なり合っている二人に言った。 「あたし」 そう言ったのは二人同時だった。 「なんだなんだ、俺のペニスは1本しかないぞ、どっちかにしか入れられないな」 リーダーのその言葉に、また二人に同時には答えた。 「あたしが先よ」 「あたしに入れて下さい」 そう言ってから二人は間近からお互いの顔を見た。 その二人の顔はお互いが今までに見たことのないくらいに情欲に歪んだ顔だった。 「何よ女に成り立てのくせに、もうお尻振って男に媚びること覚えたの。少しは遠慮しなさいよ」 最初にひにくたっぷりに嫌みを言ったのは景子のほうだった。 その心には女同士のライバル意識が剥き出しになっている。 それは奥村医師が予言したとうりの展開だった。 「まあ待て、どちらが最初にペニス入れられるかで夫婦喧嘩はいけないな、仕方がないそのままの格好で動くなよ」 リーダーはそう言うが早いか、まず自分のいきり立ったペニスを池内のヴァギナの中にクイッと突っ込んだ。 突っ込まれた池内のほうは堪らない。 「あんっ、あっ」 たちまち色っぽい声を上げてよがりはじめる。 その瞬間、リーダーはそのペニスをグイッと抜くと、今度は上に重なった妻の景子のヴァギナの中に差し込んだ。 「ああっ、あっ」 今度は景子が嬌声を上げる番だった。 リーダーは激しく腰を動かし、二人の重なり合った女性器の中に自分のペニスを交互に入れていく。 それは普通のセックスにはない興奮を二人に与えた。 引き抜かれたペニスが また自分の体内に入ってくる時間が果てしなく長く待ち遠しく思える。 しかし、またペニスを入れられたとたん、待ちに待った喜びが快感を倍増させるのだ。 二人はあっという間に絶頂へ絶頂へと上り詰めていく。 「ああっ、い、いいぃぃ」 「あふんっ、ああっあふんっ」 言葉は違っても、2人の声は紛れもない絶頂を表していた。 その証拠に、二人の陰部からはとめどなく愛液が流れ出ている。 その愛液でぐちゃぐちゃになった所を、リーダーの縄師はそれぞれの膣壁にこすりつけるようにペニスを動かすのだ。 これにはどのような女でもたまったものではない。 池内と景子は知らず知らずのうちにお互いの乳房を愛撫し始めていた。 勿論2人にレズ気があった訳ではなく、互いにもっと強い快感を得ようとした結果だった。 もう、こうなっては周りで見ていた他の若い縄師達も辛抱できる訳がなかった。 一人、二人と男たちの手が景子や池内の身体に伸びていく。 何人かはガマンできずに自分のペニスをしごき始めていた。 また、うまく池内と景子の頭側に回った男は自分の怒張しているペニスを二人の口元に押し付ける。 それは2人にとっては予想していないことだったが、すぐにそのペニスをおいしそうにむさぼり始めたのだった。 「どうだ、ペニスしゃぶって美味いか。」 縄師の一人が自分のペニスをほおばらせながら池内に尋ねた。 「うぐっ・・・うぐっっ」 しかし、池内から帰ってきた答えはなんとも判別不能なものだった。 あまりの性的興奮と快感と、そしてペニスを口いっぱいにほおばっているために喋ることさえおぼつかないのだ。 その池内と景子の眉間にしわが寄るのが見えた。 リーダーが突き上げるたびに、二人の顔が苦悶しているかのように歪むのだ。 そして自分の膣を突かれる快感がいくぶん収まるとまた取り付かれたように男のペニスをしゃぶり始めるのだ。 この快楽は果てしなく続くように思えた。 なにしろリーダーが例えどちらかの体内で果てても、まだ次のペニスが大量に順番を待っているのだ。 もはや、池内にもそして妻の景子にもそんなことを考えている余裕などまったくなかった。 この狂気じみた酒池肉林の地獄はその後何時間も何時間も続くこととなるのだ。 42.浅芽16 車は広大な中国大陸の中を走っていた。 いつまでも終わらないと思うような一本道が地平線の彼方まで続いている。 もう4日間も車は走り続けている。 さすがにこれだけ車に乗りっぱなしだと、身体のあちこちが悲鳴を上げて来る。 たまに行き交うのは建設工事用の車両が多かった。 ここはカザフスタンに抜ける幹線道路のひとつだった。 そう、ワタナベ軍曹達は中国からカザフスタンに脱出しようとしているのだ。 今は10年前と違い、中国国境を越えるのにさほど困難ではない。 冷戦の終結と共に、厳重な国境封鎖は過去の遺物になっていた。 ほんの少し前まではこの幹線道路ももっと活況を呈していた。しかし、パンドラ病の蔓延と共に交通量が圧倒的に減少してしまっている。 この様子では国境自体の警備もきちんとされていない可能性のほうが高かった。 ワタナベ軍曹はその間隙を縫おうというのだ。 少なくとも、極東の守りの要であるウラジオストックよりはカザフスタンの方が国境突破は容易に思えた。 中国とカザフスタンの国境まではあと数時間の距離だった。 ワタナベ軍曹はカザフスタンに入国した後、NPOの一つである反戦弁護士のグループと連絡を取るつもりだった。 半年ほど前にアフガニスタンで作戦を展開したおり、知り合ったグループだった。 こちらから連絡を取ることはまず無いと思っていたのだが、何かの役に立つかもしれないと思い直し、連絡先の電話番号を暗記していたのだ。 その電話番号にダイヤルすることは賭けだった。 反戦グループの電話番号など、CIAを始めとする各国の諜報機関にモニターされていることは確実だった。 電話すればどのような連中が呼び覚まされるか分かったものではなかった。 しかし、それでもなおワタナベ軍曹はそのNPOに電話しない訳にはいかなかった。 すでに軍は自分たちを死んだか脱走したことに気が付いているはずだった。 死んでいると判断してくれているならばまだいいが、軍は自分たちを生きていると想定してあくまでも捜索しているはずだった。 自分たちの唯一の価値は、浅芽と浅芽が持っているジェード社に係わる機密書類だった。 それを失えば自分たちは簡単にこの世から抹殺されてしまうだろう。ワタナベ軍曹はこの秘密を渡す条件にある国に自分たちの身柄の安全を保証してもらおうとしていたのだ。 その国とはカザフスタンだった。 