女にされた  21〜24 作:摩火

戻る  次へ  書庫メニュー

女にされた21

医者は裕次郎に聞かせるためか、ゆっくりとした講義口調で喋り始めた。
「女性ホルモンはむやみやたらに大量に投与したからすぐに女性のような体になるわけじゃあない、ホルモンの微妙なバランスというものがあってな、ホルモンの最大の効果を得るためには様子を見ながら投与量を加減する必要がある。もっとも睾丸を摘出したんで、その効果はずっと早くに得られるだろう。特にこのお嬢さんのようにまだ20歳台だと骨盤も発達してきてどんどん体が女性化してくるようになる。」
サブがくっくっくっと笑った。
「先生、こいつ二十歳代じゃあありませんぜ。もう30を少し過ぎている。なんと15だか16だかのマセたガキが居るぜ」
その言葉に医者はびっくりしたようだった。
「ほう、本当かね。いやこれは驚いた。化粧すれば20歳といっても通りそうなもんじゃあないか。それにしても子供がいるのに女にさせられるなんて、なんとまあ可愛そうな」
しかしそう言う医者の顔はちっとも同情などしていないようだった。そして裕次郎の体をしげしげと見回した。
「しかし本当に30超えているのかね。骨付きも華奢だし肩幅も女の子のように細いじゃあないか。色白だし顔の造作も悪くないし、これは美人になるぞ。」
医者の脳裏にはもう女性化し美女と化した裕次郎の姿がありありと見えているようだった。
「性転換手術するのかね、するんだろう?なんなら私がオペやってやろうか?造膣や外陰部形成などは今までやったことないが、埼玉医大の文献などは取り寄せて研究しているし興味がある。格安でやってやろうか。」
この医者もまたヤクザ達と同じようにどこか狂っていた。
「まあ、そうなった時は先生にお願いすることにしますよ。」
古田の兄貴分がそういってにやりと笑った。
「じゃあ、後はホルモンの注射だな。女性ホルモンは半年も打ち続けると体が女性ホルモン受容環境になってしまうので、止めるとひどい頭痛や不調になってくるからね、そうなると一生打ち続けるしかなくなる。今は男性ホルモン環境にあるが、去勢したこととこれから打つ女性ホルモンの影響で、最初の1-2週間はちょっと体に色々と症状が出てくるかもしれないよ。なあに、つらいのは最初のうちだけだからね。いい女になるためだ、我慢するんだよ」
医者は裕次郎がまるで女の子であるかのような口調で説明した。

女にされた22

「へへへっ、女性ホルモンこれから打って貰えるんだってよ。よかったなあ、お嬢ちゃん、きっとホルモン打ってもらえばすぐに女みたいになって、いやーんとか色っぽい声でケツ振りながら男に甘えるようになるんだぜ。」
相変わらず裕次郎をネチネチといたぶるサブだった。
その間に医者は裕次郎を分娩台から下ろし、そばに置いてある白い診療用ベッドにうつぶせに寝かせると、手に取った注射器に薬液を満たしていく。
この薬液こそ、今後裕次郎が長期間に渡り体内に取り続けなくてはならなくなる液体、そして裕次郎にとっては徐々にその体を女性のものに変えてしてしまう、麻薬以上に恐ろしい液体、すなわち女性ホルモンだった。
その第一回目の注射が今、裕次郎の臀部に行われようとしていた。
しかし、当の裕次郎はといえば、相変わらず精神の麻痺状態が続いていた。
本来ならば暴れ回り、散々抵抗してその悪魔的な液体が自分の体に注射されるのを防ぐ所なのだろうが、今の裕次郎は自分の体に近づいてくる女性ホルモンに満たされた注射器を、ただただ何の感慨もなく見ているだけだった。
そしてアルコールの含まれた脱脂綿で臀部を消毒され、尻の筋肉に注射針を突き立てられた時に裕次郎は始めて我に返った。
それは呆然自失している人間に張り手を食らわすことで我に返らせるのと同じように、女性ホルモンを尻の筋肉に注射することによる激しい痛みが裕次郎を正気にさせたものだった。
・ ・・えっ、オレは一体何をしているんだろう・・・
うつぶせのままで裕次郎は最初にそう思った。
そして次に裕次郎の感覚に届いたのは臀部の激しい痛みだった。
痛みの元を自分の肩越しに見てみると、医者が臀部から注射器を抜き取り、その後を脱脂綿で軽く拭いているところだった。
その場面をビデオカメラを構えた男が撮影している。
注射の痛みは急速に薄れていった。しかしその代わり気がついたのは自分の股間の周りを中心とした異様な感覚だった。
その感覚は裕次郎を去勢するために医者が打った局部麻酔がまだ覚めていない為のものだった。
・ ・・この人、一体何しているんだ、・・・それに、チンポがチンポのところがなんだか変だ・・・
いっぺんに色々な疑問が裕次郎の心の中に浮かんできた。

