母犬 3     作 ぼんだげ  シーザーはクレオの様子にすぐ応じてきた。クレオが眠っていた間、ずっと我慢をして いたので、既に臨戦体勢に入っていたのだ。長くて太いペニスをグイッと挿し入れてきた。 シーザーの唾液と、ペニス粘膜の粘液と、クレオの肛門が出す粘液により、クレオに痛み を起こさせずにズリッと入ってきた。そして長いストロークのピストンが始まる。クレオ は初めて最初から快感を受けていた。小さく成ったクレオのペニスも、小さいなりに勃起 している。クレオに注射された大量の女性ホルモンはクレオの身体に拒絶反応を起こして いる。身体が男性ホルモンを受け入れようとして、睾丸に刺激を与えるが、睾丸はかなり の機能低下をしていて、外部からの補充を余儀なくされているのだ。クレオの身体は既に 充分に吸収しているシーザーの精液の拒絶反応より、女性ホルモンの拒絶反応の方に力を 注いでいる。もっとも女性ホルモンに対する反応にしても、乳房が形成され、恒常的に出 てきているので、やがて無くなってしまう筈なのだ。  ピストン運動の周期が段々早くなり、深い部分での出入りからシーザーは腰全体を押し 込んで来た。  「ワウッ!」  シーザーの低い唸り声とともに突き込まれたペニスが大きく膨れた。その途端、クレオ は完全に雌犬と化し、後ろ向きになったシーザーの腰の動きに合わせて肛門と直腸を絞る のだった。そして熱くて粘り気のある液体がクレオの大腸に痛い程の勢いで突き挿さった。  「ハウッ!・・・。」  (ああ、シーザー。いい。もっと・・・。)  クレオは自分から強くシーザーのペニスを搾り上げた。そして二発目の射精で更に熱い 液体の塊がクレオの体内に送り込まれた時、芯からの激しい悦びが沸き立った。その響き は長い余韻となり、いつの間にか歓喜の涙になっていた。  かなり長い時間、クレオは陶然としていた。シーザーの精液がたちどころに吸収され、 全身に行き渡るのが分かる様だった。不快感が和らぎ、壮快感さえ現われてきた。うっと りとした状態のクレオをシーザーは優しく抱きかかえていた。  「ワウ。」  シーザーが小さい声で話し掛けてきた。  (どうだった?)と聞いてきた様に思えた。  「クゥン・・・。」  (イヤ、恥ずかしい。でも、とても良かった。)  暫くはじっと余韻を楽しんでいたが、  (ああ・・・。とうとうシーザーのお嫁さんに成ってしまった。身体も精神も雌犬に成 ってしまった。)  暫くの間シーザーは静かにクレオを抱いた形になっていた。シーザーはクレオの体調が あまり良い方ではない事を知っていて、出来るだけクレオに負担を掛けない様にしていた のだ。クレオは無意識の内に自分の乳房をさすっている。大きく成る為に痛みがあるのだ。 シーザーはその様子に気付き、クレオの脇の下から顔を覗かせ、その長い舌でクレオの乳 房を嘗め上げた。  「クォン・・・。」  クレオはビクッとした。乳房はかなり鋭敏に成っている。しかし、痛みが減り、ある程 度の快感がある。  (ああ、オッパイを嘗められると、とてもいい気持ち。まるで胸にもオチンチンが在る みたいだ。女の人ってこういう快感も有ったのか・・・。ボクの身体も女にされてしまっ たんだ・・・・、女ならまだいいか。『雌犬』にされちゃったんだ。)  何日経ったのだろうか、クレオは精神的に大きなダメージを受けていて、与えられた環 境に流された生活をしていた。何か考える事は、何であってもつらかったのである。朝起 きてシーザーとともに外に出、一緒に排泄をする。すぐにシーザーは求めてきて、クレオ もそれを拒まない。そのまま日中は殆ど繋がったままになっている。合間にシーザーはク レオの体内に放尿するのがクレオには相変わらずつらいのだった。慣れてきているとはい え、どうしても下痢気味になってしまうのだ。繋がったままでいるので、シーザーの動き に合わせ、歩き回されている為、運動不足にはならず、二足歩行は完全に出来ないのだが、 四足歩行は大変上手になった。最初の内は痛かった腰も段々と四足に適応してきたのだ。 身体の方は巨乳と言えるFカップ程度の立派な乳房に成ってきている。乳首が少しずつ大 きく成り、はっきりした乳輪も出来てきていた。ペニスの方は、睾丸は小さく成って、体 内に上がってしまう事もあり、股間はちょっと小さ目だが、一見割れ目の様に成っている。 ペニスも小さく成ったので、みっともない皮が垂れ下がっている状態なのだ。興奮すると 勃起はするのだが、既に射精の機能は衰えてしまったかの様なのだ。  軽井沢は夏でも朝夕は結構涼しい。それが幾分寒いかと感じてきた頃、毎日のお定まり の様に、排泄後の交尾をしていると、庭の隅の方で、ルミコが焚火の様な事をしていた。 こんな朝早くから何を、と思いつつ見るとはなしに眺めていた。  (何を燃しているのかな? ん? 本やノート・・・。ア、ボクの教科書! バッグや 洋服迄・・・!!)  「ワウッ、ワウーーーン!!」  (ダメ! なぜ燃してしまうの!)  ルミコはクレオの叫び声に気付き、二匹の方へ振り向いた。  「ああ、居たのね。朝早くから、仲良くなっているのね。なあに? クレオ、何吠えて るの?」  クレオはシーザーを引っ張ってルミコの方へ近寄ろうとしていた。しかし、ある程度迄 は寄っても、シーザーは火には近付きたがらないので、少し離れた所でクレオは吠え続け ていた。  「ああ、この燃している物ね? これは『暮緒』の物だけど、もう『暮緒』は、この世 には存在しないのよ。あなたは『クレオ』。あなたの物ではないわ。心残りになるでしょ うし、『暮緒』の痕跡は完全に消しておかないとね。もうすぐ夏休みも終わるし、私は大 学へ戻らないとね。