ソ連時代に比べ、国家としては弱体化しているものの、KGBのメンバーが生き残っている情報局はそれなりの安全が保証されるはずだった。 「もうすぐ国境だ、用心しろよ」 ワタナベ軍曹が隣に座っている浅芽の手を握り、やさしく声をかけた。 それだけで浅芽の胸はきゅんとなってしまう。 恋多き女、浅芽はまさにそんな女になっていた。 ホルモンの影響で大きくなり始めた胸は自分でもびっくりするほどの成長を見せ始めている。 最初は大きくなってくる乳首が直接衣服に擦れてとても痛かったが、その痛みもやがて少しづつ薄れ、大きくなる一方の乳房を持つ喜こびが浅芽を満たしていた。 その乳房をワタナベ軍曹たちはとても大切なもののように慈しんでくれた。 毎晩のように三人の脱走兵達はかわるがわる浅芽の肉体を求めた。 それはまるで浅芽とのSEXに没頭することにより、悪夢を追い払うかのような感じすらあった。 今の浅芽は若妻をイメージした柔らかな女らしい白のロングのアコーデオンスカートに同じ色のブラウスという上品な感じの服装だった。 勿論、これはここに来る途中の地方の小都市のデパートで買ったものだった。 中国の経済発展はパンドラ病が蔓延する前はそのピークに達していた。 中国奥地の小都市も、その例に漏れず商業的にも工業的にも十分発達していた。 浅芽は初めて入るそのデパートの女性物の衣服の量に思わず目を見張った。 それは日本のデパートの品揃えと殆ど変わらないように思えた。 華やかな色のスカートやワンピースに浅芽は目を奪われた。 どれもこれも欲しいほど可愛いデザインのものでいっぱいだった。 そして、居心地悪そうにしているワタナベ軍曹たちを尻目に、さんざん迷った末、今着ているスカートとブラウスに落ち着いたのだった。 ワタナベ軍曹たちは、中国からの旅行者を装ってカザフスタンに入国するつもりだった。 そのために、全員が旅行者がよく着るような服装だった。 もちろん、その服は浅芽と同じデパートで買い求めたものだった。 そのうちに周りの景色が徐々に変わって来る。 木や草もない荒れた大地を道路がただ真っすぐに走っていた。 それはカザフスタンとの国境に近付いてきた印だった。 国境までの距離を告げる標識が現れてはあっと言う間に疾走する車の後ろに消えて行った。 「見ろ、国境だ」 ワタナベ軍曹がふいに遠くに現れた一軒の平屋を指さした。 それはとても国境を守る関門とは思えぬほどの小さい建物だった。 国境を通過しようとしている車も、ましてや通行人も一人もいない。 目をこらして見ても、国境を示すゲートに警備兵らしき姿はまったくう見えなかった。 どうやら、パンドラウィルスの影響はこんな辺鄙な国境にも及んでいるようだった。 ワタナベ軍曹は国境の閉じているゲートの前に車を止めようとした。 警備所の中からけだるそうな様子で一人の制服姿の男が出て来る。 どうやら、国境の役人はこの男一人のようだった。 男は車の中をのぞき込んだ。 その瞬間だった。 「バック!フルスピード!」 いきなりワタナベ軍曹が大声で運転している部下に命令した。 車はキキイィーという派手な金属音を出して猛烈な勢いで後ろに下がる。 パンパーンという小銃の発射音が聞こえ、浅芽達の乗っている車にカチンカチンと弾がめり込む音が聞こえた。 浅芽達は待ち伏せされていたのだ。 「ウウッ」 助手席に乗っていた軍曹の部下がいきなり一声唸ったと思うと、首が不自然な角度にがくんと傾いた。 その頭部から夥しい量の血が流れ落ちていた。 浅芽はワタナベ軍曹の手により、シートに身を伏せさせられた。 また、パラパラと小銃の発射音が聞こえた。 「ケリィー!」 軍曹の叫び声がした。 そして次の瞬間、車がコントロールを失い、道路沿いの木立に派手な音を立てて激突した。 浅芽はその衝撃でほとんどシートから飛び出しそうになる。 運転手を努めていた軍曹の部下もまた身体を打ち抜かれていた。 浅芽は割れた窓から車外を見た。 数人のターバンを頭に巻いた男達が小銃を構えながら大破した車に近付いて来るのが見えた。 「ガッデム、やつら、タリバーンか?それとも山賊か」 浅芽の横でワタナベ軍曹が唸った。 国境の治安はワタナベ軍曹が想定していたよりも悪化していたのだ。 そこにはかつての鉄の規律を誇った中国国境警備隊の影も形も見えなかった。 「ど、どうするの、ジョウ」 浅芽がワタナベ軍曹にささやくように尋ねた。 その声は心なしか奮えている。 「まずい、非常にまずい。やつらが山賊やタリバーンじゃあないことを祈るしかない」 さすがは数々の戦火をくぐり抜けてきただけあって、ワタナベ軍曹の声は冷静だった。 しかし軍曹はここが人生の最後かもしれないと、襲撃を受けターバン姿の男達を見たときから覚悟していた。 やつらが山賊なら、金品を強奪されてこの場ですぐに殺されるだろう。 これがタリバーンなら、人質にされすぐには殺されないものの、西側社会に対する理不尽な要求に使われた後、いずれにせよ殺されるに違いなかった。 どちに転んでも死は避けられない運命に思えた。 「絵美、こんなことになってすまない。オレが上官たちを殺さなければこんなことには・・・」 そのワタナベ軍曹の言葉を浅茅が遮った。 「ううん、いいの、いいのよ、覚悟はできている。ジョウと知り合えただけでも幸せだったわ。ここで一緒に死ねるのも幸せ・・・愛しているわ、ジョウ」 浅茅は和田なべ軍曹の目を食い入るように覗き込んだ。 「オレもだ、オレも愛している。絵美」 二人はこれがお互いの見納めとばかりに目を見交わした。 その背後から数人の男たちの足音が聞こえてくるのも、今の2人にはまったく聞こえないかのようだった。 43.良太7 良太は数週間前から北京に来ていた。 別に観光でもなんでもない。 それは翡翠有限公司の手により、北京に開かれた娼館の専属娼婦として自分の身体を男に使ってもらうためだった。 なにしろここに来てめっきりと人前に姿を現す女性の数が減ってしまっている。 死者の統計の上ではまだまだ女性の数は男性の3/4は残っているはずだが、パンドラ・ウィルスの感染を恐れてほとんど人との接触を恐れているためだった。 