フェイクガール  作: 玲
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『フェイクガール・フェイク1』 5

5.暑さ寒さも彼岸までというけれど、僕の場合は被虐まで。

「おうおう。こ、こ、これでも感じられるなんて。君は想像以上のマゾなんだね。
すごいなあ。こ、このオイルが潤滑油にもなって、キャ、キャ、キャットスーツが
着やすくなるんだけど、長いこと、く、く、空気に晒していると粘りが出てくるよ
うだから、て、手早くいこう」

豚男さんは興奮してくるとどもりが強くなるようだ。豚男さんが興奮してくれると
僕も嬉しい。キュキュっとゴムの擦れる音がして、片足を持ち上げるようにいわれ
た。バランスを取るのがたいへんだったが、足を差し出すと、ゴムの袋が被せられ、
事前にたくしあげられていたのだろう、僕の足は腿の上までするするとゴムに包ま
れた。微妙な捩れが直され、続いてもう一本の足が同じ手順でゴムに包まれる。ひ
やりとした冷たさを感じることがなかったのは、オイルの効果による皮膚感覚の鈍
りのせいだろうか。

ゴムは薄手だった。スーツが引き上げられ下半身がすっぽり包みこまれちゃう。ペ
ニスがつままれ、あふん、股間部のゴム筒に送りこまれた。ペニスが送り込まれた
筒は先端が開いていて、僕の亀頭が丸ごとぷるるんっと露出されちゃうのが感触で
わかった。亀頭の鰓に筒部の縁が食い込んでいい感じ〜。

睾丸は筒の下の袋に、卵でも流し込むかのように、つるりんっと収納されてしまう。
尻と股間の引攣れが直され、肛門用の穴の位置が適正なところにくるように調整さ
れた。それから再びスーツが強く引き上げられ、腕を通すようにいわれる。手探り
で穴の位置を探り、腕を通す。確かにオイルは潤滑油としても効果的だね。きつめ
の穴だったけれどするる〜っと滑りこんで、手袋に指が収まった。両腕が入ると、
揉みしだかれるようにして入りこんだ空気の泡が絞り出される。

「頭の全頭マスクと一体型のものが、き、君も好きだろうけど、それだと、か、髪
の毛の始末とかいろいろ、て、手間があるので、きょ、今日は、こ、こっち」

背中のチャックが締めあげられると、一体型じゃなくてもぴっちりした圧迫感と密
着感があった。首の下で全頭マスクとキャットスーツのハイネックが重なって、密
閉感は充分。オイルによる皮膚の不快感は、キャットスーツによる圧迫でずいぶん
楽になった。不快でもそれがまた快感という回路もできあがりつつある。

そして、なにはともあれ、わお、念願の全身スーツだぁ。露出部分は亀頭と肛門の
み。人格だとか人間性とか個性だとか、煩わしいものは全部隠されて、ただの人型
という、のっぺらぼうの無責任な気楽さ。性処理用具としての機能だけが残され、
結果として常識では隠すべき部分のみを晒し出しているという異常さが嬉しかった。

「胸を触ってごらん」

豚男さんの得意げな声に我に返った。ラバー人形と化した喜びに、恍惚となって呆
けていたみたい。いわれるまま胸に手をやって驚いた。そこにはずっしりと実在感
のある乳房があった。わお。表面はゴムでも、指を這わせ揉んだ感触は、柔らかさ
だけでなく肉の粘りやずっしりした手応えもあり、本物の質感だった。当然乳首も
ある。

「ノーマルタイプがこれで、Fカップタイプもあるよ。僕の、こ、好みとしては、
あまり大きいと、見ただけで圧倒されてしまうからノーマルがいい。アメリカ映画
で、か、開発された、と、特殊メイク技術で、つ、造ってあるから質感も、て、手
触りも最高だと思う」

まさに、もうおっしゃる通り、感激いたしました。ハリウッド万歳。

「じゃあ、次は、コ、コ、コルセットだよ」

はい、もうじゃんじゃんやってくださいまし。お腹に硬いものが当てられた。背中
にも被ってくる。両脇のところでバックルのようなものが3箇所ずつ、バチンと締
めつけられると、とたんに内臓が口から溢れ出てしまいそうなくらいウエストが締
めあげられた。うふい〜。勝手に息が抜けてしまう。

脇腹になにか金属的なものが差しこまれ、ネジを巻くようなキリキリという音とと
もに回されると、どういう仕組みか、ただでもきつく締めあげているコルセットが
さらに狭まってくる。うくく。深呼吸もできず、浅い息を繰り返してひたすら耐え
るしかなかった。うぎぎ。あふあふ。豚男さんが加減を知っていることを切実に望
んだ。じゃないと千切れちゃうよ。