でも、期末試験が終わったら、すぐ戻って来るわね。」  ルミコは暮緒の持って来た物を全て炎の中に放り込んでしまった。炎は一段と大きく成 り、シーザーはおびえて、クレオを引っ張る様にして小屋へ向かって行った。シーザーが 強く引っ張ると、クレオの力ではどうしようもなかった。甲高い鳴き声だけが残っていた。  小屋の中でもクレオはしゃくり上げ続けていた。涙が止めどなく流れ続けている。確か に、自分はもう『暮緒』に戻る事は出来ないと言う事は分かっていたのだが、自分が『暮 緒』であったという証拠の品が、全部煙と成ってしまった事で、人間としての『暮緒』は、 クレオ自身の心の中からも追い出されてしまったのだ。  その日の午後、ルミコが大学へ戻る為に車で帰った事を知り、クレオは一層絶望の闇の 中へ落ちて行った。数日間は食事もろくに喉を通らなかった。しかしシーザーの求めには 積極的に応じた。交尾している間の快感の間だけでも、つらさを忘れる事が出来るからだ った。食事をしないで、シーザーに外を引っ張り回される事で、疲労が溜り、肌の張りが 減り、更に元気が無くなっていくのだった。  マユミはクレオの元気が無い事をカオルに知らせていた。  「ねえ、カオルさん。やっぱり精神的なショックが出て来たのと違う?」  「それは当然よね。ルミコさんだけが大学に戻ったという事で、自分の立場が完全に理 解出来たのだから。」  「病気に成ってしまうかも知れないわ。」  「獣医としては大問題ね。このショックを吹き飛ばす程の別のショックを与えないとい けないかもね。」  「どんな?」  「母性本能なんてどう?」  「エッ? もうオッパイ出るの?」  「まだよ。もう少し掛かるけど、久しぶりにシーザーの子が産まれるから、その子犬の 母親に成って貰わないとね。」  「シーザーの子? シーザーは交尾はするけど、種が無かったんでは。」  「無精子ではないのよ。あまり交尾し過ぎるから、薄くなっているの。ただ、今年は二 頭も妊娠していたわ。最初の内はどうしても犬のお乳が必要だけど、ある程度大きく成っ たら仔犬のどれかをクレオに任せるのよ。」  「でも、母犬が手放すかしらね。」  「さあ・・・。分からないけど、準備だけはしておかないとね。」  クレオはシーザーの小屋の隅で毛布にくるまって横になっていた。カオルとマユミが入 って行っても振り向きもしない。ひたすら自分の世界に逃げ込んでいるのだ。マユミが毛 布をパッと引き剥した時、クレオはカオルが注射器を持っているのを見てビクッとした。 少し恐れはしたものの、既にかなりのオッパイにされているので、さほどの抵抗はしなか った。  「あら、素直ね。オッパイの成長も緩慢に成ったからね。ここでもう一度注射して、も う少し大きくしないとね。」  注射器がクレオの乳房に突き刺さる。殆ど痛みは感じない。クレオにしてみれば、Fカ ップの乳房がGカップに成ったところで、自分の立場がどうなるものでもないので、乳房 を大きくされる事に関してはとっくに諦めていたのだ。両乳房に注射された後、カオルが 別の注射液を取り出した時には少し怪訝に思っていたのだが、いきなり股間に、睾丸(の 在った所)と肛門の間、いわゆる蟻の戸渡りに注射器を刺した瞬間、痛みで大きく吠え声 を上げた。  (痛いっ!! 一体何の注射?)  クレオが後ずさりしそうだったので、マユミがクレオの肩を押え付け、カオルの注射か ら逃げられない様にした。  「キャウーン!!」  尾てい骨に響く様な痛みが走り、まるで神経に直接針が刺さっている様に感じる程の苦 痛であった。注射針が抜かれた後も鈍痛が続き、クレオは呻き声を出しながらも二人を恨 めしそうににらんでいた。  「何の注射か分からないと不安かな?」  カオルの問い掛けにクレオはコクンと頷いた。  「言っても分かるかどうか。『黄体ホルモン』って言ってね、普通は女性が妊娠すると 出るホルモンなの。胎児を育てる働きの外に、オッパイが出る様に乳房の働きを良くする のだけれど、今は胸にも『乳腺刺激ホルモン』をメインにした『催乳剤』を注射しておい たから、いよいよお乳の出るオッパイに成っていくのよ。」  「オッパイが出る様に成ればクレオも完全な雌犬だものね。」    二人は笑いながら小屋を出て行った。後に残されたクレオはただ涙を流し、鳴咽してい るだけであった。  その晩から再びクレオの胸の痛みがひどくなってきた。最初の頃の初めて乳房を大きく された頃の痛みと同じ様な痛みだった。毛布の中で眠れずに痛みを堪えつつも漏れ出るた め息に、シーザーが心配そうに覗き込んで来た。クレオの身体に鼻を近付け、あちこち臭 いを嗅ぎ回した。そして乳房を大きな舌で嘗め上げたのだ。ズンと痛みが走るのだが、ち ょうどマッサージの様に、スーッと痛みが引いていく。クレオの顔に感謝の色が出ていた のか、シーザーはクレオを抱きかかえる様に座り、ひたすら乳房を嘗め続けた。食事を殆 ど取らず、痛みのせいで全然眠れなかったクレオは心地良いマッサージで、いつの間にか 深い眠りへと落ちていった。クレオの寝息を聞きながらシーザーは強く抱え込んで乳房を ゆっくりと嘗め続けていた。  翌朝、良く晴れたせいかかなり冷え込んでいた。もう軽井沢はすっかり秋である。クレ オが目覚めた時、シーザーはまだ眠っていた。  (あれ、オッパイがビッショリだ。そうだ、昨日はシーザーがずっと嘗めていてくれた ので、痛みが減ったんだ。外は寒そうだな。シーザーが暖めていてくれた様だけど、やっ ぱり冷える。ちょっとオシッコしてこよう。)  モゾモゾと起き出し、小屋を開けて外に出たが、シーザーはまだ眠っている。