女にされた 5〜8  作:摩火

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女にされた5

「し、知りません、てっきり家にいると思っていたのですが・・・」
裕次郎は必死に答えた。
「嘘つくんじゃあねぇ!」
先ほど裕次郎を小突いたヤクザが今度は強烈なビンタを裕次郎の頬に食らわせた。
パシーンという鋭い音と共に、裕次郎の目の前が真っ白になり、口の中に血のにおいが広がった。
グラッと崩れようとする裕次郎を、もう一人のヤクザが腕を押さえ無理やり立たせる。
更にヤクザの情け容赦ないビンタが何度も炸裂する。
「痛い、痛い!やめてください、もうかんべんして下さい」
裕次郎はもう気絶寸前だった。
シャツはいつのまにか出た鼻血の血がボタボタと落ちて真っ赤になっていた。
「なあ、正直に教えてくれんか、もうこんな痛い目にはあいたくないだろう?みゆきはどこへ行った?」
兄貴分のヤクザが裕次郎に顔を近づけてドスのきいた声で聞いてきた。
「ほ、本当に知らないんです、そうだ、実家かもしれません、友達の家か、知り合いのところか・・・」
裕次郎は薄れる意識を振り絞りようやく答えた。しかし、その答えはヤクザ達の気に入る答えでないことは明らかだった。
ああ、また殴られる、何で俺がこんな目にあわなくっちゃあならないんだ、みゆきのヤツ一体何をやらかしたんだ・・・
裕次郎は心の中でそう思った。
「兄貴、どうします、こいつ本当に知らないみたいですぜ、バラしてどっかに捨ててきますか。」
ヤクザの相談する声が裕次郎の耳に飛び込んできた。
まずい、このままでは本当に殺されてしまう・・・
そう思うと、裕次郎は必死になった。
「お願いします、殺さないで下さい、何でもします。みゆきも必ず探して連れてきます、本当に何でもします。だから殺さないで下さい。」
裕次郎はもう恥も外聞もなかった、ヤクザの前に土下座して床に頭をこすりつけながら自らの助命を懇願した。
「やっぱバラしましょう、こんな腰抜けの腑抜け野郎、信用できませんよ。」
裕次郎にビンタを繰り返したヤクザが言った。
「そんなぁ、かんべんして下さい、助けてください。お願いします。お願いします。」
涙目で半泣きの裕次郎の足は恐怖で立たなくなっていた。いわゆる腰が抜けた状態になっていた。
裕次郎を殺すために手にドスを持ったヤクザが近づいてくる。

女にされた6

裕次郎は立たなくなった足の代わりに腕だけで、のけぞるようにして何とか逃れようと必死でもがきはじめた。
しかし、あせればあせるほど体はいうことをきかない。さんざんもがいても、わずか30センチほどしか後ろにいけないようなていたらくだった。
そんな裕次郎をバカにしたようにヤクザが刺そうとドスを構えた瞬間、兄貴分のヤクザの声がそれをさえぎった。
「まあ待て、ヒデ、こいつには使い道があるかもしれん。」
その声にヒデと呼ばれたヤクザが兄貴分のヤクザに振り返った。
もちろん、裕次郎もとりあえず助かるかもしれないとの思いで兄貴分を見た。
その兄貴分は何か考え込むように額にしわを寄せていた。
「よう、だんなさん、さっきなんでもしますと言ったのは、本当か?」
兄貴分はそばにあったこたつの上にどかっと座りながら言った。
「は、はい、本当です、何でもします、なんでもやります。誓います。本当です。」
裕次郎は必死だった。
このチャンスを逃せば恐らく助からないだろう。そう思うと体が条件反射的に土下座を始めてしまう。
「兄貴ぃ、こんな根性なしの女の腐ったようなヤツ生かしておいてもしょうがないでしょう。」
サブが異議を唱えた。
手にもったドスを使いたくてうずうずしているようだった。
まずい、こいつ異常だ・・・
そう感じた裕次郎はあらためて全身が総毛だつのを感じた。土下座した首筋に今にもドスを突きつけられるかもしれない。
「いい考えがある、女の腐ったような男に相応しい所で働いて、みゆきの持ち逃げした金の穴埋めをしてもらおうじゃあねえか。」
手下のヤクザが一斉にいやらしい声でイヒヒと笑った。
「じゃあ、あの純子ママのところに連れて行くんですかい、こりゃあいいや、女の腐ったようなヤツにはおあつらえむきのところですね。」
今まで無言だったもう一人のヤクザが下卑た笑いを浮かべながら言った。