とは言っても、世界中の女性は10〜20年前に感染してしまっている。 今更人との接触を避けても無駄なのだ。 しかし、その感染の事実を各国政府はまだ公表しかねていた。 公表すれば、一気に社会は崩壊へと向かっていくだろう。 今の状態のほうがまだなんとか社会秩序の維持はできていた。 あとは極秘裏に進めている対パンドラウィルスの数々のプロジェクトのうち、どれかが成功を収めてくれることを祈るのみだった。 その数々のプロジェクトの中でも、ジェードプロジェクトだけが唯一成功していることは皮肉と言えば皮肉だった。 何故ならば、ジェードプロジェクトは他の対ウィルスプロジェクトが進めている治療方法が全て失敗した時に使用される最後の砦とも言うべきプロジェクトだったからだ。 そしてここに来てパンドラウィルスの治療法方が進展しない状況がいよいよ濃厚になってきたのだ。 中国・韓国・日本政府はついに性転換者を大量に作るというジェードプロジェクトの更なる推進を決断した。 国籍不明(正体は米軍)の軍隊によって大損害をこうむったジェードプロジェクトに一層の資金と人員が投入されることとなった。 その活動の一環として、良太はここ上海に移動されていた。 上海に娼館を作ったのは、性転換者の適応と客の反応をリサーチするためだった。 いくら女性そっくりに整形したとしても、元が男というだけで拒絶反応を表す人がいるものだ。 そのような男性にも性転換娼婦が受け入れられるかが実験の目的のひとつだった。 そして、強制的に性転換した男が売春婦として適応していけるかもまた実験の検証目的のひとつだった。 「イーチェ ジェイアオゴオウ バァ? (一緒に寝ない?)」 良太はその娼館のロビーで次々に入ってくる中国人の客に片っ端から覚えたての中国語で声をかけていく。 その良太の女らしい全身をニヤニヤと舐めるように見ながら大抵の客はウンウンと頷きながら2階の寝室へ良太と共に消えていくのだ。 良太の娼婦の衣装はいつも決まっていた。 それは大海山によって女にされた時に着ていたのと同じようなメイドの制服だった。 ただ、普通のメイドの制服よりも胸元が大きく開き、豊満な乳房がこぼれんばかりになっていた。 そしてスカートは、少しでもかがむとパンティーが丸見えになってしまうくらいに短いものだった。 しかし、それが男の欲情を煽り、激しいくらいのセックスに結びつくことは経験上よく知っていた。 あまりにも女らしい格好は、それを見た男の雄としての本能を全開にさせるのだ。 そう、大海山によって女としての悦楽を覚えた良太の身体は自分でも止めることができないくらいに淫乱になっていったのだ。 そして、良太の使うベッドルームには必ずロープや浣腸器、そしてバイブも用意されていた。 それを使う客は意外と多かった。 良太の体中に施された手術跡が女に性転換したことをはっきりと物語っていた。 その手術跡が良太のマゾっぽさを強調し、逆に客たちの加虐心を煽り立てるのだ。 良太が一日に相手にする数は常に10人以上はいた。 良太はそれだけ売れっ子だったのだ。 この娼館には良太のように性転換された娼婦だけで15人はいる。 全員ジェード社によって強制的に娼婦へと落された元男性達だった。 日本人は良太と啓一の2人、あとは中国人と韓国人ばかりだった。 良太はここでは奈々子、そして啓一はハナと名乗っている。 2人とも売れっ子だった。 啓一は牛娘との触れ込みで、超巨大に膨らまされた乳房にホルスタインの模様のコスチュームという異様な姿で店に出ていた。 最初のうちは流石の北京っ子もおそるおそる牛娘の啓一を見ていた。 しかし、数日経つうちにフリーク好きの中国人青年が集まり始め、啓一を相手に獣姦ごっこにふけり始めた。 ちなみに啓一の精神は相変わらず壊れたままになっている。 牝牛のように後ろから突かれ、巨大な乳房をしごかれて絶頂を迎えるたびに必ず「モオーー」っと牛のように鳴くのだ。 それが北京っ子には加虐心をそそり、面白いらしかった。 この娼館には他にも金姉妹とされてしまった金兄弟がいる。 なんでも元はソウルの名うてのサオ師兄弟で数多くの若い女性を毒牙にかけたそうだが、 今ではその自慢だったサオも失ってしまい、男にサオを突っ込まれる立場に成り果ててい る。 この金姉妹の2輪車も兄弟・・・いや、姉妹ならではの息の合った性技ゆえに上々の評判 となっていた。 この4人の性転換女性が売れっ子のトップ4だった。 4人とも奥村医師が腕によりをかけて整形しただけあって、いずれ劣らぬ美女ぶりだった。 またその身体もとても元男とは思えぬくらいにムンムン、ムチムチとした女性の豊満な肉体に変えられている。 こんないい女に町ですれ違っただけで、大半の男はムラムラと発情してしまうに違いないくらいの女の色香をそれぞれに発散している。 この4人は娼館ではいつしかライバル意識を持ち始めていた。 よりセクシーに、より美しく それは男時代にはまったく想像できないくらいの女らしさへの執着が出始めているのだ。 その意味では、娼館に性転換者を配置して競わせるというジェード社の方針は成功したと言えよう。 この娼館で客を取らされ始めた全員が逃亡することもなく一生懸命売春婦としての自己を受け入れ始めたのだ。 もちろんそれなりの収入はある。 なにしろ中国人の平均月収分を一日で稼いでしまうのだ。 また休日には北京のデパートでショッピングする自由もある。 彼ら・・・いや、彼女らは自らの身体で稼いだ金を使い、そのデパートでドレスやら ランジェリーやら化粧品やらを本物の女性のように買いに行くのだ。 わずか数週間で良 太の私室のクローゼットも自分で買った華やかな女物の服でいっぱいになってきていた。 良太は昼過ぎにいつも目を覚ます。 娼婦としての仕事は明け方まで入っていて、いつも寝るのはそれからだからだ。 この娼館で働くようになってからの良太は、私生活でも全ての服装がフェミニンなものになっている。 より可愛い服や女らしい色使いの小物が好みになってきているのだ。 