朝方迄嘗 めていてくれた事にクレオは気付き、何か嬉しさを感じていた。いつもの大きな木の下に 四つん這いのままで小便をする。  (ウッ、オシッコが飛び散る。そうだよなあ・・・。すっかりオチンチンが縮んで、皮 だけみたい。こんな女みたいな・・・、女ならまだましか。雌犬だもの・・・。)  雌犬に成ってしまっているという事に涙も出なくなってしまっている事の方がむしろ悲 しかった。寒さは外気だけではない。心の底から冷え込んだまま小屋に戻る。すっかり冷 えて震えながらシーザーの懐に潜り込んだ時、シーザーがその冷たい身体に気付き、ぐっ と引き寄せてから再び眠ってしまった。秋になっての最初の冷え込みの朝、クレオはシー ザーの暖かい懐の中で、精神的な温もりを求めつつ再び眠り込んだ。  『二匹』が本当に目覚めたのは、陽もだいぶ高く上がってからで、小屋の外を屋敷の犬 達が走り回っている声が賑やかになってからだった。シーザー達が外に出ていない事を心 配し、老婦人が散歩を兼ねて庭に出てきた。その足音にシーザーはピクッと耳を動かし、 ノソノソと起き出した。  「シーザー、お早よう。今朝はずいぶんお寝坊ね。」  小屋の戸を押し開け、外に出たシーザーは眩しそうにしながら、伸びとあくびをしてか ら老婦人に寄って行った。クレオも久しぶりの良い眠りだったので、シーザーの後から着 いて出た。外はすっかり暖かくなっていた。シーザー達が繋がっていないので、他の犬も シーザーの近くに寄って来て、老婦と一緒に歩きだした。まだまだクレオに対しては犬達 の仲間とは見られていない。  「クレオは来ないの?」  クレオは首を振って小屋の前に座ったままでいた。何匹かの犬がクレオの周りで臭いを 嗅いだ後、仲間の方へと走って行く。集団が庭の奥の方へ姿を消してから、クレオは木陰 で排泄をした。食事をしていないせいか量は少ないが、犬臭く、特にシーザーの精液の臭 いの強い便であった。  (シーザーの精液しか入っていなかったんだ。おなかが空いているから寒いのだな。胸 の成長に栄養が取られてしまうし、お乳が出る様にされたらしいけど、栄養を取らないと 本当に死んでしまうかも知れない。シーザーの寿命に比べたらボクの方がずっと長い。シ ーザーが居なくなればボクの役目は終わる。ひどい女性達だけど、ボクを殺したりはしな い筈だから、リハビリに時間が掛かるにしても元に戻れるチャンスはきっとある。)  暫くして老婦は犬を引き連れて戻って来た。シーザーがさっとクレオの方へ走って来る。 座っているクレオにはシーザーの股間が既に大きく怒張しているのが見えた。クレオの後 ろに回って、鼻先でクレオの尻を催促する様に持ち上げるのだった。  「そう言えば、私はシーザー達が繋がるところを見るのは久しぶりね。いつもは繋がっ ているところしか見た事がないものね。」  老婦は芝生に腰を下ろしてシーザー達の交尾を見る事にした。クレオはやはり見られる のは恥ずかしい気分で、しゃがんだままでいたが、シーザーがクレオの胸を嘗め上げると、 乳首が飛び出し、肛門もキュッと締まるのだ。そして後ろからクレオの股間に長い舌を突 き立てると、ジーンとする快感に思わず腰を持ち上げ、突き出してしまうのだった。ホル モン注射の影響もあり、クレオの身体がシーザーの精液を欲しているのだ。肛門はピクピ クしていて、直腸壁からまるで愛液の様に粘液が滲み出して来る。シーザーはクレオにの し掛かり、股間から伸びた、先の尖った太くて長い赤い肉棒をズルッとクレオの肛門に挿 し込んでいった。  「アウーッ!!」  心地良い圧入感にクレオは既に我を忘れ、自らも腰を前後して長いストロークのピスト ン運動に酔いしれるのだった。芝生に座って見ている老婦はその『微笑ましい、睦まじい』   光景を微笑みながら眺めていた。  一発目の射精でクレオの精神は宙を舞った。そして熱い液体が直腸幽門を塊となって通 り抜けていった。大腸は異物に対して収縮をし、直腸、肛門もギュッと締まる。その為、 シーザーのペニスは直腸幽門を押し広げ、大腸に迄侵入していった。  「ワォン!」  「アゥーーーン!」  二匹の声が合唱の様に響き合う。シーザーはひたすら腰を押し付けて身体をピッタリと 密着させて、下腹部でクレオの尻を擦り上げる様に動かし続ける。かなりの時間のピスト ンはクレオには長い時間ではない。二発目の精液はいきなり大腸に染み渡り、クレオの体 内に熱い塊と成って広がっていった。  荒い息をしながらシーザーは精液の残りの部分も押し出す様に腰を揺すっている。クレ オも余韻を楽しむかの様に目を閉じたままじっとしていた。腕をつき伸ばしている余裕は なく、大きく成った乳房の上で喘いでいた。  老婦はその光景をずっと楽しそうに眺めていた。そして周りには小型犬が何匹か遊んで いたが、一緒に不思議そうな顔で見ていたのだ。老婦が立ち上がり、家に戻ろうとした時、 シーザーはそれに気付いて立ち上がった。当然いつもの様に繋がったままでクレオを引っ 張りながら老婦の後に着いて行くのだった。クレオも仕方なく後ずさりで着いて行く。本 当はもう少し余韻を楽しんでいたかったのであった。  軽井沢の秋は短い。アッと言う間に紅葉の時期は終え、すぐ枯れ葉の季節になってしま う。朝晩の冷え込みはきつく、クレオには厳しい寒さになってくるのだ。雌犬にされた時 から、拘束具で包まれている部分以外は裸なので、ある程度慣れてきているとはいえ、耐 え切れない寒さになっている。昼間でも北風が肌を刺す様な痛さとなっているのだ。  「クレオにはこの冷たさはつらいでしょうね。」  「そりゃそうですわ、おばあちゃん。でもこの冬は何とか乗り切って貰わないと。