圧迫に耐えられなくなった胃袋がお腹の中でぐにゃりと動き、上がってしまった。
逆に腸は、鈍痛とともに捻れて下に押しやられた。内臓が動いて、一瞬楽になった
けれど、コルセットはどこまでもキリキリと縮んでくる。背骨が圧力で、姿勢よく
伸びてゆく。

押しさげられた内臓の圧力で、下腹が妊婦のように膨らんでいくのがわかるよ〜。
下腹がパンクして内臓をぶちまけるか、胃が千切れて血反吐を吐くか、どちらかを
覚悟した頃、ようやく締めあげが終わった。胸も圧迫されて大きな呼吸ができない。
はっはっはっは。って笑っているんじゃなく、浅い呼吸を犬みたいにしてるんです。

今朝自分でノズルを外したシャワーホースを入れ、微温湯で洗腸してきたし、昨夜
はゼリータイプの補助食品のみで、胃も腸も空っぽに近いというのにこの苦しさ。
これがもし消化物が詰まっていたら、いったいどれほど苦しいか、想像するのがち
ょと怖い。

「う、美しい・・・。ほら、触ってごらん。凄いよ」

苦しさで腕に力も入らない。そろそろと、まず下腹に手の平を当てると、想像して
いたよりは膨らんではいなかった。大量に浣腸したときなど、もっと妊婦腹になる。
とはいえ、内臓をぎゅうぎゅうに詰めこまれている膨らみなだけに、大量浣腸の時
より硬い手応えだ。

その下腹のカーブに沿って手を上に滑らせてゆくと、絞りあげられた腰に達する。
自分でもびっくりした。両手の指で輪を作ると、もうあと少しで輪が閉じてしまう
くらいに細い腰に変形していた。蜂の腰。なんだか、そこからぽきりと折れてしま
いそうで怖いくらい。

頭を吊られていなくても、もう自由に腰を曲げることはできそうもない。できの悪
い人形のように上体全部を倒すように前屈させるのが精一杯だと思った。腹筋に力
が入らないし、脚もがくがくする。そういえば、あまりの苦しさからか、時間が過
ぎたからか、オイルの苦痛がきれいさっぱり消えていた。

また新たな装具が首と上体に嵌めこまれた。肉厚の硬質ゴムが首全体と顎の先から
頬を横切って後頭部までを包む。頭全体が押しあげられるようで、頸骨が伸び、金
具が閉められると、首が完全に固定されてしまった。もう、首を傾けることも頷く
ことも振ることもできない。

これってつまり豚男さんのお願いに答えることもできないっていうことだ。首コル
セットは下部で、鎧みたいに上体全体を覆う。首コルセットというより上体コルセ
ットとでもいえそうだ。その下端が腰コルセットの上端にぴったりと嵌まりこむ。
もともとひとつのパーツなんだろう。脇の下でバックルが締められると、はあうぅ、
もう一段締め付けがきつくなった。肋骨と鎖骨を軋ませて、胸郭全体が圧迫される。
ミイラになった気分。どんどん不自由になっていく〜。それが嬉しいんだけどね。

今度はコルセットの下端にゴム帯が固定され、べろんと下に垂らされた。ペニスが
ゴム帯の穴から引き出される。あふうん。びっくりしたのは睾丸の扱いだった。硬
いゴム帯は2枚重ねになっていて、内側のゴム帯のペニス穴のすぐ下に切れ目のよ
うなスリットがある。そのスリットから、キャットスーツの袋ごと玉袋の皮が引き
出されベロのように垂れ下がったとき、睾丸はといえばスリットを抜けられず、押
しやられるようにして、ペニスの根元から胎内へと潜り込んでる。

内帯が股間をくぐってお尻の方へ回される。んぎ〜っと身体が浮き上がるほど引っ
ぱりあげられて、コルセットに固定された。肛門の周囲に食い込む物がある。ゴム
帯には肛門の位置に大きな金属リングが付属しているようだ。まあ、当然といえば
当然。でないとお尻の穴が使えなくなっちゃうもんね。

それにしても、きっつい。ゴム帯がコルセットで膨らんだ下腹を、モーゼのように
ふたつに割って、容赦なく食いこむ。その上、胎内に押し戻された睾丸まで圧迫さ
れ、鈍痛が走る。まさに、タマらんってやつです。あ、オヤジギャグですか?