寝るときも華やかな色のナイロンネグリジェ姿だった。 髪もどんなに疲れているときでもきちんとカールして寝ている。 そうしないと翌日の髪のセットが可愛くできないのだ。 そして起きて真っ先にすることは、お化粧だった。 より美しく、きれいに見えることが良太の一番の関心事だった。 濃いファンデーションを塗ると、顔の手術跡はだいぶ隠せる。 でも身体に残る縦横の手術跡までは隠すことができない。 もっともこの手術跡が良太のウリの一つなので、積極的に隠すこともしない。 それから娼館に出るまでの間に着る服は何にしようかと毎日良太は悩む。 昨日は白のスカートだったから、今日は黄色のワンピースにしようか・・・ 黄色いワンピースだとやはり下着も同色のパンティとブラにしようかしら・・・ 良太は女であることを楽しみ始めていた。 それは殺伐とした相撲取りやヤクザの時代とは無縁の華やかで軽やかなフェミニンな世界だった。 今日も良太はミニのワンピースで食事を食べた後、店に出ることにした。 出るといっても良太をはじめここの専属娼婦達は全員が娼館のなかに広々とした私室を与えられている。 私服からより娼婦らしい服装に着替えたらそのまま1階のロビーに行けばいいのだ。 良太がクローゼットを開けると、沢山の婦人服に交じってメイド服も10着ばかり下げられていた。 これが良太の娼婦としての制服だった。 その中から良太はピンクのメイド服を選んだ。 それからそれに似合ったランジェリーを用意する。 パンティーは制服と同じピンクだが、それを5枚以上用意しなくてはならない。 何故なら ば、メイド服のまま体中をまさぐられ愛撫されることが多いために、下着が愛液でびしょ びしょになってしまうからだ。 良太の身体も奥村医師の悪魔的な技量と女としての性感 アップにより、時として多量の愛液を膣より分泌してしまうのだ。 それからガーターとピンクのストッキングも用意した。 パンストは客が脱がせにくいというので不評なのだ。 その点、ガーターベルトだと客はすぐに良太のパンティーを脱がせることができる。 良太は客にパンティーを脱がされるたびに性的興奮がいっそう高まるのを感じていた。 あとメイド服に絶対に欠かせないのがパニエだった。 スカートの下に着ると、メイド服のスカートがきれいに前後に膨らみ、より一層の女らしさを強調するのだ。 ピンクのメイド服にはレースの裾飾りが沢山ついたピンクのパニエが絶対に必要だった。 良太はそのメイド服を着ると、頭にヘッドドレスを装着した。 そして大きな姿見の鏡で女性のように全身を回転させながら写してみる。 パニエによって膨らんだスカートと細くされたウェストが女らしさを強調していた。 その自分の姿に満足した良太はかかとの高いミュールに履き替えて自分の部屋を出た。 手は着替えの下着や、プレイで乱れた化粧を直すための化粧品が一式入っているピンクのバックを持っている。 ・ ・・今日はどんなお客様が来てくれるのかしら・・・ 1階に下りるエレベーターを待ちながら良太はうきうきしていた。 毎日が楽しかった。 何しろ数知れぬ男たちが自分の身体を目当てにやってくるのだ。 そして良太の豊満な女体を目にしたとたんにその股間を硬く勃起させるのだ。 それが良太にはこの上ない快感に思えた。 今日もロビーに降り立つと、とたんに良太目当ての男たちの視線が一斉に注がれるのを感じた。 良太はその客達ににっこりと女らしい微笑を返した。 ・ ・・また、この人達も私の魅力に興奮している・・・ そう思うと、良太は自分の股間の空隙がしっとりと濡れてくるのを感じた。 性的に興奮した時に、男だったときには感じていた熱い塊はもはやこみ上げてこない。 しかしその代わり、身体の奥底からジュワッとしたものが分泌される感覚があるのだ。 そしてその中に熱く硬いものを思いっきり差し込んで欲しいという衝動がこみ上げてくる。 この日、良太にはすでに6人の予約が入っていた。 売れっ子のため、プレイ時間はロングの2時間ではなくショートの1時間というのが良太を買える条件になっている。 最初の客が待ち遠しそうにこっちを見ていた。 「ニイ ジューレン ニイハオ(ご主人様、ようこそ)」 良太はセクシーに最初の客に挨拶をする。 その客は恥ずかしいのか、それともこういう場所に慣れていないのか、そわそわと落ち着かない様子だった。 年のころは20歳になるかならないかに見えた。 ・ ・・うふふっ、ドキマギしちゃって、可愛い子・・・ 良太はそう思った。 なにしろ恥ずかしがって、まともにこちらを見られないくらいにウブな子なのだ。 この様子では童貞なのかもしれなかった。 ・ ・・待っていて、今お姉さんが筆下ろししてあげる・・・ 良太は心の中でそう呟くと、その客の手をそっと握り階上のプレイ室へと導いた。 階段を昇る間も若い客の待ちきれないほどの興奮が良太にも伝わって来た。 良太はわざと自分の身体を若い男性に密着させながら階段を昇る。 若く引き締まった男の筋肉が良太の興奮を誘った。 そしてプレイ室の扉を閉めるか閉めないかのうちに、男の手が良太の突き出した胸の双球に伸びてくる。 「ああっんっ、ジューレン(ご主人様)」 胸を揉まれる快感に反射的に良太は反応する。 良太の形のよい胸は男の手によって執拗に揉みほぐされていく。 ・ ・・い、いやだ、この子、意外と上手・・・ そう思ったのもつかの間、今度はスカートの裾を割って男の手が良太のパンティーの中心部に伸びてきた。 そしてパンティーの上から、良太の恥ずかしい割れ目をなぞるようにしてなで上げてくる。 さんざん男に犯されてきたそこはすぐさまに反応を見せた。 「あっ、あ〜んっ」 艶かしい声を上げながら良太は自然に足を開いていく。 それは女の本能のようなものだった。 硬く閉じていた陰唇が男の指先の動きで徐々に開いていくのだ。 良太は後ろ向きになりながら腰を男のほうに突き出し、うっとりとしたような表情で男のほうを振り返った。 それはお尻を好きにして下さいとでもいうポーズだった。 