人間 って・・・、そうね、もうクレオは人間じゃないのだけれど、案外順応性があるのよ。万 が一風邪をひいたらすぐ治して上げるけれど、出来るだけ衣服は着せずに慣らさないと。 それに女性ホルモンの影響で皮下脂肪が増えてきたのだけれど、それで少しは耐えられる わ。」  「でも、雪が降る頃になると・・・。」  「その時には犬小屋に暖房を入れます。シーザーの温もりで越せればいいわ。」  北軽井沢は秋でもかなりの冷え込みとなる。クレオは日中の天気のいい時以外は外に出 られなくなっていた。カオルが犬小屋に持ち込んだ小さな電気ストーブ、藁の山、汚れた 毛布、それとシーザーだけがクレオの体温を保つ物だった。シーザーにもクレオが寒さに 弱く、外に出られないのは分かっている様で、日中は外を走り回っているのだが、夕方か ら朝迄は犬小屋の中に居る。毎日定期的な習慣となっているのだが、夕方クレオと繋がり、 深夜迄催す度にシーザーは交尾を続けるのであった。そして朝早く起きて再び交尾を繰り 返す。犬小屋の中に居る限り、シーザーのペニスはクレオの肛門から抜けている時間は殆 ど無いのである。  クレオの肉体もかなりの変化をきたしている。乳房はほんの少しの期間であったにも関 わらず、既にJカップという、途轍もない巨乳に成っていた。乳輪もハッキリ現れ、強い 刺激でほんのりとお乳が沁み出すのであった。ペニスは完全に消滅してしまい、亀頭であ った部分が割れ目の部分に僅かな痕跡を残している。指は拘束されているので、自分自身 でその割れ目の深さは分からないのだが、シーザーの舌で嘗められた時、かなり深く入っ てくるのを感じていた。  (身体だけ見ると完全に女に成っちゃったみたいだ。オッパイが大きくて、オマンコも 出来てしまったみたいだ。女迄だったら、まだ逃げられたけれど、ボクは雌犬だものなあ。 立って歩けないし、吠える事は出来ても喋るのは不可能にされた。それにちょっと長い時 間シーザーと交尾しないと身体の調子が狂ってしまう。女性ホルモンの影響とかで、シー ザーと交尾しないとならない身体に成っているんだなあ。ああ寒い。シーザーの精液が入 るとすぐ暖かくなるのだけれど・・・。ここ数日間、カオルさんを見ていないな。いつも と違って、マユミさんが餌を持って来ているし。)  クレオはマユミの様子もここ暫くおかしいのに気付いていた。何となく顔付きが暗いの だ。それはクレオ達に対してではなく、別の犬の健康に関連があるらしい事は雰囲気で分 かった。しかし複雑な表情であった。そしてマユミがチラッと漏らした言葉、  「クレオ、お乳は出る様に成った? まさかこうなるとはね・・・。」  どういう意味なのか不可解であった。  催乳剤を注射されているのである。お乳が出る様な身体にされてしまった事は分かって いる。だからお乳が張って、つらそうにしているところを見られた時は、彼女達の企みが 成功しているのだから、もっと素直に喜ばれてしまうと思っていたのだ。  その不可解な意味は翌朝になって分かった。マユミの話では雌犬が一頭死んだという事 であった。シーザーの子供を産んでから十日程してからだとの事であった。老婦人がカオ ルと一緒にその犬の遺骸を埋葬に行った後にクレオ達の所に寄ったのだ。老婦は涙で顔が くしゃくしゃになっていた。何も言わずにマユミとすぐ家へと戻って行った。カオルも暗 い表情でクレオ達の犬小屋に残っている。  「夕べ犬が死んだの。シーザーの子供を二匹産んだの。一匹はすぐに死んでしまったの よ。もう一匹は今のところは大丈夫なのだけれど、ダメかも知れない。」  クレオは少し同情的な感じではあったが、取り立てての感慨は無かった。  「お願い、クレオ。こんな事頼めた義理じゃないんだけれど、その仔犬を育てて欲しい   の。」  (仔犬を育てる?)  クレオはびっくりして、カオルを覗き見た。カオルの目にもうっすらと涙の跡があった。  「私は獣医だし、動物の死ぬ事は何度も経験してきたわ。でもおばあちゃんにとっては 家族の一員なのよ。シーザーの為とは言え、クレオをこんな目に遭わせているのも家族の 為なのよ。犬が死んでしまった事はやむを得ない事なのだけれど、産まれたばかりの仔犬 がお乳を飲めずに死んでしまいそうなのを見ているのはとても悲しくて、つらい事なのよ。 ちょっとの間だけでいいわ。仔犬の目が見える様に成るほんの少しの間だけ、クレオのお 乳を上げてちょうだい。いいわね。」  「ワン・・・、ウォン・・・。」  (イヤだよ。何を勝手な・・・。)  「有り難う。助かるわ。じゃあ、連れて来るわね。」  「ワッ、ワン!! ウワン!!」  (違う。違うよ! そんな返事じゃないよ!)  カオルはクレオが承諾したと思い込み、(という振りをして)急いで犬小屋を飛び出し て行った。クレオは慌ててカオルを追い、小屋の外に出ようとしたが、北風の冷たさに、 出る事は出来なくなった。  (確かに少しはお乳が出る様に成ってしまったけど、誰が仔犬になんか飲ませるものか。)  クレオは何となく仔犬にオッパイを吸わせている自分を想像してしまった。ゾッとして 打ち消そうとしたが、その時、乳房の奥の方から突き上げる様な痛みが走った。  (アタタ・・・。またオッパイが張ってきた。ウッ・・・、今度のは今迄で一番強い。 揉まなくても沁み出してきている。)  女性ホルモン過多が、クレオの乳房に母性本能として現れてきている。仔犬に吸わせる イメージをしてしまった途端に乳腺が一気に働き出してきたのだ。  (チクショー・・・。イタタタ・・・。オッパイを搾り出さないと・・・。でも、この 手では・・・。)  暫くの間クレオは自分の乳房を相手にもがいていた。そこへカオルとマユミが木の箱に 入った仔犬を連れて来たのだ。