スリットから引き出された皮のみの玉袋は、拡げるように下に引かれて、玉袋を包
んでいるゴム袋に付属する4つのボタン金具で内帯に留められた。引っ張られ具合
から想像すると、干されたスルメ状態って感じかな。

その上に外帯が被せられ、これまたぎゅううううっと締めあげられる。僕の股間は、
まるで睾丸も袋も最初からなかったような見た目になっているだろう。

「狙い通りだ。た、玉を取ったシーメイルになったよ。いい。じつにいいなあ」

豚男さんが僕の股間を触りまくる。苦しいけど嬉しい。触ってもらうとその感触で
イメージが鮮明になる。ペニスにも手が当たるから、その内外の刺激でむずむず&
むっくりしてくる。

豚男さんが僕の手を取って股間に導いてくれた。ペニスの下を触ってみる。ほんと
に最初からなにもなかったかのように、つるりんとした丸みだけがゴム帯を通して
伝わってくる。20年間そこにあったものが、突然消えたしまった違和感。ねっと
りとした淫らさがこみあげ、ぶるぶるっと震えがきた。つい、内股になってしまう。

「苦しいだろうね。まだ、我慢できるかい」

苦しいなんてモンじゃないけど、我慢できるし、我慢するしかないし、もっと苦し
くして欲しいし、我慢じゃなく悦んでるし。素直に頷きたいんだけど、上体が固ま
ってるからどうしましょう。手を持ちあげ、指で丸を作った。

「じゃあ、次は腕に行こうね。やっぱり腕の拘束は王道だし」

豚男さんが少しずつ積極的になってきているみたい。いい傾向です。まあ、いまの
僕くらいがんじ搦めにされていれば、見た目もまともな人間じゃなくなってるし、
虫みたいだし、っていうかただの荷包みだし、なすがままで抵抗もできないし、睨
まれたり罵られたりする怖れもないし、哀れで淫らで恥ずかしいし、無防備だし、
さすがの天然気弱の豚男さんも穴蔵から這いだしてきたってことだろうね。がんば
れー、豚男ちゃーん。

手袋が嵌められた。手袋の口が肘の上まで届き、そこで金具で締めこまれた。指先
は別れがなく、親指までいっしょの袋状になっている。さらに付属の金具が肘の下
と手首を締めあげる。拘束用だろう短いストラップが、指先や手首や肘から何本も
垂れ下がっているのがわかる。

まず右手が背中に捩りあげられた。指先が右肩に届くまで引きあげられる。左肩で
はなく右肩。手の甲が自分の肩胛骨を包む。そこで指先と手首を固定された。かな
り厳しい拘束だった。普通の縛りなら、背中で腕組みするようにとか、両腕をクロ
スするようにとかで固定されるものだけど、これは各腕がばらばらに厳しく折り畳
まれる。肩の関節も肘の関節もぎりっと軋む。もともと身体が柔らかいほうだし、
柔軟運動が日課だったから、たいした苦痛もなくなんとか耐えられるけれど、体の
硬い人なら悲鳴をあげてギブアップしているかも。

同じく左手先が左肩に固定され、これで終わりかと思ったら、まだ、もっととんで
もない続きがあった。捩じあげられ、背中側の腰のあたりに位置している両肘のス
トラップが繋がれ、それから思いっきり引き絞られた。肘がぎりぎりと接近してゆ
く。肩が抜けそうに痛み、さすがに呻き声をあげていた。うきいいいい。両肘がく
っつきそうなほど接近し、コルセットに押しつけられるように固定された。

くうううっ。頭を掻き毟りたくなるような関節痛。でも、もう腕は1ミリたりとも
動かせない。自然と背中が反り返って、胸が突き出される。姿勢はよくなるけど、
苦しいよう。あうあうあう。

身体を棒のように突っ張らせて喘いでいると、上体にばさりとゴムが被せられた。
この上さらにゴムが重ねられるとは。脇のジッパーとバックルが閉じられると、上
体が圧縮されるように締めつけられる。喘ぎすら浅くしかできなくなった。

この上衣にはご丁寧にも、ゴム乳房のために前面に穴があるようで、乳房だけは潰
れないよう露出されているようだ。身動きすると、乳房は変わらずプルンと揺れる
のがわかる。体中にめりこんでいるストラップやら金具やら、後ろでごちゃごちゃ
と拘束された腕やらをすっきり隠すための上衣なんだろう。上衣というには硬すぎ
る感じだけれど。

悲鳴をあげる肩と肘をなんとか馴染ませようと不自由な身をよじっている僕の姿を
見て、豚男さんが興奮しているのが鼻息でわかる。

「悦んで感じてくれてるんだよね。耐えきれなかったらもっと暴れるだろうし。チ
ンチン立ってるし」

けっこう鋭い豚男ちゃんです。まったくマゾほど嘘のつけない生き物はいないと思
う。特に股間に本能が露出している男という生き物の場合、ペニスを見れば一目瞭
然なんだから。かなりしんどいのはあたりまえだけど、関節の苦しみは激痛でさえ
なければ耐えられるし、しばらくすれば馴染んでしまうことを知っている。浣腸の
苦しさと似ていて、いてもたってもいられないゾワゾワ感は、変態マゾにとっては
悦びでもある。