このポーズで尻を差し出されて興奮しない男はこれまでに存在しなかった。 このポーズにより、細いウエストと大きな尻が一層強調されることになる。 案の定、男の手が良太のスカートを腰までめくり上げ、ピンクのパンティーが露になる。 良太は自らの大きな尻を色っぽく左右に振った。 それは丸で早く入れてねとでも言っているかのようだった。 「シーアン カアーン(見せてよ)」 男が照れくさそうにそう言いながら良太のパンティーを器用に足元までくるくるっと下げた。 良太はこれまで数多くの男たちに作られた女性器を見られている。 それ故、さほどあそこを見られることに抵抗はない筈だった。 しかし、この若い男はそれまでの男たちとは違っていた。 まるで標本を観察するかのように良太の女性器をじっくりと見始めたのだ。 尻を大きく突き出した格好のまま後ろからじっくり見られることはこれまでにない経験だった。 「ど、どうぞ、ご覧になって下さい。ご主人様。」 まだ十分に中国語を操れない良太は中腰のままそう言った。 すぐにこの若い中国人は我慢できなくなって、覆いかぶさってくるだろう。 良太はそう思っていた。 しかし、その中国人はさっきと違ってなかなか良太に手を触れようとしない。 「ベイ、ベイ」 どうしたのかと肩越しに振り返ると、中国人はそう呟きながら熱心に良太のあそこを食い入るように見ているのだ。 「ベイ」とは中国語で貝の意味だ。 そこまでは良太も判った。 確かに女性器は後ろから見ると2枚貝が口を閉じたようになっている。 中国人は良太の女性器が貝のようだと言っているのだ。 最初はその中国人の意外な挙動に驚いていた良太であったが、じっとあそこを見られることに対して徐々に羞恥心が湧き上がってきた。 めちゃめちゃ恥ずかしいのだ。 かって、男の中の男と言われ、ぶっとい棹の持ち主でもあり、何十人何百人の女をこましてきた自分が、今ではなんとも恥ずかしいはまぐり状の器官を付けられ、おっぱいもたわわな娼婦に改造されてしまっている。 その女にされた証をまじまじと見続けられて、恥ずかしくない訳がなかった。 「ああっ、ご、ご主人様、もう十分に見られたでしょう、もう、宜しいでしょうか。」 良太はほほをぽっと赤く上気させながらその中国人に言った。 しかし、もとより日本語が通じるはずもなかった。 あいも変わらず、その中国人は良太に触れずにまじまじと良太のもっとも恥ずかしい部分を見ている。 「ど、どうか、ドウィプーチィ(お願いします)、そんなに見つめないで・・・」 良太は自分の股間がまたジュワッと濡れ始めたのを感じた。 「リンシィー(濡れてきた)」 良太があそこから愛液を分泌し始めたのをその中国人は見逃さなかった。 「ああ、恥ずかしい、恥ずかしいです。ジューレン、ドウィプーチィ、お願いします。も、 もういいでしょうか。」 良太はそう言いながら、この若い中国人に自分の恥ずかしい部 分を見られることにマゾとしての喜びを感じていた。 自分のあそこを穴が開くくらい に・・・いや、もう穴は開いているのだが、じっと見られているのだ。 まるでその視線は良太の内臓の奥底まで見ているのではないかと思われるくらいだった。 それがとてつもない恥ずかしさとなって良太を襲っている。 触れられてもいないのにこれほど内腿をしとどに濡らしたのは初めての経験だった。 すると、その中国人は良太が十分に濡れたのに満足したのか、ようやく良太の身体に手をかけると、ベッドへといざなった。 その男の手が肩に軽く触れただけで良太は甘い吐息を吐いてしまう。 ほとんど触られていなくてもこれほど性的興奮をしているならば、いざ挿入されたときには自分はどうなってしまうのだろう。 そんな考えがちらりと良太の脳裏を掠めた。 愛液が足首のところまで滴ってきていた。 良太は一刻も早くその男のモノを入れて欲しかった。 ベッドまで来ると、良太は待ちきれないように跪き、男のペニスを口に咥えようとする。 しかし、その中国人は跪こうとする良太の身体を真っ直ぐに立たせた。 「ブーシン(駄目だ)」 中国人はそう言うと、良太をベッドに仰向けに寝かせた。 良太のメイド服のスカートが上までずりあがり、パンティーを穿いていない下半身が丸見えになる。 今更隠しても意味がないが、良太は身に染み付いた女のたしなみとして、スカートの裾を反射的に直そうとする。 「ブーシン(駄目だ)」 中国人はまたそう言うと、今度は良太の両足を持って身体を九の字にぐぐっと折り曲げさせてきた。 その両足は良太の頭のところまで来ている。 つまり、良太はこれによってマットレス運動の後転の途中のような格好にされてしまった。 そうなると当然、良太のパンティを穿いていない女の秘所は中国人の鼻先に丸見えになってしまう。 それは先ほどのバックから尻を突き出した格好で女性器を観察された以上の恥ずかしい姿勢だった。 「ああっ、ま、またっ」 またもやその恥ずかしい姿勢で自分の秘所をじっくりと見られると思うと、先ほど以上の恥ずかしさがこみ上げてくる。 身体を窮屈に折り曲げさせられているのだが、本物の女性並みに柔らかくなった身体はその姿勢をなんなく保っている。 これも男だった時代には考えられないことだった。 良太は、これまでこのスタイルで性交されたことは何度かあった。 この格好でセックスされると、膣壁に男根が強烈にこすり付けられ、物凄く感じてしまうのだ。 良太の女性器は肉体が覚えているその快感に反応してか、更に愛液を分泌している。 良太はもう我慢することが不可能になってしまった。 「ああっん、い、入れてぇ、お願いします。ご主人様ぁ、入れて、入れてください。あたしの恥ずかしいおまんこの中に、ずっぽりと嵌めて下さい。嵌めて、はめて、はめてぇぇぇぇ」 相手に日本語が通じないことも忘れて良太は絶叫した。 早く入れてもらわないと、もう発狂しそうだった。 もどかしかった。 めちゃくちゃにもどかしかった。 思いっきり、ずぶずぶっとその男根を根本まで力いっぱい差込み、グリグリとかき回して欲しかった。 