シーザーも一緒に着いて来た。シーザーは不安気に仔犬の 方を見つめていた。  カオルはクレオが毛布にくるまっている前にその箱を下ろす。箱の中の仔犬はまるで玩 具の様に小さいが、シーザーと同じ様な毛並みであった。ブルブル震えていて、口から泡 を出している。微かな呻き声しか上げていない。  「ね、お願い。この子にお乳を上げて。ほんの少しの期間でいいから。」  クレオはフンと横を向いた。しかしシーザーがクレオの向いた方向に動き、いかにも哀 願する様な表情ですり寄って来たのだ。そして自分の子供とクレオの顔を交互に見て、悲 しそうな顔をするのであった。クレオは胸がキュンと引き締められる思いであった。そし て同時に乳房の痛みはかなり激しくなり、ポタポタと滴り落ち始めたのだ。  (イタタ・・・。仕方ない。仔犬の為じゃないぞ。ボクのオッパイが痛いから、それを 治めるのにちょうど都合がいいから飲ませるのだからね。)  クレオは毛布から出て、仔犬の近くに這ってきた。仔犬はクレオの乳の匂いを嗅ぎ付け、 鼻をクンクン鳴らしている。自由の効かない腕で仔犬を抱き上げ、這って毛布の方へと戻 る。仔犬は乳の匂いに必死で乳房を求めている。仔犬の口がクレオの乳首を捜し当て、キ ュッと吸い上げた時、クレオはビクンと硬直した。交尾とは違った快感が全身に走ったの であった。肉体的にも、乳房の痛みがスッと無くなっていく心地良さと、乳を吸われる快 感にうっとりするのだが、精神的にも満ち足りたものを感じるのであった。小さな命を救 うのだという感覚である。藁の上で丸くなり、仔犬を抱え込む様にしてお乳を吸わせる。 カオルやマユミには見せたくない姿であったからだ。  シーザーはクレオの前に座り、尻尾を盛んに振って覗き込んでいる。じっと仔犬がクレ オの乳房にしがみ付いているのを嬉しそうに見つめていたのだ。  カオルとマユミはそっと犬小屋を出た。クレオも気付いていたが、そのまま仔犬にお乳 を飲ませ続けていた。二人に見られているよりは、シーザーだけの方が落ち着いていられ る。二人に授乳での快感を知られてしまう方が恥ずかしかったからである。  外に出たカオルは笑いを堪えていた。犬小屋から早く離れたいという様に、足早に歩い ていた。マユミはその様子を不思議な顔で見ていた。屋敷の玄関迄来た時、カオルは耐え 切れずに噴き出した。  「カオルさん。何がそんなに・・・。」  「だって、クレオが・・・。あんなにイヤがっていたクレオが、オッパイを仔犬に飲ま せているのよ。それも私達が頼んだ時には無視していたのに、シーザーが頼んだら簡単に OKするんですもの。」  「アッ、そうね。」  「もっとも、そうさせる様な錯話をしておいたのだけれど。」  「なる程。カオルさん、精神医にも成れるわね。」  「それと・・・。ウフフ・・・。」  「なあに?」  「あの仔犬、まだ目が見えないでしょう。目が開いた時が楽しみよ。」  「・・・?」  「刷り込み(インプリンティング)って知ってる?」  「インプリンティング・・・?」  「動物はね、最初に見た物を親だと思い込むのよ。高等動物程その程度は低くなるけれ ど、クレオの場合はお乳を飲ませているのよ。クレオからみれば育ての親かも知れないけ れど、仔犬にとっては本当の母親に成るのよ。仔犬が自分を母親だと思い込んでいるのを 知れば、当然母性愛が生まれてくるわ。肉体的な雌犬が、精神的にも雌犬に成るのよ。」  「凄いわね。そこ迄考えたから笑い出したかったのね。」  二人は更に笑い続けながら屋敷に入って行った。  クレオは授乳が肉体的にだけでなく、精神的にも快感を与えてくれるものだという事を 知った。仔犬はむしゃぶり付く様にクレオの乳首を吸い続ける。その前でシーザーが嬉し そうに『二匹』を見ている。いつの間にかクレオは眠り込んでしまった。  クレオが目を覚ましたのは深夜になってからであった。シーザーがクレオの尻を嘗め上 げていたのである。胸元には可愛い寝息を立てている仔犬が居る。夕方からずっと眠って しまっていた為に、シーザーはずっと我慢をしていたのだ。  (シーザーも父親なんだなあ。ボクがオッパイをやっている間はずっと我慢していたん だ。)  クレオが起き上がり、四つん這いの姿勢をとると、いきなりシーザーはのし掛かってき た。  「ハウッ・・・。」  既に怒張し切った真っ赤な肉棒をクレオの肛門に突き立ててきたのである。腰をグイグ イ押し付ける様にして、ペニスを突き込むのがもどかしいといった状態で、ペニスの膨ら みと同時に一発目の射精をしたのだ。そしてひたすら続く腰の振りの中で、更に二発目が 飛び込んできた。  (ああ・・・・、今日のはいつもよりいいよ。何故かしら。そうだ、オッパイを吸われ ていたから、ずっと気持ち良くなっていて・・・・。本当に雌犬に成ったんだ。だから気 持ちいいんだ・・・。)  シーザーの精液は塊と成って大腸へ押し込まれてきた。大腸はそれをスムーズに吸収し 始める。ジワーッと暖かくなるのだ。肛門はピクピクと収縮を続け、シーザーのペニスを 強く揉み続ける。クレオの方は乳房にも快感が有り、ペニスが消滅した後のクリトリス状 に成った部分も充血している。女としての感覚を強く感じるのであった。  (アフッ・・・、いい。凄くいい。アーッ、目が回る。シーザー、もっと・・・。ウク ーーーッ・・・。)  母性愛らしきものが出てきたという事は、精神的な面は勿論、肉体的にもほぼ完全に女 性化してしまったと言ってもいいだろう。だから女性としての感覚が強く成ったのだ。ま だ膣は育っていないが、取り合えずは直腸と肛門がその代理を完全に果たしている。雌犬 だったクレオが母犬と成ったのだった。  