とはいえ平然と耐えられるものでもないんだけど、上体は倒すことも捩じることも
揺することもできないから、傍目には平然として見えちゃうかも。ほんとうに股関
節以上は、全力で暴れようともぴくりとも動かせない。まるで彫像。ここまで完璧
な拘束は初めてだ。ぞくぞくする。脳下垂体あたりにある変態マゾ線が、じゅわわ
んっと変態マゾホルモンを大量分泌してるな。変態粘液が脳みその皺の間からじゅ
るじゅる溢れだし、頭蓋内をねばねばにした後、脊柱内を駆けくだり精嚢あたりで
噴出しているような感じ。この苦しさと表裏一体の快さは、変態マゾ以外の人には
わからないかも。

いまや唯一自由な太股を摺り合わせながら、もぞもぞくねり運動を続けていると、
突然頭の吊り鎖が巻きあげられた。僕は徐々に爪先立っていき、しまいにはかろう
じて爪先が床に着いているのみという状況にされた。首の軟骨がみしみしっと伸び
ていく。

自分自身の体重で全身が一本の棒のように引き延ばされ、身体がゆるゆると回転し
かける。僕は必死で爪先を伸ばし、体のバランスを保とうとした。首にはいろいろ
嵌められて補強されてはいても、全体重がかかるのは怖い。ろくろっ首になっちゃ
うよ〜。

「はい、脚あげて。き、君をバレリーナにしてあげる」

背骨の軟骨をめいっぱいに伸ばし、床に着けている方の足指に力をこめて、体勢を
保持したまま足をあげようと試みたけれど、やっぱり身体は回転し始めた。吊り鎖
の捩れに従って一回転したところで、豚男さんが回転を止めてくれた。というか、
ほんとはもっと早く止められたのに、面白がって見てたんじゃないかな。

片脚が豚男さんの脇に抱えられ、ブーツを履かされる。足先がブーツの中を滑りこ
んで行くにつれ、足首が伸ばされてしまう。ブーツの中で爪先立ちどころか、まさ
にバレエダンサーのように“指先”立ちを強いられた。足の甲は完全に伸びきって、
戻そうとしても戻らない。足首が完全に固定されている。ジッパーが閉められると
膝の周りにも硬い締めつけを感じた。最後に、膝の上下でバックルが締められると、
食いこむように圧力が増し、膝を曲げることがまったくできなくなった。僕の脚は
一本の硬い棒になり果てたわけだ。

両足にブーツが装着されてしまうと、僕は足指の下、爪先部分に切り取られた、わ
ずか数センチ・・・500円玉大の靴底ふたつに頼って立たなくちゃならなかった。

「素敵なバレリーナだ。き、君はもともと脚が長いけど、ますます長く見える。い
まは、た、立っているのがやっとだろうけど、練習したらバレリーナのように踊れ
るかもしれないね」

なわけないでしょう。膝が曲がんないんだもん。せいぜいコンパスみたいに歩くの
が関の山。いまはほんとうに立っているのが精一杯だった。でも、この不自由感こ
そ僕の求めたもの。僕のペニスだけがバレリーナに変身して、股間で喜びのダンス
を踊っている。

なにか・・・固い殻のようなものが下半身に嵌めこまれた。なんだろう。素材はゴ
ムだと思うけど、金属みたいに固い。同時に、プラスティックみたいに軽い印象。
下腹、お尻、股間と腿の半ば、ブーツの口までがすっぽりと嵌まりこんでしまう。
包まれた範囲からガードルみたいな形状のものじゃないかと想像できた。踊るペニ
スは穴から引き出され、踊り続けることを許された。

感覚がないけれど、当然、肛門まわりにも穴はあるだろう。バックルが締められて、
下半身がきつく鎧われ、息つく間もなく、腰のコルセットとガードル鎧が連結され
てしまった。下腹がまたまた圧迫されて、内臓の重苦しさが復活した。

「これは僕が考えて、つ、造らせた。と、とりあえず、か、開脚ガードルと呼んで
る。ほら、これを、つ、着けるともう股関節も動かせないだろ」

う・・・。うん。なるほど。股関節どころか、ガードルと一体化して、胸から下が
完全に動かない。脚を動かすことも、腰を捩じることもできませ〜ん。でも、股は
開いていないのに、なんで開脚ガードルなんだろ。まあいいけど。

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