女にされた7

裕次郎は何がなんだか分からなかった。
どこかへ連れて行かれるようだ、一難去ってまた一難かもしれないが、どうやら当面殺されることだけは避けられたようだった。
兄貴分のヤクザが裕次郎の方を見ながら言った。
「よう、だんなさんよ、さっき何でもしますって約束したよな、約束通り働いて金を返してもらうぜ」
金を返すだって、一体何の話だ、家のローンしか・・・いや、さっきみゆきが金を持ち逃げしたって・・・
そう考えながら裕次郎の頭の中は混乱していた。何がなんだかまったく分からなかった。しかしただ一ついえる事は、
今兄貴分の言葉を了承しなければ二度と生きて日の目を見られなくなることは明白だった。
「分かりました、何でもします。何でも言う通りにします。」
サブがちらつかせているドスに怯えながら裕次郎は何度も何度も頷いた。
「よしよし、ナオンは従順が一番だ。」
兄貴分は意味不明の言葉を言いながら立ち上がった。
また2人のヤクザがヒヒヒッと笑った。
この時、裕次郎にヤクザ言葉の知識ともう少し冷静な頭があったならば、この先自分に降りかかる死よりも恐ろしい運命を
ある程度予想できたかもしれない。
しかし、今の裕次郎にはそんなことに思いを巡らす余裕などなかった。
「よし、じゃあこいつを車に連れて行け」
兄貴分が2人に命令した。
裕次郎はまた二人のヤクザに両腕を捕まれ、無理やり立たせられた。
「うわっ、こいつクセエ、しょんべんどころかクソまで漏らしていやがる」
サブが声を上げた。
その声に裕次郎は初めて自分が失禁ばかりか、大便まで漏らしていたことに気がついた。
ズボンのまたの部分がぐしょぐしょに濡れ、小便と大便のくさい臭いが初めて裕次郎の鼻に飛び込んできた。
「てめえ、それでも男かよ、キンタマついてんのかよ。そんな役に立たないキンタマ、さっさと取っちまえ!」
サブが半分あきれ、半分小ばかにしたように言った。
その言葉に裕次郎の顔は真っ赤になり、更に半泣きになった。
「ともかくくせえ、くせえ、駄目だこのままじゃ、体流して来い。」
サブはがに股歩きの裕次郎を無理やり風呂場まで引っ張ってきた。
廊下には裕次郎の垂れ流した小便と大便の跡がとぎれなく続いている。
風呂場の中で全裸にされた裕次郎は冷水のシャワーを全身に浴びせられた。


女にされた8

白いベンツの中で裕次郎は後部座席の真中に座らされていた。
裕次郎の両隣には兄貴分とサブががっちりと脇を固めている。
裕次郎は素肌にピンクのバスローブをまとわされただけの姿だった。
先ほど冷水のシャワーから出た後に、脱衣場にあったみゆきのバスローブを着させられたのだった。
同じ場所には裕次郎の白いバスローブもあったのだが、どういうわけかヤクザ達は躊躇なく裕次郎に女物のバスローブを着させた。
裕次郎にはもう考える力も残っていなかった。
一連の暴力と自分が失禁するほどの恐怖に心が完全に麻痺したようになってしまっていた。
そのまま大人しく女物のバスロープを濡れた体にまとい、玄関にあったみゆきのヒールの高いサンダルを履かせられて車に乗せられたのだった。
車は夜明けに近い闇の中をどことも知れず疾走している。
裕次郎にはこれが現実に起こっていることとは思えなかった。
きっと変な悪夢を見ているに違いない、早くさめてくれ、さめてくれ・・
裕次郎はそればかりを心に願いつづけていた。
しかし、そんな裕次郎の願いとは裏腹に、夢は一向にさめてはくれなかった。
「兄貴、こいつサツに駆け込む気にならないように、殺さない程度にシメておきましょうか」
沈黙を破ってサブが兄貴分に尋ねた。
打ちひしがれた裕次郎の心が更に不安でギュッと固くなる。
「そこのところは大丈夫だ、すでに手は打ってある。」
兄貴分は静かに答えた。
ピロロロ、ピロロロ
その時、携帯のなる音が車内に響き渡った。
携帯は兄貴分のものだった。
「ああ、俺だ、そうか、捕まえたか、じゃあ事務所に連れて行け、俺も今から行く、それから女をこの電話に出させろ。」
どうやらみゆきも彼らに捕まったようだと裕次郎は麻痺した頭で考えた、ひょっとするとヤクザ達は自分を解放してくれるかもしれない。

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