女にされた23

・ ・・ヤクザだ、あのヤクザ達がいる。・・・
裕次郎は視界の隅に兄貴分とその舎弟のサブの姿を捉えた。
・ ・・ええと、確かあいつらに玉抜きさせられると脅されて、変な椅子に縛り付けられて・・・たまぬき!
裕次郎を不意に不安と恐怖が襲った。
顔がサッと青ざめ、嫌な脂汗がどっと全身から噴出してくる。
・ ・・ま、ま、まさか、・・・まさか・・・
しかし、股間の異様な感覚は裕次郎の不安の的中を証明しているかのようだった。
・ ・・ま、まさか、オレの、オレのキンタマは・・
裕次郎は飛び起きようとした。飛び起きて自分の股間にあるべき物を確かめようとした。
しかし、裕次郎の意に反してその体に力が入らない。まるで大怪我をして体力を消耗し尽くしたような感覚だった。
裕次郎はうつぶせになったまま手足を力なく動かし、身をくねらせた。
「なんだ、なんだ、こいつ、急にもがき始めたぞ。」
サブが、裕次郎の逃走を恐れてか、少し警戒するような口調で言った。
裕次郎は尻を押さえようとする医者の手を払いのけ、ようやくの思いでベッドに起き上がった。そして自分の股間に手を当てて覗き込んだ。
まず裕次郎は無毛と化し、ツルツルになった自分の股間を見ることとなった。
そのことだけでも十分にショックなのに、次に裕次郎が見たものは、陰茎の根元のすぐ下、すなわち陰嚢の部分に貼られているガーゼとテープだった。
陰嚢が、自分の記憶にあるよりも妙にシャープになっている。
・ ・・ま、まさか・・・本当に切り取っちまったのか・・・
裕次郎は自分の睾丸がまだあるかどうか、どうしても確かめられずにはいられなかった。
裕次郎はそのガーゼがあてられている部分に恐る恐る手を伸ばした。
チンポは麻酔のせいで、自分のものとは思えないぐんにゃりした肉の塊になってしまっていた。
そしてその下、陰嚢を必死でまさぐろうとした裕次郎の手を、医者がぐっと握って引き離した。
「こら!触っちゃあいかん!縫合口が開いてしまうだろうが」
裕次郎は引き離された手をまた股間に持ってこようとした、しかし医者はその手を力強く握って放そうとしない。
「タマは、俺のキンタマは・・・」
裕次郎はようやく苦しい息の下からその言葉だけを言うことができた。
「キンタマ?お前のキンタマのことか?安心しろ、ちゃんとあるよ。」
裕次郎のあがきを横からニヤニヤしながら見ていたサブが言った。
その言葉を聞いた瞬間、大きな安堵が裕次郎の全身を包んだ。全身から一気に力が抜けていく。
「よかった、まだあるのか、よかった。」
裕次郎は安堵のあまり、ベットにつっぷしてしまいそうになった。
「ほら、ここにまだあるよ、ほら、まだ捨てていねえだろう?」
そう言ってサブが裕次郎の目の前に差し出したものは、先ほど裕次郎の体内から取り出した2個の物体が載っている膿盆だった。

女にされた24

一瞬、裕次郎はそれが何なのか理解できなかった。
少し血にまみれた、2個のいびつな楕円形の白っぽいうずらの卵のような物体。
しかし、次の瞬間、裕次郎の顔に徐々に恐怖と驚愕の表情が広がっていった。
「・・・・!」
もはや、裕次郎の口からは掠れた悲鳴のようなものしか出てこなかった。
そしてそのままベッドの上に崩れ落ちてしまう。
・ ・・本当に、本当に、こいつら、俺のキンタマ取りやがった!・・・
裕次郎の頭の中にはその言葉だけがグルグルとエンドレステープのように回りつづけていた。
「なんだよ、正気に返ったと思ったら、今度は女の子らしく気絶かよ。」
サブが口をとんがらせて言った。
その言葉に裕次郎の顔は恥辱で真っ赤に染まった。
「た、タマを・・・オレのタマを元に戻して下さい。そうだ、もう一度くっつけられるんでしょう?先生、お願いします。お願いします。」
それは裕次郎にとっては最後に残された一縷の望みだった。
切断された腕が元通りに接合できる世の中だ、睾丸だって同じようにくっつけられるに違いない。
裕次郎はそう思えばこそ、医者に向かって必死に頼み込んだ。
「無理だね。そんなことできる訳がないだろう。」
医者は言下に否定した。
「そ、そんなあ、できるはずです。できます。絶対にできます。だから元通りにくっつけて下さい。お願いします。」
なおも必死に食い下がる裕次郎に医者は冷たく言い放った。
「まったく聞き分けのない娘だ、あんまりしつこいとチンチンも切り落として本当の女にしてしまうぞ。」
その実もふたもない言葉に裕次郎はガックリとうなだれてしまう。
・ ・・ああ、ほんとうにキンタマ抜かれてしまったんだ・・・
そう思うと、裕次郎の目から大粒の涙がポタリポタリと落ちてきた。
「へっ、こいつ本当に泣き出しやがった。女になれてうれし泣きってやつかぁ」
サブの言葉にヤクザたちから含み笑いが漏れる。
「こらこら、可愛そうな娘をそういじめちゃあいかん、特に去勢と、さっき注射した女性ホルモンの影響で、ただでさえ感情のゆれが大きくなっているんだからな、女の子はもっとやさしく扱わんと。」
そう言う医者の言葉のほうがもっと残酷だった。
・ ・・じょ、女性ホルモンだって!?・・・
裕次郎は医者の言葉の中のその単語を聞き漏らさなかった。
不意に脳裏に手術中の出来事がよみがえって来た。
それはまるで夢の中のように不鮮明で、まどろっこしいものだったが、裕次郎がタマ抜きをされ、ヤクザ達に嘲笑されながら女性ホルモンを臀部に注射される記憶だった。
そのぼーと歪み、かすれた古い映画のような記憶は、裕次郎が正気を失い、彼らにされるがままになっていた。
それは、絶対に信じたくない出来事だった。自分の身にふりかかる筈もない出来事だった。
しかし、それは裕次郎の身に現実に起こった出来事だった。

戻る  次へ  書庫メニュー
inserted by FC2 system