良太は極端に屈曲させられた格好のままじれったそうに尻を激しくくねくねと動かした。 それはまるで駄々っ子がおねだりをしているかのような動きでもあった。 そして良太は我ながら浅ましいと思った。 まるで完全に淫乱の頭が空っぽの娘のような振る舞いだった。 かつては兄貴と呼ばれ、組の内外の外道たちからは恐れられていた自分が、男のペニスを突っ込んでもらうためならばどんな恥ずかしいことでもやる女に成り下がってしまっているのだ。 しかし、その記憶も次の瞬間にはまったく消し飛んでしまっていた。 それは待ちに待った中国人のペニスが、良太のたっぷりと愛液を溢れさせている秘所にあてがわれたからだった。 「ああっ、は、早く、は、早く。」 良太は待ちきれずまたもや叫んだ。 そしてその声に応えるかのように、若い中国人の男は自分の男根をゆっくりと良太の女陰の中に埋めていく。 「はふっうーん」 次の瞬間、良太は一声叫ぶと白目を剥いて気絶してしまっていた。 僅か一突きで、あえなくも絶頂に達してしまったのだ。 通常では考えられないことであった。 特に、良太はこれまでに娼婦として何百人もの男根を自分の身体に迎え入れている。 それがたった一突きで失神してしまったのだから驚き入る他はないことであった。 それは、実は中国に古くから伝わる房中術の一つである視姦の法であった。 接して漏らさず、観して昇天す。 一度この術に落ちた女子は、術者の虜となり、以後挺して隷女となると言われている。 古くはその術が日本にも伝わり、立川流閨房術の礎になったとも伝えられる。 この術は、左道とも云われ、日本においては時の幕府の迫害を受け、また中国においては時の帝国により、術を知るもの全てが皆殺しに会ったと聞く。 現代中国において、この閨房術をいまだ伝えるもののいることは驚くべきことであった。 そして、今は知る人も少ないこの古代の術を操る若き中国人は名を劉洪(リュウ フォン)という。 劉が良太を篭絡せんとしたのにはある理由があった。 いや、劉は良太だけではなく、この娼館の全ての性転換美女達をを我が手中に収めんと企んでいたのだ。 劉は失神したままの良太を上から冷静な眼差しで見つめている。 しかし、若く、少年といっても通るくらいのその紅顔の表情に、ふとシニカルな冷笑が走る様は、齢経た老練の男といってもよいくらいだった。 44.池内3 池内と、妻の景子は素っ裸のまま地下にある別な部屋に放り込まれた。 二人とも極度の疲労と、未だ残る輪姦の影響で歩くこともおぼつかない状態だった。 この部屋に入れられる前に、全身にぶっ掛けられていた精液は処置室のシャワーにより洗い流されてはいるものの、股間に何度も中だしされた精液はたっぷりと残っており、それが次々と足に垂れてきている状態だった。 幸い、その部屋とはホテルのようにベッドルームやバスルームがついている。 つまり、ここで身体を洗い休息せよということらしかった。 一体、のべ何人の男根を迎え入れただろうか。 また、どれほど多種多様のポーズをとらされ、性交されたことだろうか。 何度も訪れた絶頂は、しまいには途切れ途切れの記憶しか二人の脳裏に残していなかった。 二人とも今すぐにでもベッドに入り、熟睡したいところだったが、身体の中にいまだに残る精液を洗い流さなければとても休息はできないと感じていた。 それ故、池内と景子はどちらが言うともなくバスルームへと向かった。 池内は努めて景子のほうを見ないようにしていた。 景子の前であれほど淫欲と痴態をさらけ出したのだ。 それも男としてではなく、女として痴態の限りを尽くしたのだ。 性的興奮が収まってしまえば、恥ずかしくてとても面と向かって顔を合わせる事などできなかった。 しかし、景子は逆に池内に対して腹を立てているかのような素振りだった。 まるで池内がまったく存在しないかのようにバスルームのドアを手荒く開けると、さっさとバスのシャワー栓をひねった。 程なくして湯気のたった暖かなお湯がシャワー口から降り注いでくる。 景子は相変わらず池内を無視している。 池内はそんな景子に思い切って声をかけた。 「・・・あ、あの・・・」 とたんに景子がキッとした顔で池内を睨んだ。 その目つきの険しさは一度も見たことがないものだった。 「なによ、なんか用?」 景子がつっけんどんに池内に言った。 完全に喧嘩腰だった。 それはこれまでの夫婦生活で池内が一度も見たことがない態度だった。 「・・・・」 その剣幕に気後れして、池内は思わず黙り込んでしまう。 「何よ、何の用なの、淫乱変態女の弘美ちゃん。」 池内の名前は弘司という。 景子はその名前をわざと女の名前にして言った。 「まったく、女に成りたての癖によくもあそこまでよがりまくれるわね。呆れて物が言え ないわ。 それもわざとらしくお尻ふりまくって、男をたぶらかすんだもの。とても本当の女には恥 ずかしくてできないわよ。」 景子は自分もよがりまくっていたことを棚に上げて池内を責めた。 景子が怒っていたのは、実は自分よりも池内に群がる男が多かったからだった。 先ほどの輪姦では、池内は常に景子の倍の数の男根を突っ込まれていた。 それは男たちには恵子より池内の魅力のほうが上であることを意味していた。 にわか作りの性転換女よりも自分の魅力のほうが劣っているというのだ。 それは景子の女としての自尊心をえらく傷つけることとなった。 それ故に、景子は池内に嫉妬しライバル視をしているのだ。 「で、でも・・・・」 池内は弱弱しく反論しようとする。 「デモもストライキもないわよ。あーヤダヤダ、私の夫が女にされて、しかも淫乱娼婦同然になってしまうなんて。こんなおかまなんかと結婚したわたしがバカだったわ。」 女の嫉妬心というやつは止めどもなく広がり、景子の毒舌に更に拍車がかかってくる。 「あんたなんかもう一生男の前で尻振って居ればいいのよ。どんな男とでも寝る淫乱共同便所なんだから。」 景子の言葉はいちいち池内の心にグサッグサッと突き刺さってくる。 「ほら見なさい、おまんこちゃんから精液いっぱい垂れ流しているじゃないの。