「クーン・・・。」  仔犬が乳房を求めて真探っていた。クレオは自然に仔犬を抱き寄せ、乳房をふくませる のだった。仔犬が必死に乳首を吸うと、クレオの目からは温かい涙が溢れてくるのだった。  (どうして・・・。ボクのオッパイの痛みを取るだけのつもりだったのに・・・。仔犬 が可愛い。ボク・・・、この子を育てたい・・・。)  クレオの顔に幸せの笑顔が浮かんでいた。カオルがそっと覗き込み、必死に笑いを堪え ている事にも気が付かずに・・・。  「クレオ・・・。」  カオルが声を掛けてきた時、クレオはビクッとした。しっかりと授乳させているところ を見られるのはカオル達の意に従った事になり、反発からも笑顔を消さざるを得なかった。  「ごめんね。死にそうだったから仕方なかったのよ。クレオに無理矢理お願いして。だ けどもう安心ね。」  仔犬はまだしきりに乳を吸っているが、確かに元気は完全に戻っている。  「もう人工乳でもOKだわ。ご苦労様。」  カオルが仔犬を受け取ろうとして手を差し出した。  (連れていくの? ダメッ、折角お乳で元気になったのに。)  クレオが仔犬を抱き締めて後ずさりするのを見て、カオルは不思議そうな顔をした。  「どうしたの? クレオ・・・。あなたは雌犬に成っているとはいえ、その子の母では ないのよ。アッ、そうね。クレオはお乳が沢山出るから、その子に吸って貰っていたいの ね。ごめんね。勘違いしたわ。まさかクレオがその子の母親に成りたいとでも思っている のかと・・・。そうよね、あくまでも自分の為だわね。」  クレオの心に鋭く突き刺さり、カオルを睨み付けていた。  「まあ、私達を恨んでいるのだから、何事にも反発したいのは仕方ないわ。」  カオルは肩をすくめて出て行ってしまった。  (ボクはどうしたのかしら・・・? 確かに仔犬は可愛いよ。ボクがこの子を育てたい と思っているのは本当だけれど、カオルさん達にそう思われるのは・・・。だけどさっき みたいに、ボクのオッパイの痛みを取る為だけと思われるなんて・・・。悔しいなあ・・ ・。ボクがこの子を可愛いと思っていないと思われるのが悔しいなんて・・・。ボクは雌 犬なんだよ。だからこの子の母親に成ってもいいんだよね。育ての親だけれど、本当に可 愛い・・・。)  仔犬はひたすらクレオの乳房を吸い続けていた。  「カオルさん、あの仔犬は?」  「大丈夫よ。クレオがちゃんと育てているから。」  「だけど・・・クレオは・・・。」  「そうよ、カオルさん。確かにお乳は出るでしょうけれど、クレオは私達を恨んでいる 筈よ。あの仔犬にお乳を上げる事だって、私達の思惑に従う事になるから・・・。」  カオルは微笑みながら、マユミ達に答えた。  「最初はね。だから私はお乳を上げていたクレオに仔犬を戻す様に言ったわ。そしたら ・・・。」  ちょっと笑いを堪えながら、  「むきになって返さないのよ。だから私はクレオの乳房の張りを解消する為だからと言 っておいたわ。あなた達もクレオに対しては少し冷たくあしらってね。仔犬が元気になっ たら、別の雌犬に任せると。」  「そのまま母親にさせればいいじゃない。それが最終的には・・・。」  「だからこそなのよ。今はクレオは私達への反発の心が強いから、私達が仔犬を返せと 言うと返さないという訳。確かに乳房の張りは解消するから、それにクレオは元々が男で すからね、お乳を与えるという行為は考えてもいなかったのよ。それが即母性愛だと思っ ているわ。」  「なる程ね。分かりました。」  女性達は皆頷いていた。  「それに犬のお乳は人間の物よりも濃いのよ。だからあの仔犬は母犬の場合よりも沢山 のお乳を必要とするわ。催乳剤を使っているとはいえ、必要な授乳にはかなりの時間が掛 かるの。だから仔犬が起きている間は、殆どお乳を上げ続けないとならない筈。クレオは ずっとお乳を吸われ続けているのよ。それをいきなり不必要と言われれば、当然抵抗する わ。だって、乳房は吸われる事によって活発化しているのよ。活発化した乳房は沢山のお 乳を出しますから、吸われなければすぐに張りとなって現れ、搾り出さないとその痛みは 強いわよ。」  「ヘーッ、だけど元々が男の子のクレオが、あれ程のオッパイに成り、人間以上のお乳 を出せるのね。」  「クレオとしての精神的なショックは強いわよ。だから一種の精神異常状態なの。精神 の混乱からの逃避としてはシーザーとの交尾と仔犬への授乳に求めるしかないのよ。自分 から求めていれば、それがクレオの一番精神的に楽な状態なのね。つまり雌犬で母犬に成 るという事が、精神状態の基底になる訳。だからそこへ逃げ込む様に仕向けるには、仔犬 を取り上げるという脅しを少しずつ掛け続ければいいのよ。」  「分かりました。そうしましょう。」  女達は笑いながら喜びを表していた。  (坊や、沢山オッパイを飲んでね。)  クレオは仔犬を抱きかかえて乳房を含ませていた。  「グォン・・・。」  シーザーが覗き込んでくると、クレオはニコニコしながら仔犬をシーザーに見せるのだ った。  (パパ、元気になったでしょ?)  シーザーも嬉しそうに尻尾を振り、大きな舌で仔犬を嘗め上げる。仔犬は黙々とオッパ イを吸い続けるのだった。  「お早よう。」  カオルが様子を見に来たので、仔犬を自慢そうに見せていたクレオだが、ハッとして強 く抱き込む。  「あらあら、嫌われているのは分かっているけれど、そんなに邪険にしないで。今日は その仔犬の登録をしに行くのよ。だから様子を見に来た訳。アッ、名前が決まったわよ。 『リンク』って名前にしたわ。」  (『リンク』・・・。坊やの名前・・・。可愛い名前ね。)  「クレオのオッパイの様子から見ると、まだお乳は出ている様ね。飲ませないと痛みが 来るんでしょうね。いいわ。二、三日はそのまま吸い出して貰った方がいいわね。痛みが 無くなればその仔犬に用はなくなるでしょうね。それ迄は搾乳機代わりに使っていなさい ね。」  その言葉はクレオの神経を逆撫でした。  「クォン!」  「おやおや、雌犬にされた事をまだ怒っているのね。仕方ないけれどね。オッパイを搾 る為には嫌々でもその仔犬を使うしかないものね。」  カオルはサッと犬小屋から出ていった。クレオは肩を震わせていた。  (ボクはこの子が・・・、リンクが可愛いからオッパイをやっているんだよ。ボクはこ のままだと本当に気が狂ってしまう。リンクが・・・、ボクのオッパイを飲んでいる限り、 この子はボクの子だ。悔しい。ボクのお乳の張りを治める為だけにリンクにオッパイを上 げていると思われているなんて・・・。あの人達はボクをひどい目に遭わせ続けている。 ボクが可愛いと思っているのに、いつかこの子を、リンクを取り上げようとしている。絶 対に離すもんか。幸いボクのオッパイはまだ沢山出るみたいだ。ずっと飲ませ続けていれ ば、リンクはボクの子供になる。絶対に・・・。)  「キュン、キュン・・・。」  胸元のリンクがクレオの乳房にじゃれついていた。  「フォン?」  やっと目を覚ましたクレオは仔犬の顔を見て驚き、喜びの笑顔に満たされた。  (リンク!! 目が・・・。)  チョコチョコ動いているリンクの目が開いていたのだ。まだ焦点の合わない目でキョロ キョロしながらもクレオを見つめていたのだ。  (目が開いた・・・。ボクの顔を見ている。そうだよ、リンク、ボクがお前のママ。人 間だけど・・・、違うね、もうとっくに人間じゃなくなっている。シーザーの奥さんなの。 そしてリンクはシーザーの子。ボクが産んだのではないけれど、シーザーの子ならボクの 子。それにちゃんとお乳を飲んで育ってくれた・・・。)  クレオの目からは涙が溢れ続けていた。そしてリンクが乳首を吸い始めると、更に涙は 止めようがなかった。  「お早よう。」  カオルとルミコの声にクレオはビクッとして身構えるのだった。そしてリンクをしっか り抱きかかえる。  「大丈夫よ。取り上げたりしないわ。もう遅いのだもの。」  (遅い? 何が?)  「本当ね。もう無理だわ。どうします?」  (無理? リンクをどうするつもり?)  クレオはうなり声を上げていた。その声と表情は我が子を守ろうとする母犬のものだっ   た。  「クレオ、もうダメよ。あなたは当分の間、リンクを育てなくてはならないのよ。イヤ とは言わせないからね。」  (リンクを育てる? いいの、このままで?)  「あなたは知らないかも知れないけれど、リンクにとってクレオは母親なのよ。産まれ てからずっとお乳を飲ませているから、リンクにとっては母親も同然だったけれど、リン クは目が開いてしまったのよ。」  (そうだよ。ボクはリンクの母親だ。だけどリンクの目が見える様になった事と、どん な関係が?)  「動物は何でもそうだけれど、産まれて最初に見た物が母親なのよ。しかもあなたの場 合はお乳を上げているのだから、リンクにとっては完全な母親なのよ。イヤだと言っても ダメ。暫くはあなたにお乳を上げさせますからね。」  (いいの? ボクはずっとリンクにお乳を上げていて。リンクはボクをママだと思って いるの?)  「あら? クレオ、嫌がらないの?」  「本当ね。嬉しそうにして・・・。ちょっと予想が外れたわ。クレオはオッパイの張り を解消する為だけにお乳を飲ませていたんじゃないの?」  「まさか。だけどほんの僅かだけよ。クレオのお乳が出るのは催乳剤のせい。もうすぐ 出なくなるし、万が一本気で飲ませたいと思っていたとしても、今のままのお乳の量では 足りないから、人工乳で育てなくてはならないわ。それはクレオには無理ですから、その 時には私達のお仕事ね。」  (エッ? そんな・・・。リンクはボクをママだと思っているんだよ。)  クレオは涙を流して嫌がっていた。  「まさか・・・。クレオ、本気でリンクを育てたいの?」  何度も大きく頷く。  「そうね。仔犬は可愛いし、クレオとしても自分のお乳を飲ませているのだから・・・。 男の子がお乳を飲ませるなんて、結構ショックだものね。だけど催乳剤はダメなのよ。も し催乳剤を更に注射しても量は今のままを持続出来るだけ。それでは足りないのよ。シー ザーの様な大型犬の仔犬は成長が早いの。相当のお乳を必要とするし、人乳は犬のお乳よ り薄いから、並みの量ではダメなの。それに催乳剤その物はリンクに具合が悪いの。一種 のホルモンですから、成長に不具合があるの。」  「ヘーッ、なる程ね。」  「まあ、方法が無いではないわ。要はお乳が沢山出るオッパイって、乳腺の沢山の大き なオッパイなのよ。乳房への注射ではホルモンが滲み出してしまいますから、女性ホルモ ンが効く部分に注射して、間接的にオッパイを大きくするしかないわね。」  (いいよ。もう充分に大きなオッパイなんだから、これ以上大きく成ったって同じだよ。 お願い。)  「エッ? 本気なの? 本気でオッパイを大きくしたいの? 女性ホルモンを注射する 所はあそこよ。今は形だけのオマンコだけれど、大量の女性ホルモン注射をすると、本当 の女に成ってしまうのよ。」  (もう充分に女だよ。オチンチンはとっくに無くなってる。だからお願い。ボクはリン クのママでいたいの。)  「ヘーッ、これこそ予想外。まあいいわ。このままではリンクは生き延びられないのだ から。」  (エッ、どういう事?)  「分からないの? 仔犬は人間以上にデリケートなのよ。