女にされてホンとは心のそこから嬉しいんでしょ。あーいやだいやだ。恥ずかしい。」 景子は池内の股間をわざとらしく指差した。 たしかにそこからは今でもポタリポタリと白いスペルマが流れ落ちている。 「ほら、こっちに来て足を開きなさいよ。おまんこ作られて完全に女になった場所見せてみなさいよ。」 ポンポンとまくし立てる景子の言葉は池内の羞恥を完全に煽った。 ・ ・・は、恥ずかしい。女にされた部分を妻に完全に見られるなんて・・・ そう思っただけで、またマゾ女の血がむくむくと沸き立ってくる。 ・ ・・ああ、なんで、なんで、興奮するの・・・こんなに恥ずかしいのに・・・ それは判りきったことだった。 陳先生の血清がまた池内の体内で賦活しているのだ。 それに対して、同じマゾ女の血清を入れられた景子のほうはどうした訳かサドのように池内を攻め立て、嘲っている。 「ほら、早くこっちに来ていやらしいおまんこ見せなさいよ。変態女の弘美」 景子は目の前に立っている池内のCカップほどに膨らんだおっぱいをぎゅっと握った。 「あっ、い、痛いっ」 思わず池内は黄色い声で悲鳴を上げ、乳房を隠すように身をよじった。 「まあ、嫌だ。悲鳴も動作も完全に女の子ね。」 景子は池内の動作を見て、鼻でせせら笑う。 「や、止めて下さい。お願いです。そんなに苛めないで・・・」 池内は景子に懇願した。 しかし、その所作はどこから見ても女そのものだった。 その振る舞いは逆に景子の頭に血を上らせたようだった。 「ふんっ、性転換された変態女がなに可愛らしいこと言っているのよ。このグズ女、さっさと足開きなさいよ。」 その剣幕に池内は更にたじたじになった。 今やかつての夫婦の力関係は完全に逆転していた。 「ほら、そこに座って」 景子は無理やりに池内をバスタブのヘリに腰掛けさせる。 そして両手で力いっぱい池内の両足をこじ開けた。 「ああ、駄目、見ないで、恥ずかしいっ」 池内がその気になって両足を硬く閉じていたならばとても景子の腕の力では両足を開かせることなどできなかったに違いない。 しかし、マゾ女の血が賦活した池内の心の中には、無残に変形させられたあそこをじっくりと見られてさらに辱められたいという気持ちが強く湧き上がっていた。 それ故にその両腿はいとも簡単にこじ開けられてしまったのだ。 池内は性的に興奮し始めていた。 その証拠にまた膣の中がじわっと熱くなり、愛液が分泌されはじめていたのだ。 そのために、陰唇自体も更に開き始めてきており、膣口がはっきりと露になってきていた。 その膣口から分泌され始めた愛液に押し流されるように、体内に射精されていた精液もトロリトロリと流れ出ている。 その池内の股間を景子は顔を近づけて覗き込む。 「・・・・まあ、呆れた。本当に女のあそこと寸分変わらないわね。陰唇もクリちゃんも完全に揃っている・・・これは女の性器そのものだわ」 池内の股間を一目見るなり景子は大きな声で叫んだ。 先ほどの輪姦の場ではこのようにしげしげと見る余裕などまったくなかったのだが、 今こうして改めて観察してみると、それはとても作られたものとは思えないほどの完璧な できばえだったのだ。 どうせ性転換手術なんて、女の性器に無理やりに近づけるためにグロテスクで不出来な造 形になっているに違いない。景子はそう思い込んでいた。 しかし、そこは天才奥村医師 のメスの冴えは素晴らしかった。 きれいなサーモンピンクの陰唇と、そこから恥ずかしげに顔を覗かせているクリトリスは どこから見ても本物の女性のそれだった。 しかも手術の縫合跡など見ただけでは判らないぐらいにきれいに縫い合わされている。 小ぶりなクリトリスも、池内自身の亀頭の先端から加工されたものだとは到底信じられ ないくらいの見事な出来栄えだった。 「こ、これ、本当に整形されたの?」 さっきまでの怒りはすっかり忘れて、景子は夫の恥ずかしく整形されてしまった股間を食い入るように見やった。 「ああっ、は、恥ずかしい、そんなにジロジロ見ないで・・・」 羞恥のあまりに池内は目を硬くつぶり、顔を横に背けた。 のっぺりとなってしまった池内の股から延びる両足の太腿もすっかりと脂肪が乗り、きれいな曲線を見せている。 その下半身はモデル並みと言ってもいいくらいに美しい女性美を見せていた。 「きれい、きれいだわ弘美」 その見事な股間に吸い寄せられるように景子は手を伸ばした。 「あうっんんっ」 股間のスリットに触れられて、池内はビクンと身体を震わせ、悩ましげな声をあげた。 触れられて反射的に感じてしまったのだ。 景子の指はそんな池内の様子を無視するかのようにスリットの奥へともぐりこんでいく。 精液と池内自身の愛液のせいで、景子の指は何の抵抗もなくヌルッとその身体の中に入っていってしまった。 「ああっ・・・ふうんっっっ」 またもや池内がいやらしい声をあげた。 妻の指を膣に挿入されて、興奮しているのだ。 景子は指を中で動かせてみた。 「ああっ、だ、駄目ぇぇぇ」 口では駄目と言っておきながら、肝心の池内の身体は妻の指をさらに求めるように前に突き出されてくる。 「何よ、口で言っていることと身体の動きとまったく逆じゃないの」 景子は呆れたように言いながらも更に池内の膣の中で指を動かした。 「あはっ、あはっ、あはっ、あはっ」 池内の口が半開きになり、せわしない呼吸が始まった。 その眉間にしわを寄せ、顔の表情は快楽によがる女そのものになっている。 「まったく、ちょっと指入れられただけでこんなにアヘアヘと発情するなんて。この分じゃおっぱい揉んだらどうなるかしらね。」 景子はそう言いながらもう片方の手を伸ばして池内のたわわなおっぱいを愛撫し始める。 「あうーんっ、き、気持ち良い、気持ち良い、気持ち良い、もっとお、もっとおもっとお」 堪らずに池内は大声でよがり始めた。 そのセリフは、かつて景子が池内と性交する時によく口にしていたよがり言葉だった。 それが今は夫婦完全に逆転してしまい、池内は艶かしい声で、かつて景子がよく口にしていたよがり声をあげているのだ。 「何よ、それ、わたしのセリフじゃない。