母親から引き離されたら、す ぐに栄養不良になるわ。小型犬ならとにかく、大型犬はすぐに全身疲労。リンクの母親は 他の犬から見れば人間よ。他の犬からは疎外されるわ。よほどクレオが犬達に溶け込まな い限りはね。」  カオル達は小屋を出ようとし、振り返った。  「本当にその仔犬を育てるつもりなら女性ホルモンの注射をして上げるわ。その方が私 達にも都合がいいわ。なおの事逃げ出せない身体に成るのですからね。」  (もう逃げられる身体じゃないよ。そんな事よりもボクのオッパイを沢山リンクに飲ま せて上げたいの。)  クレオはすがる様な哀願の目で見つめるのだった。  「分かったわ。本気らしいわね。少し待っていなさい。」  ドアを閉めて急ぎ足で歩くルミコ達は必死で笑いを堪えていたのだった。  「カオルさん、凄い。言った通りね。」  「ええ、自分でも驚く程に填まったわ。さっそくホルモン注射よ。それも夢にも思わな かったあのホルモン剤で。」  「ねえ、凄い薬なの?」  「そうよ。普段なら絶対に使えない薬よ。今迄のホルモン剤だって、普通では使えない 代物よ。男だった子をあんなに完全に女にしてしまうのよ。副作用だってあんなに強いし。」  「だとすると今度のはもっと凄いの?」  「ううん、ちょっとだけ。肉体的にはいいんだけれどね。当然だけれど、オッパイはも っと大きく成るわ。豊胸剤としては理想的なのよね。そしてお乳の出も半端ではないわ。」  「それならいいんじゃない?」  「但し、脳に異常が出てしまうの。」  「脳に? それは・・・。精神異常は、世話に手間が掛かるわよ。」  「そういう異常ではないのよ。今迄のホルモン剤でも四股の運動異常が出るし、言語中 枢が犯されているでしょう。それでもホルモン投与をやめれば時間は掛かるもの回復する わ。だけど今度のはそれ固定してしまうの。と言うよりもその中枢を完全に破壊してしま うのよ。アメリカ製らしいのだけれど、裏社会で使われる薬らしいわ。今迄のホルモン剤 は人間の女性ホルモンの強化した物と思って貰っていいけれど、今度のは本当の意味で雌 犬のホルモン剤の強力版なのよ。本当の犬にしてしまうの。」  「本物の犬? それも面白いけれど、ちょっと不気味ね。」  「ああ、姿形が犬に成る訳ではないのよ。犬の女性ホルモンと言っても、やはり女性ホ ルモンだから、膣を形成するわ。場合によったら子宮迄出来るかも知れない。ただ卵巣は 無理ね。出来たとしても妊娠は出来ないけれど。だって犬の女性ホルモンで出来た卵子で は、人間の精子とは受精しないし、犬の精子とでも染色体が違い過ぎるから不可能なの。 だけど本来の使用のされ方は、女の人の陵辱用なのだけれど、獣姦させられ続けると、ど うしても膣や子宮に異常が出るわ。犬の精子はやはり人間には合いませんからね。そこに 犬のホルモンを大量注射すると、膣や子宮は犬の精子を受け入れ易くするのよ。そして人 間の精子が異物になるの。私はその筋の人に色々なビデオを見せて貰ったけれど、それは 凄い物だったわ。」  「その筋? 暴力団関係?」  「ああ、そういう意味じゃないのよ。どう言えばいいか・・・、いわばセックスマフィ アとでも・・・。変態SMの専門グループ、人体改造、調教の専門家ね。」  「それはそれで恐いわね。」  「そうでもないわよ。あなたの良く知っている人だってそのグループなんだから。」  「理事の?」  「そうよ。それも相当に上位のね。だけど口外はダメ。分かっているわね?」  「ええ、話は知っています。」  「人体改造ではかなりの実績があるらしいけれど、獣姦の方はやはりアメリカが主らし いわ。獣姦愛好者達のコロニーが在るらしいし、獣姦専用に育てられる犬も沢山居るらし いわ。凄いわよ。雄犬と可愛い女の子が後ろ向きに繋がって、延々と続けているの。そし て何と言っても凄いのが、人間の女性に犬の子を産ませるのよ。」  「それは・・・無理でしょう?」  「普通ではね。犬の受精卵を人間の子宮に移すのよ。その為に必要なホルモンなの。だ からその人は何度でも犬の子を産まされるのだけれど、そうなるともう人間の子を産む事 は出来なくなるのよ。菊野さんもその技術を試してみたいと言っていたけれど、アフター の方も大変なのよ。人間から産まれた犬は人間にしか発情しないでしょう。だからその犬 を相手にする女の人を沢山用意しないとならないからね。金銭的に、物理的にも相当の準 備をしないとならないでしょ。だけど私も見てみたいわ。大勢の女の人が犬と後ろ向きに 繋がったままのセックスをさせられたり、本当に犬の子を産めるのかどうかも現実に見て みたい。」  「それは・・・、面白そうだけれど、やはり考えられないわ。本当なら確かに見てみた いわね。」  「クレオのデータは菊野さんに役に立つし、私達も楽しい。お婆さんも喜ぶ。」  「シーザーも喜び、クレオも嬉しそうよ。」  「そうそう、みんな幸せなのよ。」  「クゥン、クゥン・・・。」  リンクは甘えた声でクレオの乳房を吸い続けていた。クレオも嬉し涙を流しながらしっ かりと抱いていた。  (どうしたんだろう。ボクがリンクにお乳を上げて育てるのはあの女の人の思惑通りな のに、それが嬉しい。ボクは本当に雌犬、ううん、母犬なんだ。ボクはもう人間には戻れ ない。だったらこの嬉しい母犬のままでいたい。それにシーザーも凄く優しくて逞しい。 凄いスケベだけれど、ボクにはそれも嬉しい。リンク、早く大きく成ってね。)  シーザーはクレオの脇に横たわり、クレオのお乳を吸っているリンクを嬉しそうに見つ めていた。クレオはシーザーに微笑み掛けると、シーザーも微笑んでいる表情に見えるの だった。 ・・・・・完・・・・・