ほんとによくここまで女になり下がったわね」 そう言った景子ではあったが、自分の指先で池内がいいように翻弄されるさまを見ているうちにどんどんと優越感が湧いてきたようだった。 自分も経験があることだが、なにしろ指をつうっーとウエストや首筋に走らせるだけでも目の前の池内は激しくあえぎ始めるのだ。 それはまるでチェロを演奏するかのような趣さえあった。 「あふうっん、あふうんっ」 以前の景子であれば、目の前でこれほどよがる女性がいたなら嫌悪感を真っ先に感じていたに違いない。 しかし、今の景子は何ヶ月にも渡るセックス調教や陳先生の血清投与や、女性と変えられてしまった夫も交えた輪姦などにより、抵抗感はほとんどなくなっている。 いや、むしろ性的なことであればことごとく興味を示すようになってしまっている。 それ故、池内の過度過ぎるくらいの反応に、景子自身もどんどんとホットになってくるのを禁じえなかった。 景子は磁石がお互いに引き寄せられるように自分の乳房の先端を池内の乳房の先端に合わせた。 とたんにお互いの間に電流が走ったかのような快感が襲ってきた。 「あっ」 「ああんっ」 声を発したのはお互い同時だった。 硬く突起した乳首の先端を軽く擦り合わせただけでこれまで以上の快感が走る。 それがまた乳首を更に硬く尖らせた。 景子はこれまでレズの経験などまったくなかった。 そもそもレズっ気すらない。 ましてや女同士でキスするなど、考えただけで不潔と思ってしまう。 その景子が自ら進んで目の前の女体と肌を重ね始めたのだ。 お互いに求め合うように二人は唇を合わせた。 そしてお互いの舌を蛇の様に絡めあわせはじめた。 それは景子が知っていた池内のキスの味と似て非なるものだった。 かつての男性的で力強い、そしてタバコ臭いキスとは違い、どこかしらおずおずナヨナヨした柔らかな女らしいキスだった。 触れる舌も以前は硬かったのだが、女性ホルモンの力は舌の筋肉すら柔らかく変えていた。 池内の口から漏れる吐息も心なしか甘い香水の香りが交じっている。 ・ ・・呆れた、口臭のケアもやっているなんて・・・ 景子は激しく池内の口をむさぼりながらもそう思った。 しかし、そういう景子自身も性的なホット状態はどんどんと高まっていく。 以前は夫にキスをすると必ず剃り残したヒゲが顔に当たり、チクチクとして痛かったことを覚えている。 それが今ではすべすべした柔らかな肌に変わっていた。 ・ ・・この人、もう完全に女なんだわ・・・ 景子はそう思った。 男の匂いなどみじんも感じられない。 景子は夫の唇を吸いながらも相手の股間に手を伸ばした。 またもや熱くたぎるかのような夫の膣に指を挿入する。 「うううっっっ」 口を塞がれているせいで不明瞭なうめき声を池内が出した。 景子は空いているほうの手で池内の手首を掴むと自分の乳房に押し当てた。 つまり自分のおっぱいを揉めと言うわけだ。 柔らかな手がためらいがちに景子のおっぱいを揉み始めた。 その手の動きは以前の池内の動きに似ていたものの、力強さなどは微塵も感じられない。 池内はやさしくソフトなタッチで景子の乳房を愛撫していた。 しかし、それでも性的に興奮している景子には十分だった。 「あっあっーーー」 おっぱいを揉まれている景子の口からもよがり声が漏れ出してくる。 「あっあんっっっ」 「あっあーーーっ」 それは2つのソプラノのよがり声の競演だった。 お互いが相手の性感帯をまさぐるようにして感じまくっているのだ。 それは2人の素性を知らない者が見たならば、レズの女同士が行為に及んでいるぐらいにしか見えないに違いない。 しかし、本当は女のうちの片方は元男で、しかも強制性転換されソプラノの声と女の乳房と女性器を作られた元夫なのだ。 このような夫婦がこの世に2組と存在し得ないことは間違いないだろう。 それは色事を極めつくした男が知ったならばさぞ垂涎の的となる夫婦に違いなかった。 景子は池内の乳房をまさぐりながらも身体を少しずつずらせていった。 そして自らの股間で池内の股間を挟む体位を取り始めた。 その動きの意味に気が付いたのだろう、池内も自らの腰を浮かせるようにして景子の動きに合わせ始めた。 その結果、なんと二人の女性器同士が下半身でぴったりと合わさったではないか。 それは男と女の48手で言えば松葉崩し、女同士の体位で言えば俗に言う貝合わせであった。 それはまさしくハマグリ同士のこすりあいだった。 しかし、合わさっているそこは硬い殻ではなく、柔らかな貝同士がぴったりと密着し、淫らに絡み合う幻想の如き世界であった。 「あふぅっんっっっっっ」 「ああっんっっっっつっ」 またもや二人の口から同時にこの世のものとは思われぬ快楽に酔いしれる甘美な声が漏れ出る。 その密着した下半身の動きは、男のセックスの激しさとはまったく別物の、ゆっくりした静かな動きだった。 しかし、その快楽はとてつもなく長く、そしてどこまでも高く続くかのようだった。 池内も景子も目を閉じ、どこか呆けたような恍惚とした表情を浮かべている。 そして少しずつ、ゆっくりとお互いの女性器をねっとりとした動きで擦り合わせているのだ。 お互いの体からあふれ出した愛液が時折ネチャ、ネチャッといやらしい音を立てている。 そしてその都度、二人の口から甘美な吐息が漏れるのだ。 それは男と女とのセックスとはまったく違う異質のセックスの世界だった。 当然それは池内にとって初めての経験だった。 男性に下半身を激しく貫かれ、濃いたっぷりのザーメンを膣内に射精されるのもすごくよかったが、こうしてどこまでも続く快楽を長時間に渡りゆっくりと続けるのもまた良かった。 ゆっくりとたおやかにそのセックスは始まり、そして潮が引くようにゆっくりと終わりを告げる。 池内が次にはっきりと意識が戻ったのはシャワーの暖かなお湯を浴びている時だった。 なんと快楽のうちにいつの間にか意識がなくなっていたのだ。 ジャーッと身体に当たるお湯にようやく現実に戻ったのだった。 体中がソープの泡にくるまれていた。 jade11.txtに続く